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花とゆめ創刊45周年特集 第1回 師走ゆきインタビュー|「キレイに描かなきゃ」という自縄自縛を超え、今は本能のままに!

1974年に誕生した少女マンガ誌・花とゆめ。数多くの名作を生み出してきた同誌の創刊45周年を記念し、コミックナタリーでは現役作家へのインタビューや花ゆめの魅力に迫るコラムなどバラエティに富んだ連載企画を展開する。

第1回となる今回は、高杉真宙主演によるドラマ版も放送されている「高嶺と花」を連載中の師走ゆきへインタビューを行った。27歳のイケメン御曹司と女子高生の年の差ラブコメディ「高嶺と花」は、「アラサーが高校生に本気で攻めていくのはヤバい」という師走の思いにより、恋愛を描く際にこだわりが。また現役の花ゆめ作家の立場から、同誌への思いも聞いた。

取材・文 / 三木美波

アラサーが高校生に本気で攻めていくのはヤバい

「高嶺と花」カラーイラスト

──「高嶺と花」は13巻で、お見合いの身代わりから始まった高嶺と花の恋の攻防に決着がつきました。お互い「相手を屈服させる」ことを目的にお見合いデートを重ね、ケンカしたり旅行したり同居したりしながら惹かれ合う姿を読者は見てきたので、感慨深かった人も多いのではないでしょうか。このときの反響はいかがでしたか?

待ち望んでいた読者さんがたくさんいらっしゃったようで、「ここまで読んできてよかった」という反応をいただいたり。直前までシリアスな展開だったので、「やっと……!」という声もありましたね。

ヤクザのような八雲に誘拐された花が逃げ惑うという、かなりシリアスな場面でカッコよく登場する高嶺。

──シリアス……というのは、高嶺の3つ年上の従兄弟・八雲とのエピソードですね。それまでは日常生活の中でおもしろハプニングが起こっていたのが、ヤクザのような八雲が現れて花が誘拐されて、と新鮮な展開でした。

非日常的なお話を描いてみたくて。

──満月をバックに、高嶺がヘリコプターからジャンピング正座をしたのは驚きました。

ふふ(笑)。八雲編は結果的に、2人がくっつく前の盛り上がりになったかなと思います。

──高嶺が27歳、花が16歳と11歳差といわゆる年の差恋愛ですが、その部分の描き方にこだわりを感じていて。セレブな高嶺は豪華なディナーをご馳走したり、プレゼントを贈ったりと花にしつこく付きまといますが、恋愛的には自分から迫らないですよね。

そこは意識しています。マンガですけど、アラサーが高校生に本気で攻めていくのはヤバいなとふと冷静になる自分がいて。大人から高校生の子にガンガンいくっていう構図はあんまりカッコよくないなと。

──花とゆめを現役で読んでいる学生だと気にならない部分かもしれませんが、大人の視点で読むと「高嶺はちゃんと自分が大人で、相手が高校生だと自覚している!」と安心します(笑)。

高嶺が落ちぶれ、「今の俺に関わっても お前には何の得もないんだぞ!!」と叫んだ次の瞬間の花の啖呵。花は高嶺の財産に興味がなく、弱ったときは助けられる対等な関係でいたいと考えている。

読者には学生さんだけでなく、お子さんがいる主婦の方とかもいらっしゃるので、そのへんは意識しますね。それに高嶺は普段は頼りないけどいざってときは頼れるんだ、みたいな安心感を出せるといいなと思っていて。高嶺自身も年の差を気にしていて、年上だからしっかりしなきゃという意識があると思うんです。花としては高嶺と対等な関係でありたいんですけど、高嶺はそうは思ってなくて。自分のほうが年上で、花には甘えてほしいと思っている部分がある。2人のそういう考え方の違いはあるのかな、と思って描いてます。最近だと告白のシーンはそこを意識しましたね。

──花が高嶺と向き合おうとしつつも不安を感じている場面で、「俺と共にいる幸せが それ(不安)を凌駕するよう手を尽くすから」と花を安心させてからの決めゼリフ、すごくカッコよかったです。2014年に読み切りとして掲載された当初から、高嶺と花の年の差恋愛に関しては今のようなお考えだったんでしょうか?

正直、初期のほうはあまりキャラクターの掘り下げはしていなくて、描いていく中で内面ができあがっていった感じです。ただ連載になると、「矛盾を生まないようにしないと」とドキドキしますね(笑)。キャラクターの感情は変化するものという認識なので、連載の中でどんどん変わっても矛盾だとは思わないんですが、高嶺のバックボーンとかの設定は、出すときにいまだに緊張します。

──高嶺は鷹羽グループの御曹司なのに名字が才原とほかの親戚と違ったり、いろいろありそうです。

名字は鷹羽高嶺だとちょっとカッコ悪いなーと思って才原にしちゃって……(笑)。最初からガチガチに設定を決めるとそれに縛られて描けなくなっちゃうので、作り込まないようにしているのがいい感じに転がりました。

クリスマスに自分をプレゼントする高嶺。

──なるほど。ストーリーをかっちり決めている作家さんと、決め込まずにライブ感のある描き方をする作家さんがいると思うのですが、師走さんは……。

後者ですね。

(担当編集) 花ゆめ作家さんは、ライブ感のあるタイプが多いと思います。

「次に何が起こるかわからない」って褒めてくださる読者さんがいるんですが、私もどうなるかわかってなくて(笑)。

最近は本能のままに描いています!

──絵柄の雰囲気も初期とは少し変わりましたね。

花に勉強を教えようとする高嶺。

そうですね。3巻で高嶺が花の家庭教師をするエピソードがあるんですが、この辺りで連載にも慣れてきて、作画も安定したかなと思います。ただ高嶺は最初のほうがカッコよかったって言われたり(笑)。

──ギャグのキレが巻を追うごとに増しているので、コメディ寄りになってきたということでしょうか?

というより、最初のほうは「少女マンガっぽく描かなきゃ!」と思っていたんだと思います。絵に関しては、自分の絵に割とコンプレックスがあるタイプで。一時期、すごく「うまく描こう、うまく描こう」としていたんですが、そうすると自分の絵を見失う……個性がなくなるって気付いたんです。

──師走さんの良さが失われると。

そう。でもあんまり自分の絵を客観的に評価できないので、どこが私の個性かと問われると難しいんですけど。ただ、私自身がコンプレックスと感じていた部分でも、読者さんは「そこが好き」って思ってくれていた部分があったかもしれないと最近は考えるようになりました。だからきれいに描くよりちょっと個性を出したほうがいいと思って、最近は本能のままに描いています!

──あはは(笑)。あえてご自身の絵柄で特徴のある部分をあげるとすると、どこになりますか?

男性キャラの目でしょうか。最近はそうでもないかもしれませんが、少女マンガって割とつぶらな瞳のキャラクターが多いイメージで。でも私の好みで、男性キャラは三白眼が多いですね。黒目を小さく描いて……これは特徴というか、ただの私の好みかも(笑)。

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師走ゆき(シワスユキ)
師走ゆき
福岡県出身。2009年、白泉社アテナ新人大賞を受賞しデビュー。現在花とゆめ(白泉社)で「高嶺と花」を連載中。同作は2019年に高杉真宙主演によりドラマ化。