コミックナタリー Power Push - 「ドリフターズ」
島津豊久役・中村悠一、織田信長役・内田直哉、那須与一役・斎賀みつきインタビュー
“ドリフな漢たち”が生む、娯楽作品の到達点
ファンとできあがっていくものを共有したい
──すでにそんなにアフレコが進行しているんですね。今年6月に発売された原作5巻の特装版DVDに、アニメ1、2話の特別編集版が収録されていたので、かなり早く制作が進行しているんだなとは思っていましたが。
実はDVDを皆さんに観ていただいたタイミングでは、アフレコはほぼほぼ終わっていたんです。だから視聴者の方の反響を聞いたり、自分でも視聴者としてアニメを確認して「じゃあこうしよう」っていうのができなかったので、それも新鮮ではありましたね。
──こういったスケジュールで制作が進行することはあまりないことなんでしょうか。
そうですね。始まる前に録り終わって、オンエア前に観せるっていう(笑)。戦略的な部分はわからないですが、「特装版のDVDに1、2話の編集したものを入れます」って聞いた時は「えっ、観せちゃうんですか」って思いましたね。プロデューサーは「まあ、いっかなと思って」みたいなことを言ってましたけど。
──そして9月には上映会で3話までを観せてしまうという(笑)。
上映会に来た人は「もう観たしな」って、(3話の放送が終わる)10月の下旬まで気を抜いちゃうじゃないかって思ったりもしたんですけど。まあ「観せてもいい」っていう判断ができる作品で、プロデューサーとか監督とか、偉い人たちが早く観てもらいたかったんでしょうね。できたところだけでも少しずつ観せていって、「ドリフターズ」のファンとできあがっていくものを共有したいっていう気持ちがあるのかなと。
「ドリフターズ」は娯楽作品としてひとつの到達地点
──「ドリフターズ」には監督の鈴木健一さんをはじめ、OVA「HELLSING」のスタッフが多く参加していますよね。皆さん、「ドリフターズ」も「HELLSING」同様に、原作を忠実に再現することを第一に考えているとおっしゃっています。
ええ。そこは僕も第一に考えています。最初に台本と一緒に方言ガイドの音声をもらったんですが、そこにガイドを作ってくれた方が「こういう言葉遣いは実際の薩摩弁ではしないんです」って注釈を入れて、原作のセリフを薩摩弁の訛りに直してくれていたんです。で、僕の方からスタッフの方に「薩摩弁を忠実にやろうとすると、こういう言い方になります。でも原作の文章だとこうなんですけど、どっちを取りますか」ってお伺いして。「これは薩摩弁じゃなくて、平野弁だから、平野さんの作った作品に出てくる言葉を忠実に再現しよう」という話になって、原作のセリフを「薩摩弁だとこういう訛り方じゃないかな」という言い方に変えているんです。テキストとしては、おそらく1字も変えることなくやらせていただいていると思います。
──マンガとアニメでは媒体が異なるので、そのまま再現するというのはかなり難しいのではと感じてしまうのですが。
物語の尺ひとつ取っても、テキストで見るのと人間が音を発して聞かせていくのでは時間の使い方が変わってくるので、極力原作を忠実に再現しようっていうのはなかなか難しいですし、意図的にやらないとできないことだと思うんですよ。なんでそれをやるのかってことに対して、よく監督たちは「原作ファンのことを考えて」と言っていましたね。「そのままやる」「使命感を持ってやる」と言っていますから、そのあたりは原作既読の方にも強く勧めていきたいです。
──スタッフや演者の方にそこまで言わせる「ドリフターズ」の魅力はどこにあると思いますか。
まず1番はキャラクターですかね。みんなが好きな、一度は聞いたことがある、本で読んだことのある偉人たちが出てきますから。豊久は巻き込まれ型主人公ですけど(笑)、彼らがどう考えて、自分たちで道を作っていくのかっていうところが面白さに繋がって、先を読みたい原動力になっているなと感じますね。あと着地点が見えないこと。導入は突然ですし、未だに突然始まった導入の真の目的もわからない。
──この先こういうキャラが出てきたら面白いんじゃないかという人物はいますか。
僕は三国志が好きなので、そういうところから人が出てきてもいいよなと思いますし、それこそ最近の時代から出てきてもいいですよね。具体名を出してしまうのも、という気がしますが、例えばマイケル(・ジャクソン)みたいに、戦いに繋がらない人たちが出てきたら、それはそれで面白いなっていう気がします。
──では最後に改めて読者にメッセージをお願いします。
殺伐とした話ではあって、誰しもがすごく楽しく観られるものではないかもしれないんですけど、それでも娯楽作品としてひとつの到達地点にあるお話なのかなと思います。今回アニメーションは1クールですけど、できれば原作が完結するまでアニメも少しずつ追いかけていければと作っていますので、応援し続けてもらえるとうれしいです。
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- テレビアニメ「DRIFTERS」
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西暦1600年 天下分け目の大戦、関ヶ原の戦い──薩摩、島津家の武将、島津豊久は身を挺した撤退戦の後、死地から抜け出し一人山中をさまよっていた。
降りしきる雨の中、たどり着いたのは無数の扉のある廊下のような部屋──豊久はそこにいた謎の男、『紫』を問いただす間もなく石扉の向こう側へと送り込まれてしまう。
──そこはオルテと呼ばれる国家が支配する世界、人間とデミ・ヒューマンと呼ばれる「人ならざる」ものが暮らす異世界だった。
異なる時代から先に流れ着いていた織田信長、那須与一ら歴戦の英雄とともに豊久は揺らぐことのない武士(さぶらい)の思想で異世界の戦場を疾り駆ける!
放送情報
- TOKYO MX / AbemaTV:10月7日(金)23:00~
- とちぎテレビ:10月7日(金)23:30~
- KBS京都:10月7日(金)25:00~
- 南日本放送:10月7日(金)25:30~
- 岐阜放送:10月10日(月)25:00~
キャスト
- 島津豊久:中村悠一
- 織田信長:内田直哉
- 那須与一:斎賀みつき
- 菅野直:鈴木達央
- ハンニバル:青山穣
- スキピオ:家中宏
- ブッチ:小野大輔
- キッド:高木渉
- 安倍晴明:櫻井孝宏
- オルミーヌ:古城門志帆
- カフェト:西田雅一
- 黒王:楠大典
- ジャンヌ・ダルク:皆川純子
- ジルドレ:乃村健次
- アナスタシア・ニコラエヴァ・ロマノヴァ:北西純子
- ラスプーチン:田中正彦
- 土方歳三:安元洋貴
- 源九郎判官義経:石田彰
- 紫:宮本充
- EASY:伊藤かな恵
- シャラ:間島淳司
- マルク:続木友子
- マーシャ:石塚さより
- Blu-ray BOX「DRIFTERS」2016年12月24日発売 / 37800円 / NBCユニバーサル・エンターテイメント / GNXA-1870
- 特装限定生産 / Amazon.co.jp限定
- 特装限定生産
中村悠一(ナカムラユウイチ)
2月20日生まれ、香川県出身。主な出演作に「ドリフターズ」(島津豊久役)をはじめ、「おそ松さん」(松野カラ松役)、「マクロスF」(早乙女アルト役)、「機動戦士ガンダム00」(グラハム・エーカー役)、「おおきく振りかぶって」(阿部隆也役)など。