コミックナタリー Power Push - 「ドリフターズ」
島津豊久役・中村悠一、織田信長役・内田直哉、那須与一役・斎賀みつきインタビュー
“ドリフな漢たち”が生む、娯楽作品の到達点
最初に思い浮かべたのは(神谷)明ちゃん
──内田さんはこれまでのキャリアの中でもさまざまな織田信長を見てきたかと思うのですが、“ヒラコー版信長”の第1印象はいかがでしたか。
僕は実写では1度も信長をやったことはないんですが、アニメでは5回ぐらいやっているのかな。その中で史実として言われているキャラクターと異なるような、崩れた織田信長ってあんまりいなかったんですよ。この信長も史実に乗っかってやっていく正統派なのかな、と思っていたんです、ギャグに行くまでは(笑)。ギャグパートで急に顔が変わっちゃうじゃない。
──平野先生特有の。
それで覆されましたね。どう演じたらいいのかって、ちょっと考えることが増えるような感じです。僕ら役者っていうのは、引き出しが重要なんで。自分が演技する中で貯めてきた引き出しもあるし、先輩たちがやっていたものを見ていて記憶しておく引き出しっていうのもある。その中で僕が今回の信長を見たときに思い浮かんだのは、神谷明なんです。
──かっこよさと抜けた部分を兼ね備えたような演技ということですか。
そうそう。明ちゃんが二枚目なのに、時々ふざけるっていう両極端な所を持ったキャラをやっていたのを思い出して。昔はそういうキャラが出てくるアニメーションが流行っていてね。だから最初はギャグとシリアスなシーンの演じ分けを、「そうだ明ちゃんがやってたし、あんな感じでやってみようかな」と始めたんです。それで収録を重ねていくうちに、織田信長というキャラを使いながらギャグるというアレンジが、自分の中で効くようになってきて。そこからは「内田直哉のやる織田信長だ」と、スムーズに行くようになりましたね。
──最初は試行錯誤しながらの収録だったんですね。ギャグとシリアスなシーンの演じ分けでいうと、信長が自身の死後の世界を知る豊久に「息子はどうなった」と尋ねる第1話のシーンが印象的でした。
そこも直前のシーンまでギャグなんだけど、中途半端がないからいいんですよね。ギャグをワッとやったあとに、スッと普通のシーンに変えてくれるから。中途半端だと、「えっ、どういうふうにもっていくの」ってなるんだけど。あと平野先生の絵は表情がはっきりと出るので、僕ら役者にとっては表現しやすいというか、演じやすかったですね。
みんな「俺の演技を聞いとけよ」って圧を出してくる
──内田さんは9月に開催された「ドリフターズ」上映会の舞台挨拶で「信長はセリフが多いから大変」とおっしゃっていましたね。
でも僕、しゃべるのは基本嫌いじゃないので(笑)。セリフが多いっていうのは大変ではありますけど、自分のしゃべりが主旋律の中で動いていくのは非常に楽しいものなんです。
──内田さんが信長を演じるうえで大切にしたのはどのあたりですか。
感性ですね。もちろん原作は読みますけど、そこに捕われちゃいけない。本を読んで感じたことを、僕の感性をセリフとして出していく。それを絵に乗っけて、絵が動いてくれれば良いのであって、あくまでも声を入れたら「そのキャラクターは俺のものだ」っていうくらいの思いで僕はやっています。
──「ドリフターズ」の信長のキャラクターから、内田さんが感じ取ったものはどのようなものだったのでしょう。
うーん、実際のところまだわかっていないんですよ。アニメを12本録ってみて「こういう奴なんだな」っていうのはだいぶわかってきましたけど、まだまだこれから。作品が終わったときの信長と、僕が信長に対して抱いた思いがイコールで終われればいいんじゃないかなと思いますね。
──すでにアニメのアフレコは終えられているとのことですが、現場の雰囲気はいかがでしたか。
正直言って、つまらない作品だと人が芝居しているときに横で違う話をしてたり、ざわざわしてたりするんですけど、面白い作品っていうのはスタジオの中で、人が芝居しているときにどうしゃべるかっていうのに注目していて、みんな聴き入るし絵に見入るんですよ。「ドリフターズ」なんかはまさに面白い作品のいい例で、僕も中村くんもそうですけど、キャストがそれぞれ「みんな俺の演技を聞いとけよ」って圧を出してくるんですよ。こわごわ演技するんじゃなくて、思い切ってやってくるので、めちゃくちゃ面白いです。キャスティング勝ちなんじゃないですかね。
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- テレビアニメ「DRIFTERS」
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西暦1600年 天下分け目の大戦、関ヶ原の戦い──薩摩、島津家の武将、島津豊久は身を挺した撤退戦の後、死地から抜け出し一人山中をさまよっていた。
降りしきる雨の中、たどり着いたのは無数の扉のある廊下のような部屋──豊久はそこにいた謎の男、『紫』を問いただす間もなく石扉の向こう側へと送り込まれてしまう。
──そこはオルテと呼ばれる国家が支配する世界、人間とデミ・ヒューマンと呼ばれる「人ならざる」ものが暮らす異世界だった。
異なる時代から先に流れ着いていた織田信長、那須与一ら歴戦の英雄とともに豊久は揺らぐことのない武士(さぶらい)の思想で異世界の戦場を疾り駆ける!
放送情報
- TOKYO MX / AbemaTV:10月7日(金)23:00~
- とちぎテレビ:10月7日(金)23:30~
- KBS京都:10月7日(金)25:00~
- 南日本放送:10月7日(金)25:30~
- 岐阜放送:10月10日(月)25:00~
キャスト
- 島津豊久:中村悠一
- 織田信長:内田直哉
- 那須与一:斎賀みつき
- 菅野直:鈴木達央
- ハンニバル:青山穣
- スキピオ:家中宏
- ブッチ:小野大輔
- キッド:高木渉
- 安倍晴明:櫻井孝宏
- オルミーヌ:古城門志帆
- カフェト:西田雅一
- 黒王:楠大典
- ジャンヌ・ダルク:皆川純子
- ジルドレ:乃村健次
- アナスタシア・ニコラエヴァ・ロマノヴァ:北西純子
- ラスプーチン:田中正彦
- 土方歳三:安元洋貴
- 源九郎判官義経:石田彰
- 紫:宮本充
- EASY:伊藤かな恵
- シャラ:間島淳司
- マルク:続木友子
- マーシャ:石塚さより
- Blu-ray BOX「DRIFTERS」2016年12月24日発売 / 37800円 / NBCユニバーサル・エンターテイメント / GNXA-1870
- 特装限定生産 / Amazon.co.jp限定
- 特装限定生産
内田直哉(ウチダナオヤ)
1953年5月1日生まれ、東京都出身。主な出演作に「ドリフターズ」(織田信長役)をはじめ、「COBRA THE ANIMATION」(コブラ役)、「NARUTO-ナルト-疾風伝」(うちはマダラ役)、映画「インディ・ジョーンズ」シリーズ(インディアナ・ジョーンズ役)など。