コミックナタリー Power Push - 「ドリフターズ」

島津豊久役・中村悠一、織田信長役・内田直哉、那須与一役・斎賀みつきインタビュー

“ドリフな漢たち”が生む、娯楽作品の到達点

平野耕太「ドリフターズ」は実在する古今東西の英雄たちが、異世界に召喚され戦いを繰り広げる様を描くアクション。2015年3月にアニメ化が発表されてから約1年半、いよいよ10月7日のTOKYO MXでの放送とAbemaTVでの配信を皮切りに、順次アニメがオンエアされていく。

コミックナタリーではアニメ放送開始のタイミングに合わせ島津豊久役の中村悠一、織田信長役の内田直哉、那須与一役の斎賀みつきに個別インタビューを実施。原作を忠実に再現するという同作にかける思いや、それぞれが演じるキャラクター、アニメ放送後の展望について語ってもらった。

取材・文 / 宮津友徳 撮影 / 上山陽介(P1、2、5、6)、佐藤友昭(P3、4)

島津豊久役・中村悠一インタビュー

PVに限りなく近いものが作れるなら、ファンが大満足できる

──中村さんは2012年12月に発売された、OVA「HELLSING」最終巻収録のPVでも豊久を演じられていましたね。

中村悠一

ええ。PVで豊久を演じることが決まった時点でスタッフの方から、「将来的にはテレビアニメ化したいと考えている」という話を聞いて。じゃあ今のうちから読める部分は読んでおこうと、そのときに初めて原作を手に取りました。

──「いずれ自分がテレビアニメで豊久を演じる」ということを念頭に置いて、「ドリフターズ」を読んできたと。

やっぱりアニメ化を大前提にして、「このシーンの豊久はどうやって動くんだろう」みたいなことは考えていましたね。平野先生の原作は迫力のあるカット割で、絵も個性的なので、特に戦いのシーンなんかは「あれを動かすのは大変なのかな」って、心配するというわけではないですけど、完成図を想像しながら読み進めて。

──アニメの絵で動く豊久がお披露目されたのはPVが最初ですが、ご覧になった際はいかがでしたか。

PVは音声を入れる箇所こそ少なかったんですが、すごいクオリティで作られていましたね。あれを毎週30分のテレビ番組でやれっていうのは、難しいかもしれないですけど、もし限りなく近いものができるのであればファンの方々には大満足していただけるんじゃないかと。原作を読んだことのない人が、ふとテレビでアニメをやっているのを目にしたとき、印象に残るだろうし、そこから引き込まれていくこともあるでしょうし。

中村悠一が演じる島津豊久の設定画。

──豊久を演じる上で監督やディレクターの方から、何かリクエストはありましたか。

特に何もなかったんですよ。年齢的にも豊久は30歳で僕も30代なので「まあ自然にやってもらえれば」って。技術的な細かい指示はもちろんあったんですが、大きく「豊久はこういうふうにしてください」って指示されることはなかったですし、ほかの方も言われてなかったと思いますね。

特技に薩摩弁って書いた覚えないよな

──豊久は無鉄砲なように見えて、自分のすべきことが本能的にわかっているキャラクターというイメージがあります。中村さんは最初、豊久にどのような印象を抱きましたか。

戦場を彷徨っていたはずの豊久は、壁が無数の扉で埋められた通路で奇妙な男と出会う。

演じてみて思ったことなんですが、豊久は飾ったりしない人物なので、切り替えをせずに自然なまま演じていますね。

──切り替えというのは?

たとえばキャラクターが見得を切るシーンを演じるときって、少しオーバーにやることがあるんですけど、彼に関してはそれがないんです。あと豊久はヒーローではないですけど、主人公として滔々(とうとう)と語るようなシーンもあるので、そういうシーンで言葉の言い方を考えるのも面白かったですね。

──言葉というと、豊久は薩摩弁がやはり特徴的ですよね。

中村悠一

そうですね。PVを作るときに役のオーディションがあったんですけど、決まった後に「俺、確か特技に薩摩弁って書いた覚えないから、そこはわかってくれてるんだよな」っていう漠然とした不安はありましたね(笑)。PVのときはセリフ自体は少なかったんですけど、(薩摩弁レクチャー用の)ガイド音声がなかったので、おおよそ思うであろう訛っているイントネーションでやるしかなかったんです。ただ今回はテレビシリーズなので、そういうノリだけで演じるのは無理だから、きっちりガイドをつけていただいて。それでもセリフの意味とか解釈をちゃんと伝えていくっていうのは、自分の中に根付いていない節をつけるっていう作業をひとつ挟んじゃうので、難しいものでしたね。今回テレビシリーズでいこうっていう正式なGOが出たのは、去年の早めの時期だったんですが、そこから薩摩弁についてはずっと考えていました。

──PVとアニメ1、2話を拝見させていただいたんですが、アニメのほうが訛りが強くなっているのかなという印象を受けました。

言葉が増えたっていうのはもちろんあると思うんですけど。最初の頃にディレクターさんと、田舎から出てきた者っていうのが伝わるためのアイコンとしての訛りだから、訛りの強度は強いというか深めたほうがいいよねっていう話をしていて。だから一般の薩摩弁のよりも、もうちょっとオーバーにアクセントを付けている部分はありますね。3話、4話、5話と進んでいく中で、僕の中でも「じゃあこういうふうにしたほうがいいかな」とか考える余力が出てきたので、上手くやれているんじゃないかなとは思っています。

──具体的には話が進むにつれて、どのように演技が変わっていくんでしょうか。

オルテ軍が弾圧するエルフの村を襲撃する豊久。

1、2話って豊久自身にもあまり余裕がないというか、戦闘が多いというのもあり、周りとの会話も自然に話す描写が少なかったんです。で、話数が進んでくると、「落ち着いて日常会話的にほかの人と話す」とか、「人を叱咤する」とかっていうシーンが出てくるので。具体的という感じではないですが、その中で「じゃあこういう言い方かな」っていう形で、ニュアンスを掴んでいったんです。8話ぐらいまで録ったときに、テスト後に「今日の訛りはよかったね」っていうお言葉をディレクターさんからいただいたりして、少し手応えを感じたかなっていうのはありますね。

テレビアニメ「DRIFTERS」
テレビアニメ「DRIFTERS」

西暦1600年 天下分け目の大戦、関ヶ原の戦い──薩摩、島津家の武将、島津豊久は身を挺した撤退戦の後、死地から抜け出し一人山中をさまよっていた。

降りしきる雨の中、たどり着いたのは無数の扉のある廊下のような部屋──豊久はそこにいた謎の男、『紫』を問いただす間もなく石扉の向こう側へと送り込まれてしまう。

──そこはオルテと呼ばれる国家が支配する世界、人間とデミ・ヒューマンと呼ばれる「人ならざる」ものが暮らす異世界だった。

異なる時代から先に流れ着いていた織田信長、那須与一ら歴戦の英雄とともに豊久は揺らぐことのない武士(さぶらい)の思想で異世界の戦場を疾り駆ける!

放送情報
  • TOKYO MX / AbemaTV:10月7日(金)23:00~
  • とちぎテレビ:10月7日(金)23:30~
  • KBS京都:10月7日(金)25:00~
  • 南日本放送:10月7日(金)25:30~
  • 岐阜放送:10月10日(月)25:00~
キャスト
  • 島津豊久:中村悠一
  • 織田信長:内田直哉
  • 那須与一:斎賀みつき
  • 菅野直:鈴木達央
  • ハンニバル:青山穣
  • スキピオ:家中宏
  • ブッチ:小野大輔
  • キッド:高木渉
  • 安倍晴明:櫻井孝宏
  • オルミーヌ:古城門志帆
  • カフェト:西田雅一
  • 黒王:楠大典
  • ジャンヌ・ダルク:皆川純子
  • ジルドレ:乃村健次
  • アナスタシア・ニコラエヴァ・ロマノヴァ:北西純子
  • ラスプーチン:田中正彦
  • 土方歳三:安元洋貴
  • 源九郎判官義経:石田彰
  • 紫:宮本充
  • EASY:伊藤かな恵
  • シャラ:間島淳司
  • マルク:続木友子
  • マーシャ:石塚さより
Blu-ray BOX「DRIFTERS」2016年12月24日発売 / 37800円 / NBCユニバーサル・エンターテイメント / GNXA-1870
「DRIFTERS Blu-ray BOX」
特装限定生産 / Amazon.co.jp限定
特装限定生産
中村悠一(ナカムラユウイチ)

2月20日生まれ、香川県出身。主な出演作に「ドリフターズ」(島津豊久役)をはじめ、「おそ松さん」(松野カラ松役)、「マクロスF」(早乙女アルト役)、「機動戦士ガンダム00」(グラハム・エーカー役)、「おおきく振りかぶって」(阿部隆也役)など。