コミックナタリー PowerPush -福星英春「ハードボイルド園児 宇宙くん」
ハードボイルドな幼稚園児ギャグ 4歳児の嘆きにLINEマンガ読者が注目
自分への戒め
──宇宙くんが考えてることに、福星さん自身の思考が影響してる部分はあると思いますか?
それはもちろんあります。全部が本気というわけではないですが。あとは宇宙が社会に対して言ってる文句も全部僕の頭から出てることですけど、その文句を誰かに言いたいというよりかは「そんなことを考えてる奴はガキだ」ってことを描いているので。自分への戒めみたいな部分もあると思います。
──なるほど。子供なのに大人びたことを考えてる子という見方もできるけど、結局そんなことばっかり考えてる人は幼稚だという表現でもあると。
半分はそうですね。映画をいっぱい観たりマンガをいっぱい読んだりしてると、ちょっと偉そうな気分になってくるじゃないですか。「日本のマンガ界はどうだ」とか「映画界はこうだ」とか言いたくなって。けどたくさん映画観たくらいでそんなこと言ってる奴は幼稚園児みたいなもんだよ、って。そう自分自身に言ってるんだと思います。
──そんな福星さん自身が、今の世の中に対して問題だと感じてることは何かありますか?
どうですかね……。まあ、あるっちゃあるんですけど、こういうインタビューとかで言ったらカッコつけた感じの記事にされるじゃないですか。
──(笑)。
政治に対する文句とか言った日には。それは嫌なのでここでは言いません。
──わかりました(笑)。
自由にコメントしてください、受け止めることはできませんが
──LINEマンガでは読者が投稿したコメントを見ることができますが、そちらにも目を通されてますか? 毎週たくさんの感想が寄せられていますよね。
いやもう、ほとんど読んでないです。怖いので(笑)。
──あえて読まない?
いっぱい書かれてるのはうれしいんですけど、悪口とかはちょっと傷つくので。でもコメント機能があること自体は面白くていいなと思います。それはネットならではの良さでもありますし。でもこんなに反響をいただけるとは思ってなかったです。
──読者の数は毎週どんどん増えているみたいです。今では月間50万人以上に読まれているとか。
へえ、すごいですね。
──多くの方に読まれているという実感はあんまりない?
そうですね、数字だけ言われてもあんまりピンと来ないというか。……怖いですね、そんなに読まれてるのかと思うと。まあたぶん気にしないで描き続けるとは思いますけど(笑)。
──読者の反応とかも気にしないタイプということですかね。先ほどのお話だとコメントは読まれないと言われてましたが……。
……チラっとは見ました。
──あ、見たんですね(笑)。感想を読んでいかがでした?
もっと酷いことばっかり書かれるのかなって思ってたんですけど、そんなことなくて。好意的なコメントも多いですし、批判的な意見でもわりと真っ当な指摘だったりするので、「なるほどな。みんなすごいな」と思いました(笑)。
──読者の方も毎週増えているようですし、これから感想の数もさらに増えていくんじゃないでしょうか。それでも積極的には見ないように?
はい、あんまり読むとビビっちゃうので。でもどんなコメントが書かれてても僕は全然大丈夫です。好きにボロクソ書いてもらって構わない。それはマンガを読んだ人の自由ですから。
──どんなことを書かれても全部受け止める?
全部は受け止められませんけど(笑)、書くのは自由なので。好きなときに読んで、好きな感想を書いていただければと思います。
「一体いつからだ…いつからこの国はこんな事になってしまったんだ…」 混濁の世に生を受け、冷めた瞳でこの世を見つめるのは幼稚園児!? キラキラネームという十字架を背負ったリトル・ハードボイルド・ダンディ、今ここに誕生!!
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福星英春(フクボシエイシュン)
千葉県出身。2015年、週刊ビックコミックスピリッツ(小学館)にてベテラン老刑事の捜査コメディ「お前には黙秘権が無い~龍さんの事件簿~」を集中連載。同年7月よりLINEマンガにて、キラキラネームの男児が世を憂うギャグマンガ「ハードボイルド園児 宇宙くん」をフルカラーにて連載スタートした。