楽しいとか感動とかより、恨みつらみ

──「宇宙くん」は1話完結型のギャグマンガですが、毎回お話のアイデアはどういったところから思いつくのでしょうか。

テレビとか観ながらちょっとしたメモみたいなのをたくさんつけておいて、あとからひとつずつ考えながら描いてます。例えば2話のフルーツバスケットの回だったら、元のメモは「フルーツバスケット」と書いてあるだけ。メモしたときはそこから先のことは何も考えてないです。

──クレヨンの取り合いになってケンカをしたり、ところどころに「子供あるある」ネタも盛り込まれてると感じたんですが、実際に子供を観察して作品に取り入れたりすることはありますか？ またはご自身の子供の頃の体験が作品に生かされているとか。

取材みたいなことは現時点ではしてないです。やっぱり宇宙は現実にはあり得ないキャラクターじゃないですか。実際の子供っていうのはもっとちゃんとかわいいから、そういう姿を見ちゃうと逆に描けなくなりそうな気もしています。かといって僕は子供の頃の記憶もないタイプだし、身近に子供もいないので想像で話を膨らませることがほとんどですかね。

──子供を描くにあたって苦労してることは？

内容よりも、単純に絵を描くことに苦労してます。全然慣れないし、子供を描くのは難しい。今からでも作画を別の人にやってもらったほうがいいんじゃないかと思ってます。たぶんもっとキレイで今どきっぽい絵で描いてもらったほうが、今より人気が出るんじゃないかな。最初に連載の話をいただいたときも、担当さんに「俺は絵がヘタだから作画はほかの人に頼んだほうがいいんじゃないか」って提案したんですよ。まあ断られましたけど。

──（笑）。福星さんの描く宇宙くんの4歳児らしい表情や仕草に、母性本能をくすぐられる女性は少なくないと思います。

そうなんですかね……。さっきも話しましたけど、“子供かわいい”みたいな目線では作ってなくて。それよりも「自分がこんな奴見たらムカつくだろうな」「こういうことがあったらムカつくだろうな」ってことを描いてる感じです。

──福星さん自身が一旦、宇宙くんの目線に立ってみる？

1人称で展開される話なので、とりあえずはそうしてますね。自分がこんな奴見たらイライラするだろうなって想像して。キャラクターにイライラさせたいというか、イライラしないと話が進まないので。

──イライラが話のもとになっている。

楽しいとか感動とか素敵みたいなことよりは、恨みつらみじゃないですかね。

──ははは（笑）。その憎しみを笑いに変えていくような。

そうですね。

──最近イライラしたことって何かありました？

イライラというか、バイクを盗まれたことはムカつきましたね。

──5話のあとがきにも描いてらっしゃいましたね（笑）。そういった福星さん自身が感じる日々のイライラなどは、マンガを描いて表現することでストレス解消につながっているんでしょうか。

うーん、やっぱりマンガを描くのは難しいので、逆にそれがストレスになってるところもありますね（笑）。