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志磨遼平がコミックシーモアからチョイスした理想のヒーローが登場する7作品

昨年8月にオープンから10周年を迎えた電子書籍配信サイト「コミックシーモア」。11万冊を超えるそのマンガラインナップを紹介すべく、コミックナタリーでは著名人がテーマに基づき選定したマンガセレクションを公開する。

第1弾としてセレクションを編んだのは、ドレスコーズの志磨遼平。少年マンガのヒーローのように生きていたい、と語る彼に「理想のヒーロー」が登場する作品をセレクトしてもらうとともに、自身に色濃く影響を与えたキャラクター達について聞いた。

取材・文/唐木元 撮影/笹森健一

 
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あいつやったら、この場面でこういう行動取るだろうな

──あらかじめ選書のテーマが「理想のヒーロー」だと伺っていたので、実際にセレクションが上がってきたときには驚きました。わかりやすいヒーローものはほとんどないのでは。

そうですね。まずこの7作品が何かと言いますと、自分の人格を形成するのに多大な影響を及ぼした作品たちなんです。そして僕の人格というか行動の指針というのは基本的に「ヒーローならどうするか」という、そういう基準でできているんですよ。だからこの7作品が自分にとって「理想のヒーロー」と言えるんじゃないかと思って、それでテーマに掲げました。

──そもそも志磨さんが抱いているヒーロー像というのはどういったイメージなんですか。

志磨遼平

僕にとってのヒーローって、大きい意味で言えば正しい存在、それも裏表のない。例えばヒーローと並び立つ概念として「スター」ってあると思うんですけど、スターってもしかしたら裏の顔があってもいいと思うんですよ。むしろ裏表あったほうがショウビズっぽいというか。でもヒーローは裏表があっちゃダメなんですよね。まったく裏のない人なんて3次元ではありえないですけど。

──2次元というかフィクションの中でしか成立し得ない存在だと。

ええ、決して僕らには手が届かない存在というか、だからこそほんとはこういう風に生きたい、マンガのヒーローみたいに生きたいって思うんです。やっぱりヒーローにあるまじきことはしないように生きていたいもんですよね。仲間は裏切らないとか、困ってる人は助けるとか。

──さきほどおっしゃっていた、行動の指針になるということですね。

だいたいのことって、少年マンガのヒーローに照らし合わせて考えれば正しい方向に進める気がするんです。悩んでいたりしても「あいつやったら、この場面でこういう行動取るだろうな」って。そういう道徳観を培ってきたのがマンガなんですよね。

シリアスな場面に遭遇すると、心の中に住んでいるパタリロが

──ではタブレットで読み返しながら、7つの作品への思いをひとつずつ伺っていこうと思うんですが、どれから行きましょうか。

「パタリロ!」1巻

出会った順に、時系列で並べてく感じでいいですか。最初は「パタリロ!」ですね。まだ小学校に入る前。

──パタリロがヒーローかどうかというと、これは一般的にはそう見えないかもしれないですが(笑)、特殊な文脈というか、ある見地からみれば、確かにヒーローとも言える気もします。

僕にとってはヒーローですけどね。「三つ子の魂百まで」という感じで、僕のだいたいの人格形成がパタリロでなされてしまった。アニメやってたからかな、アニメから原作に行ったんだと思いますけど、耽美系ギャグっていうのが、自分のやってる音楽活動そのものなんです。僕、パタリロやろうとしてるんでしょうね。

──志磨さんというと長身美形のギターボーカルで、パタリロとはちょっと思えないんですが。

や、僕のはビジュアル系とかじゃないんで、グラム(ロック)なんで……。グラムって(隙のない)デヴィッド・ボウイを想起されると困るんだけど、ゲイリー・グリッターとかアルヴィン・スターダストとかスレイドとかっていう人たちがいましてね、画像検索してもらうとわかると思うんですけど、カッコつけてるんだけどお間抜けも入ってる。パタリロの世界なんですよ。グラムロックというものを知ったときに「マライヒや! マライヒとバンコラン(ともにパタリロの登場人物)や!」って思いましたもん。

──たしかに魔夜先生の世界というのは、美少年を描いても、すぐツッコミが入るというか混ぜっ返すというか。

志磨遼平

茶化さずにはいられないんです。おかげで人生で真面目なシーン、シリアスな場面と遭遇すると、つい心の中に住んでるパタリロが出てきて、こう、やってしまうんですよ(クックロビン音頭の振り付けを踊りながら)。

──そういったシニカルな態度を教わった、刷り込まれたということですか。

魔夜先生に限らずギャグマンガを描かれる先生ってみなさん、どこか冷めた批評的な目線を持ってらっしゃると思うんですけど、それに初めて出会ってしまった、という。それにパタリロは人をおちょくってばかりだけど、自分にとっての筋は通すし、本当に困ってる人のことは優しく助けたりもするんですよ。そういう彼独特の正義感とかはありますよね。

コミックシーモア
累計利用者数2000万人を突破した国内最大級の電子書籍配信サイト。 NTTグループのNTTソルマーレが運営し、2014年8月16日にオープンから10周年を迎えた。 22万冊以上の品揃えを誇り、「ブラックジャックによろしく」など、無料で読めるコミックも700冊以上提供している。 また常時100本以上の特集やキャンペーンを開催している。
志磨遼平(シマリョウヘイ)

毛皮のマリーズのボーカルとして2011年まで活動、翌2012年1月1日にドレスコーズを結成。同年7月にシングル「Trash」でデビューを果たした。12月に1stフルアルバム「the dresscodes」、2013年11月に2ndフルアルバム「バンド・デシネ」を発表したのち、2014年4月にキングレコード内レーベル・EVIL LINE RECORDSへと移籍。9月にリリースされた1st E.P.「Hippies E.P.」をもってバンド編成での活動を終了。以後、ドレスコーズは志磨遼平のソロプロジェクトとなり、12月10日に現体制になって初のフルアルバム「1」をリリースした。2015年4月1日にはライブDVD「"Don't Trust Ryohei Shima" TOUR <完全版>」が発売される。