音楽ナタリー Power Push - GLIM SPANKY
幻想的×攻撃的 2面性で魅せる新作全曲解説
GLIM SPANKYが2ndアルバム「Next One」をリリースする。1stアルバムからおよそ1年ぶりとなる本作では、バンド名にもなっているGLIM(幻想的)とSPANKY(攻撃的)という2つの魅力を、より明確に楽曲へと反映させることで、唯一無二の音楽性をさらに色濃くリスナーへと提示している。
音楽ナタリーPower Push2度目の登場となる今回のインタビューでは、アルバム収録曲「怒りをくれよ」が7月23日より公開の映画「ONE PIECE FILM GOLD」の主題歌に抜擢されたというビッグニュースの裏側から、まさに新たな可能性の扉を開いた1枚と言える本作の全曲解説までを、松尾レミ(Vo, G)と亀本寛貴(G)にじっくりと語ってもらった。
取材・文 / 内田正樹 撮影 / 上山陽介
「ルフィと戦うつもりで作ってください」
──今回のニューアルバム、まずは何と言ってもリードトラック「怒りをくれよ」が、映画「ONE PIECE FILM GOLD」の主題歌に抜擢されたという大きなトピックがありますね。これは原作者の尾田栄一郎先生からの指名だったということですが。
松尾レミ(Vo, G) ある日、レーベルのスタッフから会議室に呼ばれて「尾田先生がラジオでGLIMを聴いて気に入ったらしい。しかも映画の会議でGLIMをみんなに聴かせたらしい」と聞かされて。「もしかしたらもしかするかもしれないけれど、まあ決まらなくてもそういうものだから、ともかく結果を待とう」なんて言われて(笑)。で、そのまま待っていたら本当に決まりました(笑)。今回の映画は尾田先生自らが総合プロデューサーとして参加するうえで、音楽と映像を融合させたいというこだわりがあったそうで。
──先方から、曲について何かリクエストなどは?
亀本寛貴(G) 「GLIMらしい曲を」という以外は、ほとんどなかったよね?
松尾 そうだね。疾走感が欲しいということと、例えばテレビで流れたとき「うわ、荒っぽい曲だな!」「大丈夫なのこれ?」と思われるぐらいの曲がいいということで。「ルフィと戦うつもりで作ってください」と(笑)。
亀本 実は、最初はこの曲とは違う曲を出したんですよ。2人で「もうこれ以上『ONE PIECE』な曲はないだろう」というような鉄板の曲を出したんです。そうしたら「もっとロックしていて、ダーティな曲がいい」と言われて「それなら!」とできたのがこの曲だったんです。
松尾 だから初めから「青い空、白いカモメ、さあ航海だ」というムードではなかったんです。
──尾田先生および東映、カッコいいですね。
松尾 本当に(笑)。あと、今回の映画の対象年齢を聞いたら「上は30代です」と。「だから子供がわかりづらい内容でいいんです」と。もちろん子供も観に行くんでしょうけど、要は「ONE PIECE」の第1世代って、もうウチらぐらいから30代前半あたりの大人なんですよね。だからこういうオーダーがアリになったんじゃないかなって。
──ちなみに「怒りをくれよ」は、作詞が松尾さんといしわたり淳治さんで、作曲がGLIM SPANKY名義ですね。GLIMのクレジットには、この曲のように作詞が松尾さんで作曲がGLIM SPANKYというパターンと、作詞作曲共に松尾さんというパターンがあるようですが、この違いは?
松尾 両方が私名義の場合は、私が最初から弾き語りで完成させた曲で、バンド名義になっている場合は、コード進行やギターのリフやドラムのフレーズとかから作り始めた曲ですね。基本的に歌メロを作っているのもすべて私ではあるんですが。
亀本 ロックっぽいリフを「これどうかな?」と僕からレミさんに提案したものはバンド名義ですね。でもそこも曖昧だから、クレジットを決めるときによく「これはどっちにする?」とかなりますね(笑)。
──それにしてもデビューからここまで幾つものタイアップを受けて、しかもいずれもGLIMの音楽性が気に入られて指名されたもので、なおかつ、ほとんど“おまかせ”状態で曲をオファーされている。だからいつもGLIMらしさ全開でそのオファーに応えてこられた。これってすごく恵まれた状況ですよね。
松尾 本当にそう思います。ありがたいです。
亀本 だからいつも全力で振り切れるし、アルバムはそれ以上に迷いなく振り切ることができますからね。
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- 2ndアルバム「Next One」/ 2016年7月20日発売 / Virgin Music
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 3996円 / TYCT-69104
- 通常盤 [CD] / 2916円 / TYCT-60086
CD収録曲
- NEXT ONE
- 怒りをくれよ
- 闇に目を凝らせば
- grand port
- 時代のヒーロー
- 話をしよう
- NIGHT LAN DOT
- いざメキシコへ
- 風に唄えば
- ワイルド・サイドを行け
初回限定盤DVD収録内容
“ワイルド・サイドを行け”ツアーファイナル(2016.04.16恵比寿LIQUIDROOM)
- ワイルド・サイドを行け
- 褒めろよ
- リアル鬼ごっこ
- ダミーロックとブルース
- 夜明けのフォーク
- BOYS&GIRLS
- 時代のヒーロー
- NEXT ONE
- 太陽を目指せ
- 大人になったら
- 話をしよう
Next One TOUR 2016
- 2016年9月22日(木・祝)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
- 2016年9月24日(土)京都府 磔磔
- 2016年9月25日(日)香川県 高松TOONICE
- 2016年9月30日(金)福岡県 THE Voodoo Lounge
- 2016年10月1日(土)岡山県 PEPPERLAND
- 2016年10月6日(木)石川県 vanvan V4
- 2016年10月7日(金)新潟県 CLUB RIVERST
- 2016年10月10日(月・祝)北海道 BESSIE HALL
- 2016年10月14日(金)宮城県 仙台MACANA
- 2016年10月16日(日)広島県 CAVE-BE
- 2016年10月22日(土)大阪府 umeda AKASO
- 2016年10月28日(金)愛知県 THE BOTTOM LINE
- 2016年10月30日(日)東京都 新木場STUDIO COAST
GLIM SPANKY(グリムスパンキー)
松尾レミ(Vo, G)、亀本寛貴(G)による男女2人組のロックユニット。2007年に長野県内の高校で結成。2009年にはコンテスト「閃光ライオット」で14組のファイナリストの1組に選ばれる。2014年6月に1stミニアルバム「焦燥」でメジャーデビュー。その後、スズキ「ワゴンRスティングレー」のCMに、松尾がカバーするジャニス・ジョプリンの「MOVE OVER」が使われ、松尾の歌声が大きな反響を呼ぶ。2015年7月には1stアルバム「SUNRISE JOURNEY」をリリース。10月には東京・赤坂BLITZにてワンマンライブを実施した。7月20日に2ndアルバム「Next One」を発表。このアルバムには7月23日公開の映画「ONE PIECE FILM GOLD」主題歌の「怒りをくれよ」、10月8日公開の映画「少女」主題歌の「闇に目を凝らせば」などが収録されている。