ナタリー PowerPush - aiko
歌い続ける覚悟、そのための進化
「おっぱい」なんて普通に言う
──このアルバムには特典CDが付いています。初回限定仕様盤には「aiko's Radio side A」、通常仕様盤には「aiko's Radio side B」。aikoさんのトークがたっぷりと入っていますね。
もう、あれ大丈夫ですかね?(笑) 普通はラジオって流れていくものなんですよ、時代とともに。だからこれを作品として残してしまって大丈夫なのかと(笑)。
──aikoさんの持ち味であるとんでもない“ぬるさ”が発揮された素晴らしい作品だと思いました(笑)。むしろもっとやってもいいんじゃないかとすら(笑)。
あかんあかん!(笑)
──ライブのMCやラジオのトークはaikoさんのエンタテインメントを作り出す重要な要素の1つだと思いますが、シングル「君の隣」のプロモーションでさまざまなラジオ番組にゲスト出演されたときにTwitterなどでリスナーの反応を見ていると「aikoさんってこんな人だったんだ!」という驚きの声が多かったんですよ。
ああ、そうですよね。Twitterを始めたときも最初に「おっぱい」ってツイートしたら皆さんの反応がすごくてびっくりしたんです。「一番初めのつぶやきが『おっぱい』」ってすっごいいろんなところで言われて(笑)。本人的には「いや、普通に言うで!」みたいな感覚なのに(笑)。でもその様子を見ていて「ああ、そういうことなんだな」と感じました。もっともっと自分を出していかないとダメなんだって思って。
──この特典CDでは自分を出せたと思いますか?
ラジオを作ってくれるスタッフはずっと一緒にやってきてくれたスタッフだから、私の一番黒いところを知ってくれている人たちなんです。だから最初のバージョンはもっと下世話なところもあったんですけど、ちょっとだけソフトにしました(笑)。でもそういうスタッフが私をコントロールして「もっと行け!」っていうスイッチを押してくれるし、私もそれに乗っかるのがすごく楽しいんです。これを聴いてもらって、いい感じにふわっとした気持ちになってくれたらいいなと思ってます。
──ラジオにはいろんな音源が使われていますね。
そうですね。BGMもライブの終わりとかで流れるビッグバンドの演奏を使っていたり、「まとめ」というアルバムのときに入れた「ラジオ」という曲も使われていたりします。
──さらにこの特典CDではCD初収録となる「恋人 Rock version」と「鏡 Rock version」がそれぞれどちらかのディスクに入っています。なぜこの2曲を選んだんですか?
これはずっとやりたかったんです。「恋人」のロックバージョンは、けっこう前からこういうアレンジでライブで歌いたいってずっと言っていて、去年のライブで歌ったらみんなからすごく「よかったよ」っていう言葉をいただいて(参照:aiko「君の隣」インタビュー )。それで形にしたいなと思ってレコーディングしました。「鏡」もライブでやったらすごい盛り上がる曲で、後半のサビをみんなが合唱して歌ってくれるところがあるんですけどそこを聴くとみんなが歌ってくれることがうれしくていつも鳥肌が立つんです。ライブに来てくれている人たちが聴いてくれたときにみんなもそれを思い出してくれたらうれしいなと思って、この曲を入れました。
「タイムスリップもできるけど、今もちゃんとある」というライブ
──アルバムも完成してデビュー15周年イヤーもいよいよ終わりが近付いてきましたね。改めて振り返ってみるとどうでしたか?
周りの人に15周年だよって教えてもらって、そこから始まったというぐらい自分では意識していなかったから、こんなに記念になるなんて思ってなかったんですよね。でも15周年記念で4つのツアーをしたことも、作品を作れたことも、みんなと一緒にやったなという感じがしています。皆さんに大事に育てていただいた感じというか。あとこの時期は本当にいろんなことがあって、これから先も歌い続けていくためにいろんなことを変えていこうって思ったし。もしそこに気付けなかったら、このアルバムもできなかったと思います。いろんな人にも出会えたし、とっても大事な年になりましたね。
──そしていよいよ来月からはツアーも始まります。
始まりますね! やっぱり今回のアルバムは言葉の数が多かったりロック調の曲も多かったりするので、レコーディング中に「これはライブで歌うとちょっと大変かもね」っていう話はプロデューサーともしていて。でもこういう壁がないと私は新しいことを乗り越えられないと思うから、これでよかったって思えると信じてツアーをがんばりたいと思っています。
──アルバムが進化したことによって、ライブも変わっていくのでしょうか?
そう思います。ライブに関しては特に「男子! 女子!」みたいなずっとやり続けていることがある一方で、どんどん進化もしていかないとお客さんは楽しめないんじゃないかと思っています。例えば、昔ライブに来てくれていた人が結婚して子供を産んで、ちょっと育児も落ち着いてもう1回ライブに来たときに、その当時のことも思い出して、かつ新しい気持ちで楽しめるような「タイムスリップもできるけど、今もちゃんとある」というライブをしたいんです。ライブをやればやるほど、もっとみんなの心に残るようにするにはどうしたらいいんだろうっていつも考えるし。aikoのチケットを買ってライブ観に来てくれてるんやから、みんなが楽しんでもらえるような、楽しかったって思えるようなライブを作っていこうって思うから。
──さらに進化したライブを期待しています!
変わります! がんばります!
- ニューアルバム「泡のような愛だった」/ 2014年5月28日発売 / [2CD]3146円 / ポニーキャニオン / PCCA-15011
- 初回限定仕様盤
- 通常仕様盤
- 初回限定仕様盤 特典ディスク「aiko's Radio side A」
- 通常仕様盤 特典ディスク「aiko's Radio side B」
- ※特典付き通常仕様盤は5月29日より数量限定で販売
収録曲
- 明日の歌
- 染まる夢
- Loveletter
- あなたを連れて
- 距離
- サイダー
- 4月の雨
- 遊園地
- 透明ドロップ
- 君の隣
- 大切な人
- キスの息
- 卒業式
初回限定仕様盤
カラートレイ&初回限定ブックレット
aiko(アイコ)
1975年大阪出身の女性シンガーソングライター。1998年にシングル「あした」でメジャーデビュー。その後「花火」「桜の時」「ボーイフレンド」などのシングルがヒットを記録し、2000年に「NHK紅白歌合戦」初出場を果たすなど、トップアーティストとしての人気を不動のものとする。2011年2月には初のベストアルバム「まとめI」「まとめII」を2枚同時発売。2013年にはデビュー15周年を記念し、ライブハウスからアリーナ会場までを回る大規模なライブツアーを敢行した。2014年5月28日には通算11枚目となるオリジナルアルバム「泡のような愛だった」をリリース。女性の恋心をつづったリアルな歌詞とポップなメロディ、熱いライブパフォーマンスで幅広いファンを獲得し続けている。