映画ナタリー Power Push - 「シン・ゴジラ」配信記念特集

市川実日子、“媚びない、マイペース”な尾頭ヒロミを語る

映画を作る方の「面白かった!」は希望に思える

──こんなに大きな反響があると公開前には予想していました?

市川実日子

熱狂的な方はいると聞いていましたが、これほど幅広い年齢層の方に「面白かった!」と声をかけていただけるとは考えていませんでした。

──ここまでいろいろな層に響く作品はなかなかありませんね。

新しい現場に入ったときも、スタッフの方に「すごく面白かった!」とワクワクした顔で感想を言っていただけて。映画を作る方がそういう状態になる作品ってすごいなとうれしくなりました。うちの甥っ子や道行く方に「面白かった」と言われるのもうれしいし、それぞれうれしさの種類は違うんですが、映画を作る方がそうおっしゃるのはこの仕事の何か希望にも思えて。

CGの赤ちゃんのようなゴジラは唐揚げみたい!

──制作時の話ももう少し伺えればと思います。今回のゴジラはフルCGで作られましたが、ビジュアルを見たのはいつ頃でしたか?

第2形態について「この動き、基本は蛇行ですが」と話すシーンで、撮影の直前に庵野さんにまだできあがっていないCGの赤ちゃんのようなものを見せてもらいました。茶色い唐揚げみたいなゴジラが動いていたので「唐揚げみたい!」って言ったら庵野さんが大笑いして。

──第2形態は“蒲田くん”の愛称で親しまれていますが、制作段階ではそんなふうだったんですね。第4形態の姿は、完成した映画で初めてご覧になったのでしょうか?

「シン・ゴジラ」より。

それが初めてですね。うわあ!って。紫の熱線が放射されるシーンはキレイで感動しました。初号で観たときは、ゴジラは人間が捨てたものを食べたから生まれた生き物で、ただ生まれて前に向かって歩いているだけなのにこんなに大騒ぎになってたくさん攻撃されて、切ないような複雑な気持ちにもなりました。

──ゴジラに惹かれたんでしょうか。

一番最初はそうですね。だけど2回目に観たときは災害にしか思えなくて、恐ろしかった。

──1回目と2回目でそんなに観方が変わったんですか。では撮影時の話も。iPhoneで撮影されたシーンもあったりと、新しい試みがある現場だったのではないかと思います。

カメラが十何台もあって、何回もテイクを重ねるのと、みんな早口で一気に説明するシーンだったこともあり、初日はとにかく緊張しました。心臓の音がマイクに聴こえるんじゃないかというくらい大きかった(笑)。共演者の皆さんも本当に緊張されていたようで、現場の空気は静かに張りつめている感じでした。

──共演者の方は個性派ぞろいですが、特に印象的な方は?

「シン・ゴジラ」より。

塚本晋也さんが本当に面白かったです! みんなで高橋一生さん演じる安田のパソコンの前に集まるシーンで、庵野さんが塚本さんに「もっと激昂してほしい」とお願いしたら、「ああっ! あー!」って喜びと驚きといろんな気持ちを混ぜて長いセリフをおっしゃって。ピンクのタオルで頭を拭きながら「わー!」って言ったりテストごとの微妙な変化も面白くて、テスト中はとても尾頭ではいられませんでした(笑)。撮影中は尾頭目線のため、共演者の方々のことをほとんど見ることがなかったので、本編を観たときに皆さんこういうことをされていたのかあ!とわかって面白かったです。

「シン・ゴジラ」は人と話したくなる作品

──デジタル配信されるということで、同じシーンを何度でも繰り返し観られるようになりました。市川さんは今後どのように「シン・ゴジラ」を楽しみたいですか?

市川実日子

小さい画面で観たり、一時停止できるとまた感じ方に変化がありますよね。それが楽しみです。うちの母親は11回観たらしいのですが、それくらい、きっと観るたびに感想が変わると思うんです。

──それでは最後に、「シン・ゴジラ」ファンにメッセージをお願いします。

「楽しかったね、すごかったねゴジラ!」でももちろんうれしいですが、庵野さんが何を描こうとされていたのかを、皆さんにも考えてみていただいて、できたら教えてほしいです(笑)。観た方によって感想が違って人と話したくなる作品なので、そういう機会をぜひ持っていただけたらいいなと思います。

市川実日子

「シン・ゴジラ」2017年3月22日(水)配信開始

「シン・ゴジラ」

ストーリー

東京湾アクアトンネルを走行中の車輌が、突然の浸水に巻き込まれる原因不明の事故が発生。首相官邸では閣僚たちによる緊急会議が開かれ「原因は地震や海底火山」という意見が多数を占める中、内閣官房副長官・矢口蘭堂だけが海中に棲む巨大生物による可能性を指摘する。その直後、海上に巨大不明生物の姿が露わになった。政府関係者が情報収集に追われる中、謎の巨大生物は船舶や橋梁を破壊しながら、呑川を遡上していく。環境省自然環境局野生生物課長補佐の尾頭ヒロミは、上陸の可能性を指摘するが、官邸側は記者会見を開きそれを否定。だがそのとき、巨大生物は蒲田に上陸し、建造物を次々と破壊しながら街を進んでいた。この事態を受けて、政府は緊急対策本部を設置し自衛隊に防衛出動命令を発動。米国国務省からは女性エージェントのカヨコ・アン・パタースンが派遣される。

スタッフ

総監督・脚本:庵野秀明
監督・特技監督:樋口真嗣

キャスト

長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ、高良健吾、大杉漣、柄本明、余貴美子、市川実日子、國村隼、平泉成、松尾諭ほか

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市川実日子(イチカワミカコ)

1978年6月13日生まれ、東京都出身。モデルとして活動しながら1998年に短編映画「HOW TO 柔術」で女優デビュー。その後は「タイムレスメロディ」「とらばいゆ」に出演し、映画初主演を務めた「blue」で第24回モスクワ国際映画祭の最優秀女優賞に輝いた。「シン・ゴジラ」では、第71回毎日映画コンクール女優助演賞、第40回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を獲得。公開待機作に「ReLife リライフ」「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」「三度目の殺人」がある。


2017年4月14日更新