二宮和也が主演を務める「TANG タング」が8月11日に公開された。
デボラ・インストールの小説「ロボット・イン・ザ・ガーデン」を三木孝浩が映画化した本作では、ある出来事をきっかけにニートになった人生迷子中のダメ男・春日井健と記憶をなくした迷子のポンコツロボット・タングの冒険が描かれる。二宮が健を演じ、満島ひかり、市川実日子、小手伸也、奈緒、京本大我(SixTONES)、かまいたちの山内健司と濱家隆一、野間口徹、利重剛、景井ひな、武田鉄矢もキャストに名を連ねた。
映画ナタリーでは、お笑いコンビ・ティモンディにインタビューを実施。済美高校の野球部員として出会い、のちにコンビを組むことになった高岸宏行と前田裕太は、健とタングの関係性をどう見たのか? また2人が互いに贈った感謝の言葉にも注目を!
取材・文 / 小澤康平撮影 / 梁瀬玉実
健とタングの絆が素晴らしい(高岸)
──「TANG タング」は主人公・春日井健とロボット・タングの友情を描いた物語です。そんな同作を、済美高校の野球部時代からの仲であり、ティモンディを結成することになったお二人に語っていただきたいと思い、今回お声掛けしました。普段映画はご覧になりますか?
前田裕太 僕は年に150~200本は観ていると思います。
──かなり観ていますね!
前田 映画は学生時代から好きで、1日中部屋にこもって観ていることもありました。高校時代は寮生活だったので、野球部を引退してからは高岸が部屋に入ってきて一緒に観たり。
──高岸さんも映画好きなんですか?
高岸宏行 好きです。前田に薦められたものを観ることが多いですね。
前田 映画はけっこう一緒に観に行ってるんですけど、僕ら2人とも肩幅があるので、隣同士だとみちみちになるんですよ(笑)。だから2人で観るときは家のほうがいいですね。学生時代はブルース・リーの「燃えよドラゴン」を一緒に観ました。
高岸 この前は3分の1の……「2分の1の魔法」を一緒に観たね。
前田 だいぶ割合少なくなるよ、3分の1だと。
──(笑)。特に好きな映画はありますか?
前田 一番好きな映画を聞かれていつも答えているのは「オーシャンズ11」です。キャストも豪華ですし、お金の使い方がすごいなと端々から感じるんですよね。豪華さで言うと「TANG タング」もすごくて、CG含め「力入ってんな」と思いました。僕、原作の「ロボット・イン・ザ・ガーデン」を読んだことがあって、ほかのシリーズも読んでいるんですが、その立場から観てもめちゃめちゃすごかったです。
──高岸さんは「TANG タング」いかがでしたか?
高岸 健とタングの絆が素晴らしかったです。タングは人間の感情を持っていて、健含め誰しも弱い部分はあるけど、支え合うことで生きていけるという。
前田 主人公の成長って映画ではありがちだと思うんですが、健はタングから大切なことを教わるだけでなく、タングにも影響を与えているんですよね。そこに健の奥さんも絡んできたりと、何かに影響を与えられた人が、また別の人に影響を与える構造になっている。友情って描き方によってはチープになってしまうと思うんですが、相互に影響し合っているのが現実っぽくて、説得力がありました。
──なるほど。印象に残っているシーンはありますか?
前田 武田鉄矢さんが出てきたときは「おお!」となりました。厚みが増すと言いますか、重い石がドスッとある感じ。
高岸 僕はタングがてんとう虫を助けるシーンですね。タングの思いやりが温かかったです。
運命をともにする気持ち(前田)
──前田さんがおっしゃっていたように、健とタングは互いに影響を与え合って成長していきます。お二人にもそういう感覚はありますか?
前田 僕らは済美高校の野球部で出会いましたが、最初はみんな自分がプロになることしか考えていないんです。各々プロ野球選手になりたいんだったら、自分のやるべきことだけを一生懸命やればいい。でも一緒に練習をしていくうちに、「俺がプロになる!」という気持ちは変わっていきました。
高岸 練習を乗り越えるには、1人だけでは難しいことに気付いていくんです。長距離が得意な人や苦手な人、考えることが得意な人や苦手な人……いろいろな人がいる中で、支え合っていかないとチームとしての目標を達成できない。健とタングはコミュニケーションを取ることで友情を育んでいきましたが、僕らは毎日の厳しい練習を通して無意識に助け合うようになりました。
前田 高岸が物理的に僕の背中を押しながら走ってくれたこともありました。映画には、タングが健のためにコーヒーを買ってくるシーンがありましたが、同じシチュエーションは経験したことがないにもかかわらず「わかる」と思いました。いつも与えてもらっているので、何かで返したいって自然と思うんです。
──損得勘定のない素敵な関係性ですね。
前田 2015年にコンビを組んでからも、損得勘定はまったくないですね。極論ですが、「ごめんね」も「ありがとう」もいらないと言いますか。半身ではないですけど、運命をともにする気持ちでやっているので。例えば、仕事でミスをした高岸が謝ってきたら「何謝ってんの」と思っちゃいます。
──迷惑を掛け合うのは当然だと。
前田 そういう気持ちではいますね。これからも迷惑を掛けっぱなしであり、掛けられっぱなしだろうなと。
──高岸さんも同じようなお考えですか?
高岸 僕は支えられてばかりだと思っています。これからもっと前田に返していかないといけない。
前田 じゃあ俺がタングのようにコーヒーを持ってきてる感じ?
高岸 そうだね(笑)。ありがとうと毎日思ってる。
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1人だったらここまで生きてこられてない(高岸)