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「スターシップ9」スペイン人監督と入江悠、“SFを撮ること”を語る

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「スターシップ9」トークイベントにて、左からアテム・クライチェ、入江悠。

「スターシップ9」トークイベントにて、左からアテム・クライチェ、入江悠。

スターシップ9」の日本公開を控えるスペイン人監督アテム・クライチェ入江悠のトークイベントが、7月3日に東京・ヒューマントラストシネマ渋谷にて開催された。

本作は、Netflixオリジナル作品「ナルコス」のチームが手がけたSF。地球が汚染された近未来を舞台に、新たな移住先を探すため恒星間飛行の旅に出るエレナの姿が描かれる。

宇宙船内で物語が展開していく本作だが、クライチェは「“SF”と言ってもあくまで映画の背景。映画が進むにつれ、現実世界に根ざした物語になっていきます」と解説。また作品の8割をコロンビアで撮影したことについて、「本作で描こうとした近未来は貧しさと豊かさ、両極端が存在する社会。コロンビアの都市メデジンはコントラストをうまく表現でき、私が思い描くビジュアルに合致したロケーションだったんです」と話す。入江が「山の稜線が美しかったです」と感嘆すると、クライチェは「ありがとう」とはにかんだ。

自身の監督作「太陽」でSFに挑んだ入江は、日本で本格的なSF映画がなかなか生まれない理由について「一番難しいのは美術」と語る。アニメーション作品では多くのSF作品が制作されているが、「『スターシップ9』のような作品を日本で作るのはおそらく不可能。相当なビッグバジェットになってしまう。そういう部分で、日本と世界のSF映画は実写において差ができているのでは」と見解を述べた。

続いて入江から「どうしても聞きたい」と質問が。質問は、劇中でエレナと恋に落ちるエンジニアの青年アレックスがディスプレイ越しにカウンセラーと話す際、顔が狼になる理由について。クライチェは「狼である必然性は特になかった」と答え、「技術が進んでインターネット上でコミュニケーションを取るようになっているけれど、自分の本音をさらけ出すにはリラックスして人と直接話すことが必要だと思い、このシチュエーションが生まれました。芸術監督とはアレックスの孤独を強調したいという話をしたので、そこから狼になったのかな」と説明した。

最後に入江が「これからもSFを作るつもりは?」と問いかけると、クライチェは「SFの要素を取り入れて現実味のあるストーリーを語りたい。自分の中にいろいろなストーリーが浮かんでくるので、今後もこういうタイプの映画を作っていきたいと思います」コメント。入江が「楽しみにしています」と伝えると、クライチェは日本語で「アリガトウ!」と返した。

「スターシップ9」は、8月5日より東京・ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で順次ロードショー。なお入江が監督を務めた「22年目の告白ー私が殺人犯ですー」は全国で上映中。

(c) 2016 Mono Films, S.L./ Cactus Flower, S.L. / Movistar +/ Orbita 9 Films, A.I.E.

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