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リリー・フランキー「マルガリータで乾杯を!」を語る、「甘酸っぱくチャーミング」

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「マルガリータで乾杯を!」トークイベントの様子。左からリリー・フランキー、安藤玉恵。

「マルガリータで乾杯を!」トークイベントの様子。左からリリー・フランキー、安藤玉恵。

全国ロードショー中の「マルガリータで乾杯を!」。本作のトークイベントが10月29日に東京・シネスイッチ銀座にて開催され、リリー・フランキー安藤玉恵、NPO法人ノアール理事長くましのよしひこ氏が出席した。

「マルガリータで乾杯を!」は、体は不自由だがいつも明るい少女ライラの冒険や成長、母親との絆を描いた人間ドラマ。インド人の女性監督ショナリ・ボースがメガホンを取り、ライラ役にはインドで生まれ育ったフランス人の女優カルキ・ケクランが起用された。

“障害者が経験する性への目覚めや恋愛”を主要テーマの1つとして描いた本作。障害者の性に関する情報提供などの活動を行っているくましの氏は「この映画を初めて見つけたのは1年くらい前。自分は障害者なので、こうした映画ではあらを見つけてしまいがちですが、この作品にはびっくりした」とコメントし、「2015年のあいち国際女性映画祭で監督とカルキさんにお会いしました。ご挨拶程度でしたが、自分の活動を伝えることができてよかった。カルキさんいい匂いでしたよ(笑)」と、ユーモアを交えながら当時のエピソードを披露する。

チャーミングな笑顔がライラに似ていると登壇者たちから評された安藤は、「もしもライラのような役がまわってきたら?」とMCに問われると、「いいんですか? やりたい!」と乗り気の様子。本作の感想を求められると「感動しました。嘘がないし、足りないものがひとつもない映画だなと思って。悩んだり笑ったり、ライラの表情1つひとつから彼女の心情がすごく伝わってくる」と瞳を輝かせた。

リリーは「この映画ってものすごいテンポで進んでいくけど、俳優たちに濃密な存在感があるから慌ただしく見えない。『えっ、レズ? ガン?』って、展開はまさにジェットコースタームービーなんですけど」と言い、登場人物たちの劇中には描かれていない部分の生活を想像させられたと語る。また「『マルガリータで乾杯を!』ってタイトルとこういうポスターだったら、絶対ヒュー・グラントが出てくると思うでしょう? なのにこの展開! 障害や性のタブーをテーマに選びながらも、ユーモアがちゃんと描かれていることが素晴らしいと思いますね」と、時折観客の笑いを誘いながらも、真摯な言葉選びで思いを述べた。

さらにリリーは「女性の性欲求を、甘酸っぱくチャーミングに表現している映画はすごく珍しいし新しい。障害のある人は聖人視されがちですが、車椅子に乗っていようが目が見えなかろうが、基本的な欲求はみんな持っているんだということを描いている。バイセクシャルの人も登場するから、いろいろな性意識を知るきっかけにもなりますよね」と話す。その言葉に安藤は「そう! しかもそれがすんなりと入ってくるんですよね!」と大きくうなずき、「私はトイレのシーンが好きですね。すごくぐっときた。幼なじみとキスをするところもいいな。性が描かれているところが圧倒的によかったです。表現がエグくないし、『アメリ』みたいだよって言ったらみんな観てくれると思います!」と本作の魅力を語った。

そして最後に、リリーがイラストを手がけたくましの氏の団体のステッカーが観客にプレゼントされ、トークイベントは終了した。

※記事初出時、内容に一部誤りがありました。お詫びして訂正します。

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