舞台「アンフェアな月」第2弾「~刑事 雪平夏見シリーズ~『殺してもいい命』」 PR

舞台「アンフェアな月」第2弾「~刑事 雪平夏見シリーズ~『殺してもいい命』」松田凌×中村優一|雪平夏見を見守る2人が互いを分析

秦建日子のベストセラー小説「刑事 雪平夏見シリーズ」を原作とした、舞台「アンフェアな月」第2弾「~刑事 雪平夏見シリーズ~『殺してもいい命』」が6月21日に幕を開ける。

稽古が始まって約1週間が経過した5月下旬、本作のキーパーソンを演じる松田凌と中村優一に話を聞いた。2人が演じるのは、主人公・雪平夏見をそれぞれ別の角度から見守る役どころ。舞台本編で直接会話をするシーンはないものの、松田と中村は終始和やかな雰囲気で互いの演技を分析しながら、脚本・演出を手がける菅野臣太朗の作品の立ち上げ方や、本作の楽しみ方などを語った。また特集の後半には、「この演劇は、作品ではなく、事件だ」と話す菅野のコメントも掲載している。

取材・文 / 興野汐里 撮影 / 三浦一喜

舞台「刑事 雪平夏見シリーズ」

「刑事 雪平夏見シリーズ」は、風変わりな女性刑事・雪平夏見の活躍を描いた秦建日子のハードボイルド小説。1作目の「推理小説」が「アンフェア」のタイトルでテレビドラマ化、映画化され、人気を博した。そして2018年、「刑事 雪平夏見シリーズ」の2作目「アンフェアな月」を「~刑事 雪平夏見シリーズ~ 舞台『アンフェアな月』」として篠田麻里子主演で舞台化。来たる6月21日には、舞台「アンフェアな月」第2弾「~刑事 雪平夏見シリーズ~『殺してもいい命』」が開幕する。

舞台「アンフェアな月」第2弾「~刑事 雪平夏見シリーズ~『殺してもいい命』」キービジュアル

松田凌×中村優一 対談

エンタテインメント性のある会話劇を目指す

──主人公・雪平夏見の相棒である若手刑事・安藤一之役の松田さんは今作「殺してもいい命」で初参加、雪平の元夫・佐藤和夫役の中村さんは2018年に上演された舞台「アンフェアな月」にも出演されました。舞台「刑事 雪平夏見シリーズ」の出演にあたって原作の小説は読まれましたか?

松田凌

松田凌 僕は元々ドラマシリーズと劇場版の大ファンで、今回出演のお話をいただいたタイミングで小説を読んだのですが、とても面白かったです。と同時に、時間が入り組んでいて、場面転換も登場人物も多い作品なので、「これをどうやって舞台にするんだろう?」と思いました。

中村優一 わかる! そう思うよね。僕は前作に出演したときに原作を全部読みました。あの小説を2時間ちょっとでまとめるとなると大変なので、舞台用に構成が変わっている部分もありますし、舞台では警察内部の描写が多くなっている印象があります。例えば会議のシーンは、実際に警察の内側を覗いているような臨場感があってドキドキしますよね。

──脚本・演出は、前作に続き菅野臣太朗さんが手がけられます。

松田 臣太朗さんとは2015年の公演でご一緒して以来なんですが、改めて、しっかりと作品の骨組みを作ってから肉付けをしていく方だなと思いました。あとは稽古の進行スピードが速いですね。

中村 臣太朗さんは段取りをつけるのがすごく速くて、顔合わせが終わった次の日に、約半日くらいで出ハケや立ち位置がもう決まっているんです。

──すでに菅野さんの中では演出プランが明確に固まっていらっしゃるんですね。

中村優一

中村 そうですね。自分が見たい景色、お客さんに見せたい景色が決まっているので演出に迷いがないんだと思います。そう言えば臣太朗さんとは、昨年末から今回の「殺してもいい命」までずっと一緒で、もはや劇団員みたいになってます。そろそろ臣太朗さんの演出助手ができるんじゃないか?っていうくらい(笑)。

松田 ははは!

──「刑事 雪平夏見シリーズ」は刑事ものですが、舞台「刑事 雪平夏見シリーズ」はアクションで魅せるというより、登場人物たちが対話を重ねながら事件の真相に迫る構成になっています。刑事ものの作品を会話劇として立ち上げていく面白さや難しさはどんなところにあると感じていますか?

中村 刑事ものを会話劇で、しかもサンシャイン劇場のような大きな会場でやるというのがまずチャレンジングな企画ですよね。

松田 サンシャイン劇場で上演するにあたって、やっぱりエンタテインメントとしても成立させる必要があると思っていて。僕たちキャストは、お客さんの気持ちが前のめりになるように努力をしないといけないですよね。

中村 そうだね。いかにお客さんに集中してもらうかを考えていかないと。

凌くんの好きなところは……(中村)

──中村さんは第1弾でも佐藤和夫役を演じられましたが、今回は少し立ち位置が違いますね。

中村 今回、佐藤和夫が亡くなったところから物語が始まるので、最初に台本を読んだとき、「自分はどうやって出るんだろう?」って思いました(笑)。今回はストーリーテラーのような形で作品に関わっていきながら、元妻・雪平への気持ちを明かすシーンや彼女との思い出を吐露するシーンもあるので、雪平の背中を後押しするような存在になれたらいいなって。

松田 佐藤って塩梅が難しい役どころじゃないですか。だから「優一くんすごいな」っていつも思ってます。状況を説明する役割を担っているから、感情を込め過ぎてもダメだし、淡々とし過ぎてもダメだし、ちょっとでもこのバランスが崩れると興が醒めてしまう。前作に出演された経験があるからかもしれないんですけど、優一くんのセリフ回しってすごく心地がいいんです。

──中村さんのことを、すごくよく観ていらっしゃるんですね。

松田 僕たちが出るシーンの前後に優一くんの登場場面があるので、稽古中、お互いの出演シーンが観られるんですよ。

中村 凌くんとは、15年に上演された「クールジャパン~道(DOU)~」が唯一の共演だったので、今回一緒に出演できてすごくうれしかったですね。

松田 こちらこそ! 僕もうれしかったです。

左から松田凌、中村優一。

──松田さんと中村さんは「仮面ライダー」や少年社中作品など、共通した作品に多く出演されているので、お二人の共演を待ち望んでいたファンの方も多いと思います。お役の話に戻りますが、松田さんはご自身が演じる安藤とどのように向き合っていらっしゃるのでしょう?

松田 かしこまって機械的な演技をするのではなく、かと言ってラフになりすぎない、いいバランスで役に入っていけているような気がします。安藤は、金魚のフンみたいに雪平夏見のあとをくっついていってるんですけど、彼女にとってキーパーソンでもあって。僕は安藤として、ほかの誰にも埋められない雪平夏見の心の穴を埋めていきたいですし、雪平夏見と共に成長していきたいなと思っています。

中村 安藤を演じるうえで、天然っぽさを出してみたり、雪平の尻に敷かれてみたり、過剰な演技をしたほうが役者としては楽なんですよね。でも凌くんはその雰囲気を出し過ぎない。あとはやっぱり凌くんの仕草が好きです。本人も心がけてると思うんですけど、凌くんって生々しい演技をするんですよ。舞台だけど映像っぽいというか、その中間あたりのお芝居をしてるから、すごく勉強になります。

──今、中村さんがおっしゃったことを松田さんは意識されていたんでしょうか?

松田凌

松田 そうですね。劇場の大きさや作品によってデフォルメすることはもちろんありますが、とにかく舞台上で嘘がないようにしたいんです。いろいろな作品に出演させていただく中で、舞台に立っている間はその役として正直に生きられるようなお芝居をしたいと思うようになって。そういった自分のこだわりが優一くんに伝わっていてよかったです。

中村 凌くんは自分のセリフがないところでも細かい仕草に気を遣っていて、目がいってしまうというか目が離せなくなるんですよね。

松田 うれしいな……ありがとうございます。ドラマで瑛太さんが演じている安藤を観て思ったんですが、おそらく安藤って、僕たちくらいの年齢の男性と同じ葛藤を抱えているキャラクターだから、特に男性は安藤に気持ちを寄せる方が多いと思うんですよ。だから今作を通して、自分も安藤と一緒に成長できたらうれしいですし、「安藤っぽいよね」と思ってもらえたらいいなって。