「魔法使いの約束」の世界へ旅しに来て
──魔法使いのように、本来の自分とかけ離れたキャラクターを演じる際、どのようなことを意識しながら役を立ち上げていくのでしょうか? 丘山さんは別作品のインタビューで「役が自分に憑依することがある」とおっしゃっていましたが……。
丘山 小さい頃から「何にでもなりたい!」っていう願望があったので、おそらくいろいろな人物を自分に憑依させることが好きなんだと思います。女性的な役をやったときはくびれができたこともあったし、役によっては顔つきが変わったりもするし。
──オズを演じるにあたって、丘山さんがどのような変貌を遂げるのか非常に気になります。
丘山 たぶんめっちゃスラッとしていくと思いますよ。膝下が3cmくらい伸びちゃったりして!
一同 ははは!
丘山 そういえば、魔法使いを演じることに対してあまり壁を感じていないかも。
北川 確かに。特殊な能力は持ってるけど、人間に近い部分がありますもんね。
丘山 そうそう。ただ、「魔法使いの約束」の世界に溶け込むにはどうしたらいいのか、キャラクター同士はどのような関係性を築いているのかについては、しっかり考えて理解していかないといけないなと思っています。
北川 そうですね。見た目をいかに近付けるかだったり、自分が演じるキャラクターのバックボーンを掘り下げていくことももちろん大切なんですけど、周りとの関係性を強く作っていかないと厚みが出せないので、そこはとても意識しています。
丘山 お互いがお互いのキャラクターを作っていくというか、相手が自分のキャラクターを構築してくれることってすごく多いもんね。
岩城 お二人がおっしゃったように、キャラクター同士の関係性をしっかり築いていきつつ、自分が演じるキャラクターの良いところをたくさん見つけて、それを表現できたらいいなって思います。
丘山 原作で描かれていないところまで表現できるのが演劇の強みだから、舞台も素晴らしいものになると思います。ね! そうだよね!
北川 ははは! 原作に負けないように作っていきたいですよね。
──お話を伺っていて、お三方は今後きっと素敵な関係を築いていかれるのではないかと感じました。
丘山 ですね! もうすでに楽屋にいるみたいな気分になってきました(笑)。第1章、第2章、第3章と上演を重ねていく中で、新しい仲間もどんどん増えていくと思うので、中央の国の僕たちがしっかりとベースを作って、座組を引っ張っていきたいです。そして観に来てくださるお客さんには、僕たちキャストを信じてもらいたい。気軽に旅行へ行けない状況ではありますが、僕たちが作った「魔法使いの約束」の世界へぜひ旅しに来てほしいです。ボン・ボヤージュ!
北川 僕たちが演じている間だけはせめて、現実の世界を忘れて、「魔法使いの約束」の世界に引き込まれてほしいですね。それぞれのキャラクターの葛藤や、人間と魔法使いの関係性、魔法使い同士の関係性を丁寧に描くことで、お客さんに共感できるものをお届けできればと思います。
岩城 すごくありきたりな表現になってしまうんですけど……こういうときだからこそ、エンタテインメントの力によってお客さんをハッピーな気持ちにできるように、少しでも元気を与えられるようにがんばりたいです。そこをより一層大事にして、「魔法使いの約束」の世界を作っていけたらと思うので、皆さんぜひ観に来てください。