ステージナタリー Power Push - 博多座「熱血!ブラバン少女。」博多華丸&星野真里インタビュー
現役の高校生にぜひ観てほしい
何も出し惜しみしてません!
──華丸さんは2015年に上演された「めんたいぴりり」に続き、2度目の舞台となります。前回のご経験が自信となりそうですか?
博多華丸 いや、自信はないです、でも不安もないですね。前回は不安だらけだったけど、場所とか雰囲気は1回味わっているので。
──ベテランから高校生役の若手まで、幅広い顔合わせですが、座組の雰囲気はいかがですか?
華丸 先輩方には僕、完全に身を預けてしまってますが(笑)、若い子たちとはまだ芝居の話はできていませんね。甘いものを差し入れたりとかはしてるんですけど……。
──さすが座長!
華丸 いや、もう自分のことでいっぱいいっぱいすぎて。
星野真里 でもみんな、華丸さんに話しかけてもらえるだけでうれしがっていると思いますよ。
──華丸さんと星野さんは、今回が初共演です。
星野 華丸さんはすごくシャイな方だと聞いていたので、どれだけシャイな方なんだろうと思っていたんですけど、普通にコミュニケーションがとれて、安心しました(笑)。
華丸 いや、もう星野さんに“おんぶに抱っこ”ですよ、こんなか弱い身体に。
星野 あははは。華丸さん、あと(パラシュート部隊の)斉藤優さんもそうなんですけど、パブリックイメージと違って、普段はすごく静かですよね。ただ、お客さんの前に立つ場数は相当踏んでいらっしゃるので、きっと本番のエネルギーがすごいんだろうなと。そこは信頼してます。こちらは稽古で地道に積み上げていくしかないので、なるべく今のうちにペースを上げておきたいなと思いながら稽古に挑んでるんですけど……。
華丸 いやいや星野さん! 僕、今、結構本気でやってますよ? 何も出し惜しみしてませんから。
星野 でもきっとお客さんの反応を受けたらもっと……。
華丸 どうですかねえ(笑)。
──相方の大吉さんは、華丸さんの舞台出演について、何かおっしゃってますか?
華丸 喜んでますよ、しばらく漫才しなくていいって(笑)。でもあちらはあちらで、大喜利バラエティ番組「IPPONグランプリ」で優勝しちゃったりするからプレッシャーですよ。
──大喜利イベント「ダイナマイト関西2016」でも優勝されましたよね(参照:博多大吉が「ダイナマイト関西2016」優勝!和田ラヂヲ撃破し1729名の頂点に)。
華丸 みたいですね、冗談じゃないです!
──でも大吉さんも、華丸さんが俳優として活躍されることを励みにされているのではないでしょうか。
華丸 そうですね、コンビですからね。
──本作は、G2さんによるオリジナルストーリーはもちろん、精華女子高等学校吹奏楽部による生演奏シーンも大きな見どころとなっています。劇中でお2人は、実際の指揮にも挑戦されますね。
星野 そうなんです。生演奏なので、華丸さんの指揮で本当に曲が始まるんですよ。すごく責任重大です。
華丸 吹奏楽部との合同練習が、福岡に入ってからなので、本番の3、4日前なんですよね。これまで吹奏楽とはまったく無縁だったので、そこがとにかく不安です……。
星野 プロローグは私にとっても一番大変なシーンなんです。曲調の変化に合わせて物語も展開するんですけど、私の役はナレーション的な役割もあるので、冒頭では音楽に合わせて、“この尺でこのセリフを言う”というような細かい演出がついているんですね。とても緊張します。ただそのシーンさえ終われば、肩の力を抜いてこの作品世界を楽しめるんじゃないかなと思っています。
華丸さんが先生にしか見えない
──華丸さんが今回演じられるのは、吹奏楽に情熱を傾ける熱血高校教師・武勝先生役。ある事情によって12年前に突如学園を去ることになった、影のある難しい役どころです。星野さんは、武勝先生の教え子で現在は学園で職員として働く生島聡美役。生徒たちの良き相談相手でもあります。それぞれ当て書きの部分もあるそうですが、ご自身との共通点を感じられますか?
華丸 僕はいわゆる体育会系ではないので、“熱血”のイメージがよくわからないんですけど、今はもう、G2さんがおっしゃった通りにやっています。あえて言うなら……武勝先生って時々いいこと言うんですよね。でもそれが全部、受け売りなんです。僕も“よその子とゴーヤが育つのは早い”とか変な格言をネタの中で言ったりしますけど、そこはちょっと近いかもしれません(笑)。
星野 私の中では、華丸さんはもう先生にしか見えません。武勝先生は静かながらも頼りがいがあって、懐が深いというか。生徒たちに慕われて、生徒たちの熱意に押されて自分も一緒になってがんばれる方。大人としてすごく素敵だなあと思います。聡美はそんな武勝先生の12年前の教え子で、きっと先生を尊敬して、憧れて、もしかしたらちょっと恋心すら抱いていたんじゃないかな……。
華丸 ホントに、「慕ってくれてるんだなあ」って僕が思えるように演じてくださるんです。
星野 いえいえ、華丸さんがそう思えるような存在感を出してくださるからです!
──星野さんご自身は、聡美との共通点を感じられますか?
星野 私は聡美ほど明るくないし、前向きじゃないし、人望を集めるタイプではないし(笑)、全然違うと思います。でも“自分がこうだったらいいな”と思うような女性像なので、演じられてすごくうれしいです。
華丸 もう、オープニングから星野さんの圧倒的な演技力を見せつけられて、私は震えてます。この作品が星野さんの芝居だったと言われても過言ではないので、必死に追いかけてます!
──(笑)本作は博多の方にとっては地元の吹奏楽部と人気者の二大コラボ作品、博多以外の方にとっては博多をより身近に感じられる作品として、さまざまな楽しみ方がありそうです。また、親、子、教師、生徒などさまざまな立場の人の思いが描かれているので、親子で観ても面白いかもしれません。
華丸 そうですね。今回この作品を通して、僕も親として、子供に吹奏楽させたかったなって思ったんです。博多は東京からちょっと遠いけど、ちょうど春休みですからね。現役の高校生とか、これから高校に入る中学生とかにぜひ観てもらいたいな。それと、生演奏なので日によって雰囲気も違うと思うんです。何度か足を運んでいただいて、その違いもぜひ楽しんでいただけたら。
星野 日本一の高校吹奏楽部の生演奏と、キャスト、スタッフの熱い思いが込められた素晴らしい作品になっています。博多まで足を伸ばしても価値がある、損はさせない作品だと思いますので、ぜひ観にいらしてください!
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- 作・演出:G2
- 出演:博多華丸、星野真里、金子昇、田中美里、宇梶剛士、森田順平、鳳蘭 / 宮﨑香蓮、入来茉里、神田朝香、上野遥(HKT48) / 武内由紀子、斉藤優、是近敦之、松永玲子
- 特別ゲスト:精華女子高等学校吹奏楽部
博多華丸(ハカタハナマル)
1970年福岡県福岡市早良区出身。福岡大学の落語研究会で出会った博多大吉と漫才コンビ「博多華丸・大吉」を結成した。ピンでは、RKBのラジオ番組「博多華丸のくろいさでつながるバイ!」を担当。また「R-1ぐらんぷり2006」に出演し優勝を収めた。俳優としては、映画「死にぞこないの青」、大河ドラマ「真田丸」などの話題作に出演。中でも、2013年に放送された、明太子の老舗「ふくや」をモチーフにしたドラマ「めんたいぴりり」で創業者役を演じ、好評を博した。それを受けて続編ドラマ、舞台も制作され、2015年の舞台版「めんたいぴりり」にて博多座で初舞台を踏んだ。今回が2度目の舞台出演となる。
星野真里(ホシノマリ)
1981年埼玉県出身。7歳より子役として活動をはじめ、1995年よりテレビドラマ「3年B組金八先生」シリーズに坂本金八の娘・乙女役として出演し、注目を集める。2001年には「新・星の金貨」に主演。その後もテレビドラマ「大奥」「プラトニック・セックス」、映画「私は猫ストーカー」など話題作に次々と出演する。特に、古厩智之監督「さよならみどりちゃん」で第27回ナント3大陸映画祭で主演女優賞、是枝裕和監督「空気人形」で 高崎映画祭最優秀助演女優賞を受賞した。舞台経験も豊富で、伊坂幸太郎原作「ポテチ」をはじめ、「晩秋」「ゼブラ」「春子ブックセンター」などに出演している。