ウエストランド井口と作家飯塚の「今月のお笑い」。

今月のお笑い 19本目 [バックナンバー]

ウエストランド井口と作家飯塚と男性ブランコが語る「2023年11月のお笑い」

単独ライブを開催する意義、「キングオブコント」に部門欲しい、井口「R-1」出場宣言、覚醒するダイアン津田

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ウエストランド井口と構成作家・飯塚大悟が、毎月のお笑い界の出来事を勝手に振り返る連載「今月のお笑い」。今回は男性ブランコをゲストに迎え、11月14日、15日に開催されたウエストランドの単独ライブを観覧してもらったうえで取材の場を設けた。コント師の単独ライブにいろいろ言っている井口と、こだわりの詰まった単独ライブで人気を博している男性ブランコの“単独ライブ観”とは? そこから派生して、「キングオブコント」に思うことやテレビ番組に出演する際のそれぞれのスタンスなどが明らかに。昨日12月7日にファイナリストが決定した「M-1グランプリ」や明日8日に決勝が行われる「THE W」についても。

構成 / 狩野有理 ヘッダーイラスト / 清野とおる

※取材は12月5日に実施。

自分の単独にあまり携わらない井口

──今回は男性ブランコのお二人をゲストにお招きしました。11月に開催されたウエストランドの単独ライブ「FANG!」もご覧いただいていますので、それぞれの“単独ライブ観”みたいなものをお聞きできればと思います。まずは井口さん、常々「やりたくない」と言っていた単独ライブを終えていかがですか? ライブ当日のステージに立ってもまだ「本当にやる?」と渋っていましたけど(笑)。

井口 単独のエンディングでも言いましたけど、やっぱりやりたくないなと思いました(笑)。達成感とかもあんまりないし。単独のためにほかの仕事をセーブするとかもないので、本当に大変でしたよ。

ウエストランド(中央2人)の単独ライブを鑑賞した男性ブランコ。

ウエストランド(中央2人)の単独ライブを鑑賞した男性ブランコ。

平井 でもこの間、ヨシモト∞ホールで「おざいまん師」という漫才のライブがあったんですけど、そのときに単独ライブからさらにブラッシュアップされたネタをやられていましたよ?

浦井 単独からいいネタができてるじゃないですか。

井口 でも単独のために下ろしたネタではないからね。

飯塚 僕は2日目に観に行ったんですけど、前日に来ていた男性ブランコのことがもうネタに入っていましたよ(笑)。

井口 なんか「エモい」とか言ってる奴がいたから、「お笑いナタリーの仕事で来てるだけだからな!」って言っときました(笑)。

──「あちこちオードリー」(テレビ東京)でウエストランドと男性ブランコが共演した際、男性ブランコが「ウエストランドの単独観たいです」とおっしゃっていたんですよね。そのときに井口さんが男性ブランコの単独ライブに対していろいろ言っていたのもあり、逆にウエストランドの単独ライブの感想を男性ブランコにお聞きしたいなと思ってお声がけした次第でした。

平井 「あちこちオードリー」のときはもう単独ライブやることが決まってたんですか?

井口 決まってないよ。決まってないというか、社長が「やりなさい」っていうのに抗ってた。関係者にも来ていただきましたけど、「こんなの誰が見たいんだろう?」とか思っちゃうし。

浦井 そんなことないですって。もうちょっと人を信じてくださいよ。

飯塚 観に来てくれた人すら信じない(笑)。

──「2023年8月のお笑い」では、単独ライブをやりたくない理由を「自分たちを好きな人たちを集めて、自分たちがやりたいことを見せることに興味がない」とお話ししていました。

浦井 そこに重きを置きたくはないんですか?

井口 なんでも言っていい場でなんでも言うのは面白くないなと思っちゃう。

飯塚 井口くんはアウェー癖がついているんですよ。

平井 アウェーで戦いたい?

井口 アウェーで戦いたいわけじゃないけど、気がつけば全部アウェーだったっていう。で、「ここでこれ言うんかい」の究極が「M-1」の決勝だから。

飯塚 NON STYLEの石田さんが、ウエストランドの漫才を「生レバー」だって言ってて。「M-1でこんなこと言っていいの?」というハラハラ感が魅力だと。

──では男性ブランコのお二人に単独ライブの感想を聞いてみましょう。平井さんいかがでしたか?

平井 そんなん言いながら、楽しそうでしたけどね? ネタはもちろん面白いですし、漫才を愛していらっしゃるんだなと。最初が緑色の照明だったんですよ。ご本人が意図してるかはわかりませんけど、単独ライブのタイトルが「FANG」(=牙)なので、おそらくトラをイメージしたんだろうなと思ったんです。トラ的な鋭いネタを用意して、次はブルーの照明だからサメ的なネタ。黄色だったら、砂漠に棲む、なんらかの猛獣的なネタ。

浦井 その地に棲む、牙を持つものをイメージした照明だった。

平井 そうそう。そういう牙の剥き方を表現しているのかなと思いました。

井口 もちろん、そんなこと意図してないよ(笑)。青とか緑だったんだ、っていうくらいの。

浦井 照明の色、知らなかったんですか?

井口 携わってないからね。

飯塚 井口くん、ネタ以外何も携わってないでしょ?

井口 携わってないです。だって、出囃子だってしびれグラムサムっていうわけわかんないタイタンの若手が適当に決めてますから。

平井 ネタ以外はお任せ状態なんですか?

井口 そうだね。どのネタやるかと、順番だけ決めてる。

平井 V(映像)の内容は?

井口 一緒にネット配信(「ウエストランドのぶちラジ!」)してる人たちがやってくれたんだけど、「大変なことはしないで楽しいことだけでお願いします」っていうのを伝えたくらいで携わってない。男性ブランコは携わりたいの? 照明とか。

平井 基本的にそうですね。もちろん1人で考えるわけではなくて、僕らはチームを組んでやっているんです。照明さんや音響さん、作家さん、キービジュアルを作るデザイナーさん、毎回同じではないですが写真家さん、制作さんなど、それぞれのプロの方がいて。

──単独のコンセプトを決めて、それに向けて各セクションがアイデアを持ち寄って相談して、みたいな形ですか?

平井 そうですね。「こんなネタだったらこんな感じの照明がいいですね」とか。けっこう打ち合わせもしますよ、全員で。

井口 大変だなあ。

飯塚 でも、井口くんもさすがに「FANG!」ってタイトルは自分で決めたんじゃないの?

平井 タイトルはどうやって決めているんですか?

井口 今までがアルファベット4文字(第1回が「GRIN!」、第2回が「FINE!」)だったので、「アルファベット4文字 カッコいい」で検索して出てきた中からマネージャーさんが「FANG」を見つけてきて、「じゃあそれで」っていう。そもそも最初の単独も、爆笑問題の単独ライブが「ジョーカー」だったからそんな感じにしようということで英単語にしたんですよ。タイトルに意味があっても嫌だから。今回よかったのは、配信があるから著作権フリーの音源しか使えなかったんです。だからなんにも言われる筋合いがない。「この曲選んだんだ~」とか思われたくなくて。

平井 深読みされたくないんですね。

井口 男性ブランコは曲どうしてるの?

平井 僕らも配信があるので、理想は作ってもらうのが一番。前回は後輩のトニーフランクにオリジナルの曲を作ってもらって、幕間に生演奏してもらいました。今度、国立科学博物館で単独ライブがあるんですけど、それは作家さんの知り合いの音楽家の方に作っていただきます。

井口 ん? 「嗚呼、けろけろ」?

浦井 捕まった……(笑)。

井口 どうやって決めたの?

平井 タイトル決めるときってまだ内容はほぼわからないじゃないですか。会場は決まっていたので、博物館でやるっていうのと、引っかかりです。「なんだこれ?」となるような。

浦井 「ん?」となってほしいんです。単独ライブの告知をしたときに、「何それ?」って僕らは言われたいので。

「男性ブランコの博物館コントライブ『嗚呼、けろけろ』」ポスター

「男性ブランコの博物館コントライブ『嗚呼、けろけろ』」ポスター

「嫌なこと」には誠実

──浦井さんのご感想もお願いします。

浦井 とてもストイックでしたね。

──全体のコンセプトに沿って構成されているというよりは、強いネタをほぼ幕間なしで続々と披露していくソリッドなスタイルで、井口さん、河本さんそれぞれのVTRが1本ずつだけ上映されました。

ライブレポート

浦井 それこそ「あちこちオードリー」で嫌いだと言っていたことは全部省かれていて。最後に長尺ネタもやらないし、タイトルに意味も込めないし。そこはすごく誠実だなと思いました。

井口 あと、ゲストは呼ばない。「単独」と言うからにはゲストはなしでやらないとかなとは思う。

浦井 自分の中に単独に対するルールはあるんですね。

平井 向き合ってるなあ。

浦井 めっちゃ単独とちゃんと向き合ってますよ。

井口 向き合ったうえで、やりたくはないんだよ。

飯塚 男性ブランコもウエストランドも、別のベクトルでストイックだと思うんですよ。それぞれの単独を見させてもらって、それぞれのお笑い観がめちゃくちゃ出てるなって。映像とか企画とか、いろいろやりすぎて雑多な単独ライブもあるじゃないですか。でも男性ブランコは頭からしっぽまでちゃんと1つのコンセプトで構成されていて、衣装や照明、音響にもすべてに意味がある。ウエストランドはとにかく漫才だけに絞ってそれ以外に意味を持たせないようにしてて、これもある意味コンセプチュアルだと思う。そういうほうが「単独を観たな」って感じがします。

単独ライブはカッコいいし経済でもある

井口 男性ブランコは単独ライブの何が楽しいの?

浦井 ええ? 楽しいじゃないですか。

左から男性ブランコ浦井、ウエストランド井口、飯塚大悟、男性ブランコ平井。

左から男性ブランコ浦井、ウエストランド井口、飯塚大悟、男性ブランコ平井。

飯塚 前回の男性ブランコの単独ライブは間違いなく単独でしかできないことだから、それはウエストランドと全然違うなって思いましたね。

井口 なんで単独でしかできないことなんてやるの?

平井浦井 あはははは!(笑)

浦井 そんなのもう、「なんで生きてるの?」と同じですよ。

井口 テレビでもできないし、賞レースでもできないわけでしょ?

平井 だから、お客さんが来てくれるんですよ。テレビで見られることだったら、わざわざ会場に足を運ばない。お客さんにたくさん見てもらうために単独でしかできないことをやっているところはありますね。あとは、僕らのルーツ的なところもあるかもしれないです。先輩たちの単独ライブを見て、それがかっけえと思ってお笑いを始めているところもあって。

コラム

井口 なるほどね。でも、僕はですけど、テレビでできないことをやっても意味ないって思っちゃうんですよ。

──どんな場でもやれるネタを作りたい?

井口 もったいないと思っちゃうんです。前にとろサーモン久保田さんとのツーマンのトークライブに出たときに、「なんだ、面白いだけか」みたいな感想が来たんですけど。

浦井 最高の褒め言葉に聞こえますけどね?(笑)

井口 「猛毒の宴」とかいうタイトルだったから、放送禁止のトークが聞けると思われていたみたいで。強いエピソードを話すだけだったのがちょっとがっかりされたのかもしれない。僕は基本的にテレビで言えないことはどこでもやらないし言わない主義だから。まあ、男性ブランコは人気あるし、見てくれる人が多いからっていうのもあるのかなあ。でもお客さんが少ない時代からずっとやってるのか。

浦井 そうですね。

飯塚 そういう単独ライブを昔からやってきたから、熱のあるファンが今たくさんついているんじゃない?

井口 確かに。「男性ブランコの単独ライブ」というものがお笑いファンに定着してきてるわけですもんね。

飯塚 単独ライブで井口くんが言っていたけど、スタンドマイクがあるかどうかの違いだけで、ラジオでもテレビの平場でも、やってることが変わらない。わざわざ単独ライブという形にしなくてもやりたいことができちゃってる。

浦井 ああー。やりたいことをやれる場が単独以外のところにあるんですね。

平井 井口さんはテレビがやりたいことで、そこで戦える技量があって自信を持っているからこそ、あの単独ライブのスタイルだと思うんですけど、僕はテレビで大活躍するっていう自信は正直ないんです。もちろん呼ばれたものは一生懸命がんばります。テレビっ子でしたし。単独ライブをやる理由に「カッコいいから」というのもありますけど、ちゃんと金儲けとして、経済として、儲かるって信じてるからできるんですよ。ただ、いまだ、それが労力には合ってないなとは思っています。

井口 東京03さんみたいになっていければいいっていうことだよね。全国とか回って。

平井 そうですそうです。ウエストランドさんは、回るのはどうなんですか? 地方の幸が食べられる。

浦井 幸目的(笑)。

井口 全然やりたくはないかなあ。1時間半とかやるの、単純にしんどいじゃん。緊張もするし、準備もしなきゃいけないし、練習もしなきゃいけない。ネタだけやっていきたいみたいな人いるけど、信じられないよ。1時間半を2公演とか、無理! やるとしても1回にしたいし、もう二度とやりたくない。

平井 ないんですか? 次回の予定は。

井口 社長がなんか言ってたけど、うまく逃げていくしかないよね。単独やって、結果誰が喜んだんだろう?

──お客さんでは?

井口 ……お客さんでしょ?

浦井 いいじゃないですか、お客さんが喜んだら!(笑)

井口 でも、毎月新ネタはやっているんだから、それで満足してくれよっていう。たまに疑問に思うのが、単独ライブって崇高なものになりすぎてません? なんでお笑いファンはそんなに単独ライブが好きなのか。バナナマンさんとかラーメンズさんとか東京03さんとかが質の高い単独ライブを作り上げてきたことでそうなっているんだと思いますけど。

「ウエストランド第3回単独ライブ『FANG!』」初日の様子。

「ウエストランド第3回単独ライブ『FANG!』」初日の様子。

──それこそバナナマンのコントは今や単独ライブでしか見られないですしね。いちファンとしては、ネタはもちろん演出も含めてどんなステージを作るのか、そのセンスを感じたいから単独ライブを見たいと思います。

井口 なるほどなあ。でも、僕はそれが嫌だから曲とかも選びたくないんですよ。皆目見当違いな感想言ってくるし。

平井 僕は、感想用のハッシュタグに関しては読みますけど、基本的にあんまりお客さんの意見を見ないようにしてます。「こういうネタのほうがよかった」という意見を見ると左右されてしまうので。占いも信じやすくて(笑)。頭に残っちゃうんですよ、言葉が。それが嫌だから、あえて見ないようにしてますね。

井口 男性ブランコが仕事で観に来てたことを次の日にもうネタにしてるっていうのも、ある意味、僕も言葉が残ってるからなのかもしれないけど。今回の僕らの単独を見て、すごくもなんともないってことがわかったと思うんですよ。何がいいんだよ、これ? 出たりはけたりして。

飯塚 前回の単独は途中で衣装チェンジもあったけど、今回はいよいよ着替えもせず。

──着替えもせず出たりはけたりしてましたね。

井口 だから、よくないのがわかっただろっていう。

単独が“崇高なもの”になっているのはなぜ

平井 でも、僕らが大阪で活動していた時代は単独ライブがそこまで崇められている実感はなかったです。「単独」と銘打つときに、「単独ライブって何するの?」とよく言われて。だから僕らは「コントライブ」にしているんですよ。

井口 へえー。大阪との違いなのかな。

平井 「単独」が浸透していないことに愕然としました。僕はもともと単独ライブを見るのが好きだったので。

──もしかしたら「単独ライブ」って東京の文化なんでしょうかね?

平井 東京に来たときに、それこそミュージシャンの方も「単独公演」と銘打っていて、こっちではけっこう「単独」って市民権あるんやと思いました。

井口 太田プロは「月笑」というライブを1年間やって、そのチャンピオンになった人しか単独ライブができないし、ほかの事務所もまだ名も知られていないような若手は基本できなくて、選ばれし精鋭しかできない。だから価値があるのかもね。単独が決まると、「おめでとうございます!」みたいな雰囲気があるじゃん。できないんだよね、簡単には。特に若手のときなんか。

飯塚 劇場がないっていうのもあるかもね。

平井 その違いもありますね。よしもとはわりとカジュアルに単独を打てるので。だから、追いかけてるファンからしても単独はすごいものっていうイメージなのかもしれない。

──ウエストランドの単独ライブにお花がたくさん届いていましたけど、それって「単独ライブ開催おめでとうございます」のお花ってことですもんね。

井口 ということは、やっぱり単独ってめでたいものなんでしょうね。

平井 もしかしたら、歌舞伎の子役が独り立ちしたときの名残みたいなものなんじゃないですか?

浦井 ああー、単独ができるまでに成長しておめでとうっていう。

──単独が一人前の証。

井口 だったら「トークサバイバー!」(Netflix)に出たときにもお花を出してほしいですけど。

浦井 それは一体どこに出せばいんですか(笑)。

井口 でもすごいことじゃん、「トークサバイバー」に1人で出たら。

飯塚 そういえば、「笑っていいとも!」(フジテレビ)のテレフォンショッキングってお花来てたよね。

井口 確かに! テレフォンショッキング出演は「おめでとう」感ありますね。

浦井 一人前な感じがします。

「今月のお笑い」がウエストランド単独ライブに出したお花。

「今月のお笑い」がウエストランド単独ライブに出したお花。

「キングオブコント」に部門があればいい

飯塚 コンセプトのある単独ライブをやりながら、賞レース向けのネタはいつ作っているんですか?

平井 よしもとはライブ数が多いのがメリットの1つだと思うんですけど、新ネタライブとかもあるので、そういうときに作ってます。

井口 その作業が二度手間だなって感じちゃいますね。

飯塚 ……ってことだよね、井口くんの発想的には(笑)。

井口 博物館じゃないからね? 「キングオブコント」の予選会場!

浦井 「キングオブコント」では後ろに化石とかないですけど、やりたいんですって(笑)。

飯塚 単独ライブが「キングオブコント」以外のコントを知れるきっかけにもなっていますよね。今って賞レースの存在が大きいから、「キングオブコント」で披露されるコントだけがコントのすべてなんだと思われてしまいそうですけど、コントって本当にいろんなジャンルがあるから。キングオブコントで披露されるのは、コントという大きなジャンルの中の「賞レース向けのネタ」という一部分でしかない。

平井 「キングオブコント」は基準が難しいなと思います。漫才の「1本のマイク(を立ててしゃべる)」っていうルールは画期的ですごいじゃないですか。それがちゃんと基準になっていて。コントは音や照明を使うもの、小道具が面白いもの、いろいろあって、それがコントの面白さだと思うんですけど、だからこそ「キングオブコント」では“部門”が欲しいなと。「素手部門」「音あり部門」「でか小道具部門」「モニター部門」とか。部門に分けたら見やすくなるんじゃないかと手前勝手に思うんですけど。

飯塚 今年の「キングオブコント」の準決勝を見ていて、男性ブランコやかが屋は戦っているジャンルが違う中でもそれぞれの面白さを発揮しているなと思いました。

平井 ジャンルとして「こういう感じのコントも決勝に上がってもいいかな」という攻め方ではあったので、真っ向ではないなと自分らでも思ってはいたんですよね。

飯塚 コントって特に人によって美学がバラバラじゃないですか。なるべく音を使わないのをよしとする人もいれば、セットをちゃんと組んだほうがいいと思う人もいて。漫才は2人の立ちしゃべりで面白いのが最高という大前提があって、そこからどう個性を出していくかですけど。

井口 コントは幅が広すぎますもんね。僕がもしコントをやってたら「卑怯だ」とか言っちゃいそうですもん。

平井 コントはやらないんですか?

井口 やらないやらない。1回、センターマイクを机とイスに変えただけのネタで「キングオブコント」準決勝に行ったことはあるけど。当時の決勝は(セミファイナリストによる)芸人審査システムだったから、審査もしてるからね。バイきんぐさんのあの伝説のネタに僕が9点しか付けなかったってことですごい怒られたんだから。

平井 え、好きそうなのに。

井口 めちゃくちゃ面白かったよ。でもまだほかの人がいたから、一応点数を抑えたら「10点をいっぱい出せばいいんだよ!」って怒られた。

──審査に対して真面目だったんですね。話を戻しますが、結局、井口さんにとって単独ライブは?

井口 楽しくもないし、しんどいし、後輩も観に来ないし。

飯塚 本当に来てなかったの?

平井 2日目も?

井口 誰も来ないよ。井口ウォッチャーのともしげさんだけは配信買って観てくれましたけど。

飯塚 芸能人は?

井口 0。ラッパーのSAMさんのみ。

編集部注:SAMは「フリースタイルティーチャー」(ABEMA)のときの井口のティーチャー。

井口 だからこれを記事にしてもらって、ファンの人にはもう二度と「単独ライブをやってくれ」と言わないでいただきたいです。

平井 (笑)。そういうスタイルなんだというのを聞けて、こちらも腑には落ちました。「あちこちオードリー」で「ぜひ見たいです」と言っていたのが今回叶いましたし、僕らとしても満足です。

飯塚 でも新しいなと思った。最後はなんかんだ「楽しかった」と言うと思ったけど、本当に嫌だったんだ。

井口 僕もそうなるかもしれないっていう希望はあったんですよ。でもやってみたら、やっぱり嫌でした。

浦井 思いがより確かになった(笑)。

──ライブでも言っていましたけど、新ネタライブの「漫才工房」や「タイタンライブ」、日々のテレビでの活躍を見てほしいってことですね。

ウエストランド(中央2人)の単独ライブを鑑賞した男性ブランコ。

ウエストランド(中央2人)の単独ライブを鑑賞した男性ブランコ。

チャンピオン目線で見る「M-1」

──残りの時間は「11月のお笑い」の話をしていきましょう。

井口 「M-1」がまさに佳境を迎えているわけですよね。

──この記事が出る頃にはファイナリストが決まっています。

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飯塚 決勝前に発売される「M-1グランプリ2023 完全ガイドブック」(ヨシモトブックス)で1位から3位を予想するみたいなコーナーがあって、2回戦をやっていた10月頃に答えたんですよ。挙げさせてもらったコンビが残るかどうか、すごいドキドキしてます。「見る目あるんだ」って思われたいので(笑)。

井口 その3組は準決勝に残ってるんですか?

飯塚 残ってる。

井口 でもここまで来たらどうなるかまったくわからないですよね。モグライダーもめちゃくちゃウケてたって聞くし。

飯塚 今回、準決勝の審査員が例年と一部入れ替わっているんですよね。自分もたまにほかの賞レースで審査員をやらせてもらう機会があるから思うんですけど、おじさんほど新しいものを求め過ぎちゃうところがあって。若い人ほどシンプルで、「昔こういうのあったな」とかにとらわれずに選べると思うから、これまでとちょっと変わる可能性はありますよね。

井口 でも、自分が出なくなったら全然見え方が変わりました。やっぱり出ているときは、ほかの人の予選動画を見て「みんな面白いな」「これに勝てるかな」って不安に思っていましたけど、今は「全然ダメじゃん」「これは落ちるでしょ!」って思いながら気楽に見られるというか(笑)。

平井 それ、本当にチャンピオン目線ですよ。俯瞰で見られてる。

──出場しているときは必要以上に不安になっていたんですね。

井口 ネタ動画を見ていて思ったのは、「ご存知」みたいな感じでやってる芸人が多い。特に最近は僕もライブに出ていないので、知らないわけですよ、お前のことなんか(笑)。単純に、これでウケてても審査員の人に印象悪いんじゃないかなって思っちゃう。逆にモグライダーなんて知名度めっちゃあるのに、ともしげさんがおバカっていうのを毎回丁寧に自己紹介していて。よくよく考えたらマヂラブさんとか錦鯉さんもちゃんと最初に説明しているんですよね。

飯塚 「初見の人に向けてやる」っていう意識はだんだん薄れているのかもしれない。

井口 お笑いファン、「M-1」ファンが多いから、その場では伝わるんでしょうけど。

飯塚 かつては「オンバト」(NHK)があったから、その収録する土地の初見のお客さんに向けてやる癖がついていたと思うけど、最近は「お笑いファンなら知っているだろう」という前提でやっている感じはある。お客さんとの間での内輪の笑いっぽいものが入っていると、ちょっと冷めてしまう人もいると思う。

井口 それでやるなら、知名度を上げるのもかなり重要ですよね。僕らも最初に決勝に出たときよりは優勝した年のほうが僕のキャラクターが知られていたっていうのもありましたから。

平井 でもウエストランドさん、「いいとも!」出てたじゃないですか。ちっちゃい頃から見てましたよ。

井口 “ちっちゃい頃から”なわけはない!(笑)

浦井 「オンバト」も出て、「いいとも!」も出て、めちゃくちゃ昔からテレビ出てるじゃないですか(笑)。

井口 全部最後のほうに出てるだけだから! 僕も見てたんだよ。

──ちなみに、男性ブランコの今年の「M-1」挑戦はどうでしたか?

平井 やっぱり準決勝の壁は分厚かったですね。

──井口さんはギリギリまで出場を悩んでましたけど、出なくて後悔はない?

井口 ないですね。よかったです、出なくて。やっぱり出るとなったら怖いので。

不安だからこそ単独でお客さんを集めたい

平井 ウエストランドさん的に、チャンピオンになって、次の目標は何かあるんですか?

井口 そもそも「M-1」優勝を目指してきたわけじゃないから、テレビにずっと出たいっていうことだけだよ。

平井 冠番組とか?

井口 もちろんレギュラーとか冠番組があったらうれしいけど、一から企画を考えて、っていうことには興味がないというか、できない。これもこの連載で話したことだけど、クリエイティブな才能もないし、やりたいことなんかなんにもないんだよ。与えられた仕事で期待以上の結果を出すことが一番いいから。

平井 とにかく来たやつに関して、全力で返していく。

井口 そうそう。それが一番。

平井 ……傭兵だ。お笑い傭兵(※)。

飯塚 単独ライブですらオファーでやってるから(笑)。ミッションがないとやれないタイプ。だから「M-1」に出たいっていう。

浦井 なるほど。「M-1」なんて大ミッションですもんね。

井口 だから「M-1」獲ったから燃え尽きることもないし、「じゃあ次の目標はこれだ」とかもない。

平井 でも、「ずっとテレビに出続ける」って僕は難しすぎるなと思っていて。不安でたまらない。とんでもない先輩、“とんでも先輩”が牛耳ってる世界じゃないですか。

井口 そんなの僕も不安だよ。「いいなあ、よしもとは」って思うもん。チャンピオンになれば劇場で食べていけるから。僕らはそれがないし、テレビに出られなくなったら終わり。食いっぱぐれるんだよ。なんでそんな気持ちにならなきゃいけないんだろうと思って、なんかめちゃくちゃムカついてきた。

──え、今ですか?

井口 なんでチャンピオンになってもこんなに日々不安を抱えて生きなきゃいけないんだろうって。テレビに出て有名じゃないと営業の仕事も来ないし。そしたらもう、よしもとに移籍するしかないよ(笑)。

浦井 それは傭兵すぎますって(笑)。

──平井さんも、テレビに出続けなければいけないとしたら、不安?

平井 不安だからこそ、単独でちゃんとお客さんを集めたいって思うんです。

浦井 ベースを作って。

平井 それがYouTubeの人もいるし、オンラインサロンの人もいるんでしょうけど、自分のベースとなるものがあるから「大丈夫」と思えるというか。それがあるからこそ、そこまで気負いすぎずにテレビに臨めているところはあります。「最悪、もう呼ばれんくても単独があるからええわ」みたいなスタンスがないと、「変なこと言ってしまったらどうしよう」って萎縮してものも言えなくなっちゃう。

井口 なるほどね。僕はそのベースもないから、「独身でいる」っていうだけだよ。最後の砦は。

平井浦井 ?

井口 家族がいたらもっと不安だし、どうにかしなきゃいけないじゃん。だから僕に残された手法は「独身でいる」。

平井 マジで傭兵やん!(笑)

井口 テレビで気楽にやるにはそれしかないんだもん。最悪、僕1人がどうなっても……っていう。結婚したことないからわからないけど、たぶん家族がいたら不安でしょうがないと思う。だから本当に怖いよ。バイトしてる夢とかまだ見るし。でも気負ってないように見えるけどね? テレビに出ている男性ブランコ。

平井 いやいや、「さんまのお笑い向上委員会」(フジテレビ)とかむっちゃ怖かったですよ。なんとかがんばりたいけど、がんばり方がわからなかったです。とにかく一生懸命やるだけで。

※編集部注:編集部注:「2023年8月のお笑い」でも井口は「ゲストで呼ばれて、その場その場で結果を出すほうが僕は楽しい。自分発信でやるよりは、場を与えられたらそこで一生懸命やりたいタイプで。内容は仕切りでもなんでもいいんですけど。究極を言えば、人が書いたネタでウケても僕はなんにも思わないんで。こだわりなんかないんですよね」と語っている。また「2022年5月のお笑い」では飯塚が「井口くんは『マルコポロリ』とか『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ)とか、荒れ地が得意だよね。ジープ芸人」と表現している。

全然ニュースになっていない「R-1」出場宣言

平井 ウエストランドさん、「THE SECOND」は出ないんですか?

井口 出られないんだよ、漫才チャンピオンは(※)。「R-1」は出ると思うけど。

飯塚 「R-1」出場宣言をポッドキャスト(オトステ)でしてたけど、なんのニュースにもなってないね。あれだけ「夢がない」とか言っていた「R-1」に出るってけっこうな話題だと思うけど。

平井 確かに。

──なぜ出るんですか?

井口 出れるなら出ますよ。もともと「R-1」は出ていましたし。芸歴制限が設けられた後も一応エントリーして、断られたんだから。

浦井 ええ?(笑)

※編集部注:「THE SECOND」の応募資格の1つに「全国ネットの漫才賞レース番組で優勝していないこと」がある。

──前回、「RGがあるある歌い続けウエストランドがあるなしクイズし続ける会」の中で生まれた芸で「R-1」行けるんじゃないかという話にもなったので、どんなネタで挑戦するのか楽しみにしています。また前回話したことで言えば、「チャンスの時間」(ABEMA)で「井口の愛を取り戻せ」が先日配信になりました。

井口 「チャンスの時間」のフットワークの軽さはすごいですよ。ここで話したことを飯塚さんが「チャンスの時間」の関係者に伝えてくれて、すぐ企画になって。

平井 映画観て泣くか、というやつですか?

井口 そうそう。

飯塚 感動で泣いたことがないという井口くんに、感動的な映画や映像を見せて、泣くかどうか検証するっていう。

井口 泣きはしませんけど、僕だって泣いている人と同じくらい感動はしてるんですよ?

初海外の上海でお土産没収される平井

──男性ブランコの「11月のお笑い」は何かありますか?

浦井 「上海国際コメディフェスティバル」に出させてもらって、そこでライスさんが上海のお客さんから大爆笑をさらっていたのがすごかったです。ネタを日本語をやって、パネルに字幕が出るんですけど、字幕でウケているんですよ。ということは、台本がいい。台本でちゃんと笑ってくれてる。

井口 それ聞きました。みんなちゃんとネタでウケてたって。お笑いを海外でやるのって難しいじゃないですか。日本人の機微とか、日本語のニュアンスとかが伝わらないから。それがちゃんと理解してもらえてウケているのはすごいですよね。

平井 けっこうしっかり、前のめりで観ていただけました。

浦井 1日目にしずるさんやライスさんがやって、次の日がとにかく明るい安村さんやチョコプラさんだったんです。安村さんは前日入りして、初日の人たちから「めちゃくちゃ楽しかった」「上海の人はお笑いに熱いぞ」みたいな話をたくさん聞いてから翌日トップバッターで出たんですけど、「あれ?」と。もちろんウケてたんですけど、聞いていた感じの盛り上がりではなかったみたいで、「話が違う!」ってなってました(笑)。

平井 ややこしいのが、舞台上で裸がダメだったんです。だから肌色の全身タイツを着て、その上からパンツを穿いていたので。

井口 そりゃウケないよ!(笑) ずっと着てるんだから。

浦井 「ずっと安心やしな」となったのかもしれないです(笑)。

「第9回上海国際コメディフェスティバル」に出演するとにかく明るい安村。(写真提供:吉本興業)

「第9回上海国際コメディフェスティバル」に出演するとにかく明るい安村。(写真提供:吉本興業)

「第9回上海国際コメディフェスティバル」に出演するとにかく明るい安村。(写真提供:吉本興業)

「第9回上海国際コメディフェスティバル」に出演するとにかく明るい安村。(写真提供:吉本興業)

「第9回上海国際コメディフェスティバル」に出演する男性ブランコ。(写真提供:吉本興業)

「第9回上海国際コメディフェスティバル」に出演する男性ブランコ。(写真提供:吉本興業)

──お二人はこれが人生初海外でしたよね? 思い出は何かできましたか?

平井 お土産で紹興酒を買ったんですけど、空港に荷物の検査場がいくつかあって、最後の関門で「これはなんだ?」となって。ちゃんと規定通りの容量だったのに振り出しに戻されて、また手続きしなくちゃいけないとかなんやかんやあって、結局「もう処分してください……」って諦めました。

浦井 買ったときは「やったー!」って言っていたんですよ。「行きつけのバーにあげるんだ」って楽しそうやったのに(笑)。

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本気出したらすぐ決勝に行く変ホ長調

井口 「THE W」ももうすぐ決勝ですね。

平井 注目株はいるんですか?

飯塚 去年からファイナリストが半分くらい入れ替わっています。前回優勝した天才ピアニストと、Aマッソ、ヨネダ2000が出ていなくて、TEAM BANANAと爛々はお休み(※)してていて。そんな中、1年目のはるかぜに告ぐ、2年目の梵天がフレッシュな顔ぶれですね。

井口 ぼる塾は4人で出ているんですよね。

浦井 1回優勝しているゆりやんがもう1回出たり、紅しょうがは5回目の決勝だったりと、けっこう見どころがありそうです。

井口 変ホ長調さんがこれで最年長ファイナリストになったって錦鯉のまさのりさんが言ってました。

浦井 え、そうなんですか?

──58歳と53歳のコンビです。

飯塚 「M-1」に出ているときでさえ40代だった。

井口 それを塗り替えてまさのりさんが50歳で最年長ファイナリストだったんですけど、今度また「THE W」でまた変ホ長調さんが最年長に。今回はけっこうネタを叩いてるって噂は聞いています。

飯塚 これまでは賞レースの予選でネタを下ろしていたけど、今年はインディーズライブに出て試しているんだってね。

井口 本気出したらすぐ決勝行くって、とんでもないポテンシャルですよ。

浦井 やす子もこれだけテレビに出ながら決勝に行くってすごい。

平井 審査方法はこれまで通りなんですか?

飯塚 そうですね。ブロックごとに毎回1対1でどちらが面白かったか。ちょうちょの順番(審査の開封順)的に最後になるマヂラブ野田さんが大変なやつ。

浦井 井口さんは審査員の話とかないんですか?

井口 ないよ。

平井 やりたいっていう欲は?

井口 ないよ。友達ひいきしちゃうし。

浦井 じゃあダメだ(笑)。

※編集部注:TEAM BANANAは山田が休養中のためコンビ活動休止中。爛々は大国が休養中で、萌々がピンで「THE W」2回戦まで進出した。

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僕という人間が普通に生きてるのに比べたら1億倍モテてる

飯塚 ハライチの岩井さんが結婚したニュースに対して、僕の見た範囲ですけど、ショックを受けている人が少なからずいて。それって思い描いていた“岩井さん像”と違ったからショックなんだと思うんですけど、過剰に期待してた部分もあるんじゃないかって。だから、井口くんも明言しておいたほうがいいんじゃないかな。若い人と結婚するかもしれないし、アイドルと結婚するかもしれないし。じわじわ慣らしていかないと「裏切られた」って言われちゃいそう。

井口 ともしげさんがくっつけようとしているだけなのに、僕とあいなぷぅがお似合いとか言ってくる人とかもいますからね。

飯塚 芸能人の結婚や交際のニュースに「お似合いの2人」とか言うのも気になるなって。かつて自分も言ったことある気がするのでそれは反省ですが、外野が勝手に評価する話じゃないなと。

浦井 井口さんがアイドルと結婚する可能性もある?

井口 全然あるよ。あと、「井口が本当にモテてない」って過度に思ってる人にはちょこちょこ注意してるんだけど、改めて言っておくと、僕という人間が普通に生きてるのに比べたら1億倍モテてるから! お前の心配なんて本当にいらないんだよ! なんかいろいろ思い出してきたなあ。

──どうしたんですか?

井口 「いい人が現れてほしい」とか言ってくる奴もいるんですけど、困ってないから! お前に心配されなくても大丈夫です!

平井 さっきから誰と言い争ってるんですか?(笑)

浦井 仮想敵が多すぎますって。

モグライダーの役者の可能性 / 覚醒するダイアン津田 / ゾフィーの解散

飯塚 「ジョンソン」(TBS)で、自分の“最高のキス体験”を再現する企画があって、モグライダー芝さんの演技がめちゃくちゃうまかった。あの人、すごい役者になっちゃうんじゃないかっていうくらい。

井口 そうなったらともしげさんどうするんですか。

飯塚 でもともしげさんはともしげさんで味があってよかったんだよ。あの純朴な感じ。2人とも役者の仕事が増えるんじゃないかなと思った。

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飯塚 話題になったことで言うと、「水曜日のダウンタウン」(TBS)の「名探偵津田」第2弾。今年の「27時間テレビ」(フジテレビ)もそうだけど、最近の津田さんの覚醒ぶりがすごい。ゆくゆくは出川哲朗さんみたいになりそうな。出川さんも「嫌いな芸人ランキング」とかの上位から、人の良さや人間臭いところが評価されて人気者になったけど、津田さんもこれからそんな感じになっていくんじゃないかなと見ていて思いました。

井口 この前も津田さんがMCのフジテレビのゴールデン特番で一緒になりました。大阪の人気者が40歳過ぎて上京してきて、全国放送のMCしているってすごいですよね。おじさんの東京進出が増えるんじゃないですか?

飯塚 あと、ゾフィーの解散。それを特集した「しくじり先生」(テレビ朝日・ABEMA)が「そこまで言うんだ」っていう内容だったけど、それでも語られていたことはエンタメにできた部分だけなんだろうなという感じはしました。もっといろんなことがあってのことだと思うから。

浦井 みんなにいろいろあるし、見えてる部分だけが全部じゃないですもんね。

井口 それは本当にそう。声が大きいほう、小さいほうとかもあるから。

飯塚 井口くんもよく言っている(※)けど、見えてるものを信じすぎないでほしいね。

平井 ほんまそうですね。

井口 夏に収録した「ボクらの時代」(フジテレビ)がやっと放送されましたけど、「井口って普通にしゃべれるんだ」みたいな感想があって。

浦井 普通にしゃべれるやろ(笑)。

井口 でも、漫才の井口しか知らない人は僕が普通にしゃべれないと思ってるからね。そういう部分も出していかないとなと思った。

※編集部注:「2022年12月のお笑い」で、井口は「心配です、みんなが詐欺に遭わないか。 なんで1秒考えなくなっちゃったのかなあ、人って」と目に入ったもの・耳に入ったものがすべてだと思ってしまうファンを心配していた。

来年上旬は舞台出演が多めの浦井

──さて、今月26日(火)にはこの連載の公開取材イベント「ライブ!!今月のお笑い2」があります。ゲストにラブレターズとヨネダ2000もお迎えして2023年のお笑い界を振り返りますのでよろしくお願いします。

井口 「M-1」の直後ですもんね。

──新王者の誕生を井口さんがどう見たか、たっぷり聞けそうです。浦井さんは来年舞台出演が多いですね? 鈴木おさむさんの朗読劇「美幸」や、玉田真也さん演出の「天才バカボンのパパなのだ」、今日発表になった、コンビで出演するヨーロッパ企画・上田誠さんの「鴨川ホルモー、ワンスモア」。

浦井 お話をいただいて、「やらせていただきたいです」って受けていたらこうなったという。お芝居をやりたい気持ちはもともとあるのでありがたいです。「天才バカボン」は本当にがんばらないと、大変なことになりそうで……。この舞台でうるとらブギーズの佐々木さんが復帰されます。

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──そうでしたね。楽しみにしています。今日は国立科学博物館での単独ライブが間もなくというお忙しいタイミングにお越しいただきありがとうございました! では今回はこの辺で。

井口 あ、そう言えば、この前有吉弘行さんに「金髪の作家とやってんじゃないよ!」って言われましたよ。

飯塚 いつ言われたの?

井口 「有吉ぃぃeeeee!」(テレビ東京)のロケの散歩中です。こういうこと(連載)をしてるっていうのは有吉さんにバレてました。あと、今度東野さんにお会いするので言っときますね。

──ぜひ言ってください!

井口 で、何を言うんでしたっけ?

──ゲストに出てほしいってことです! みんな忘れちゃったと思いますが、この連載の目標は東野幸治さんにゲストに来てもらうことなので。

井口 そうだそうだ。忘れてなかったら言っておきます(笑)。

左から男性ブランコ浦井、ウエストランド井口、飯塚大悟、男性ブランコ平井。

左から男性ブランコ浦井、ウエストランド井口、飯塚大悟、男性ブランコ平井。

ウエストランド(中央2人)の単独ライブを鑑賞した男性ブランコ。

ウエストランド(中央2人)の単独ライブを鑑賞した男性ブランコ。

ウエストランド(中央2人)の単独ライブを鑑賞した男性ブランコ。

ウエストランド(中央2人)の単独ライブを鑑賞した男性ブランコ。

プロフィール

男性ブランコ

浦井のりひろ(ウライノリヒロ)
1987年12月3日生まれ、京都府出身。

平井まさあき(ヒライマサアキ)
1987年8月1日生まれ、兵庫県出身。

大学の演劇サークルで出会い、そろってNSC大阪校(33期)に入学。「もってる!? モテるくん」(読売テレビ)、「爆笑ファクトリーハウス 笑けずり Season2」(NHK BSプレミアム)などに出演した。2017年から東京に移り、ヨシモト∞ホールの看板メンバーとして2022年まで活動。2021年「キングオブコント」では初の決勝進出を果たし、準優勝した。「M-1グランプリ2022」ファイナリストでもあり、「音符運び」のネタで4位に。12月18日(月)に東京・国立科学博物館でコントライブ「嗚呼、けろけろ」を開催。吉本興業所属。

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井口浩之(イグチヒロユキ)

1983年5月6日生まれ、岡山県出身。2008年、河本太(コウモトフトシ)とウエストランドを結成。2013年4月に「笑っていいとも!」(フジテレビ)のレギュラーに抜擢され、最終回まで不定期で出演した。2012年から2014年に「THE MANZAI」認定漫才師。「M-1グランプリ」では2020年に初の決勝進出を果たし、2022年に優勝! ラジオ形式の番組「ウエストランドのぶちラジ!」をYouTubeなどで配信中。タイタン所属。

飯塚大悟(イイヅカダイゴ)

1982年4月13日生まれ、新潟県出身。テレビ、ラジオの構成作家。現在の担当番組は「ヒルナンデス!」(日本テレビ)、「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」(テレビ朝日)、「水曜日のダウンタウン」(TBS)、「ヤギと大悟」(テレビ東京)、「オドオド×ハラハラ」(フジテレビ)、「オードリーのオールナイトニッポン」(ニッポン放送)など。書籍「深解釈 オールナイトニッポン~10人の放送作家から読み解くラジオの今~」(扶桑社)。

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