2016年6月の「GRIN!」、2018年7月の「FINE!」に続き、今回が3回目の単独ライブ。開催が決まってからも「嫌だ、やりたくない」と言い続け、ついに迎えた初日、井口は「この日が来て“しまいました”ね!」と投げやり気味で、ここ1カ月調子が悪かったのは忙しさではなく単独ライブを控えているストレスのせいだと強調してみせる。「でも、お客様のためにね」となだめる河本には、すかさず「緊張が隣でもわかるくらいすごい。なんでそんなカチカチで出てきて、カチカチで佇んで、とてつもない息の臭さを浴びせてくることになるんだよ」と注意。その河本は「普通は1カ月前に完璧にネタを(頭に)入れて挑むわけですよ。(こっちは)ネタが飛ぶ飛ばないで勝負してるんですよ!」と堂々と言い放ち、「事前に渡してるんだから読み込んどけよ! 昨日パンサーの尾形さんと飲みに行くくらいなら!」と井口に怒られた。
会場には多くの関係者から届いた花が飾られ、ウエストランドの漫才のネタにもなっている「ファン一同」からのものも。井口は「お花が届いたぞー状態」だと報告したかと思えば、「関係者の方、あとからダメ出ししないでくださいね。あとからごちゃごちゃ言われるのが一番嫌なんで」と関係者席にも不意打ちで毒を吐く。その後、開場中の音楽は河本が「歴代のM-1のオンパレードと今年、来年のM-1のPVに使われるであろう曲を予測して」選曲したことなども明かされ、この時点で登場から5分ほど経過。この期に及んで「やるしかないかあ……。どうします? 1回引っ込みます?」とごねていた井口だが、「幸せになりたいなあ!」とやけっぱちのように1本目の漫才をスタートさせた。
ライブは合計9本のネタが怒涛のように次々と披露されていくスタイルだったが、多彩なネタで飽きさせない。井口の私怨をベースにしながらも、河本の異様さが際立つネタや、井口が同じ言葉を壊れたおもちゃのように繰り返すネタ、悪口かと思いきや「大事なのは過去の栄光ではなく今の未来だ」というまっとうなメッセージを含んだネタなど、さまざまな角度で観客の心を揺さぶる。漫才中、井口演じる馬が「M-1」優勝時の河本の涙をしつこくイジる場面にも笑いが。
終盤、河本がネタを飛ばしてしまい漫才がなかなか始まらないというハプニングもあった。井口は「教えませんよ」と思い出すまでいくらでも待つと述べるが、最終的にこそっと最初のセリフを河本に耳打ち。井口は「『教えてた』『優しい』みたいな感想を(SNSで)言うやつ、全員ブロックしてやる」と釘を刺すが、河本は「結局優しい。結局俺のこと好き(笑)」とニヤつく。そして河本が「やってみたいことがある」とネタに入ろうとすると、井口は「それが出てこなかったのかよ!」と勢いあまって客席まで降りてしまうほど大げさにズッコケてみせた。
全ネタを終え、エンディングに再登場した河本は「(無事に終わって)本当によかった。大きなミスもなく」と笑顔を浮かべ、井口は「みなさんどう思ったでしょうね?」と客席の反応が気になる様子。井口は続けて「気づいたと思いますけどほとんどどれも一緒というか(笑)、これだったらタイタンライブとか漫才工房(後輩芸人とのユニットライブ)行けばいいやってなってくれたら、本望。もう(単独を)やりたくないんだから」と話し、最後までスタンスを崩さない。単独ライブに向けてネタを作っていないため叫ぶ系のネタが多すぎると愚痴りつつ、「これからもネタは作り続けていきますので、ライブもそうですし、テレビも出続けられるようにがんばっていきたいと思いますので、応援していただけたらと思います!」と語って締めくくった。
【記事】ウエストランド、M-1優勝しても嫌なことは尽きないし漫才もやめない
なお最終日15日の回は「タイタンの配信」にて11月22日(水)いっぱいまでアーカイブ配信されている。また、配信ラジオ番組「ぶちラジ!」の一環として「『FANG!』反省会」が11月22日(水)に東京・新宿ロフトプラスワンで実施される。
ウエストランド第3回単独ライブ「FANG!」アーカイブ配信
配信期間:2023年11月22日(水)23:59まで
料金:一般3500円 / タイタンの配信会員向けチケット2500円
ウエストランドのぶちラジ!「FANG!」反省会
日時:2023年11月22日(水)19:30~
会場:東京・新宿ロフトプラスワン
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太田光代 @ota324
【ライブレポート】ウエストランド、愚痴って叫んで怒涛の単独ライブ 嫌だと言いつつ「ネタは作り続ける」 https://t.co/6F4F6aFK25