YOASOBIインタビュー|WOWOW放送に向け2人で振り返る5年間を詰め込んだドーム公演 (4/4)

放送では「YOASOBIの一挙手一投足をしっかり見て」

──衣装もさまざまなコンセプトのものが用意されていて、どれも素敵でした。

Ayase 衣装も演出の1つであり、すごく大事な部分なので、全部こだわり抜いて作りました。スタイルディレクターの佐々木経太さんを中心に何度も何度もイメージを擦り合わせましたね。

ikura 直前まで何時間もフィッティングしたよね。

Ayase 僕が彼を天才だなと思ったのは、ikuraのヘアカラーを赤にすることを提案してくれたことです。やってみるまでわからないと思っていたけど、めちゃくちゃ似合っていて、すごいなと思いましたね。

ikura 自分でも赤髪はすごく気に入っています! 意外と似合うんだなって。

Ayase 衣装で特に大変だったのは、「勇者」でikuraが被ったベール付きハットですね。付け外しが簡単にできないし、重さがあるので動きの制限も出てきてしまうし……扱いがすごく難しいアイテムで、カメラで抜く角度やアップにする秒数まで、細かく決めて調節しました。それでもやっぱり大変なので、東京ドームでは違うベールに変えようという話になったんです。でも佐々木さんから、「どうしてもこのベールでいきたい」という、別れのLINEかと思うくらいの長文が前日の朝4時に送られてきて(笑)。この熱意は汲まないわけにいかないと強行したら、結果すごくいいものになりました。そんなふうに、自分のクリエイティブに自信を持つ人たちの、熱意と譲れないプライドの集合体と言える公演だったな……とつくづく思います。

「YOASOBI 5th ANNIVERSARY DOME LIVE 2024 “超現実”」の様子。(Photo by Yoshihiro Mori)

「YOASOBI 5th ANNIVERSARY DOME LIVE 2024 “超現実”」の様子。(Photo by Yoshihiro Mori)

──クラシカルなブラックドレスとベールが相まって、とても神聖な空気が漂っていましたね。YOASOBIの衣装としてはすごく新鮮に感じました。

ikura ありがとうございます。印象をガラッと変えることで、「後半戦が始まったぞ」と、改めて背筋を正すような空気が作れたらと思っていました。ハットの重さで首があまり動かせないので動き方がすごく難しかったんですけど、「どんなベールになってもやってみせます」という思いで乗り越えました。ドーム公演を通して、佐々木さんのこだわりと、そしてそのうえでスタイルを実現してくれるTakanohvskayaさん、船橋翔大さん、そしてアシスタントの皆さんのおかげで、最高のスタイリングになったと思います。

──こうして振り返ってみても、全編素晴らしい瞬間の連続だった「超現実」なので、難しい質問だとは思うのですが……今パッと思い浮かべて、特に印象に残っている曲やパートはどこでしょうか?

Ayase うーん……全部思い入れがあるので、難しすぎるんですけど……でもやっぱり僕は、オープニングですかね。目の前に広がった景色を見た瞬間、僕は大阪でも東京でも泣いてしまったので。あの瞬間は忘れられないですね。

ikura うーん、本当に難しい……! 私はファイナルの「群青」かな。「群青」は今まで何度も歌ってきたけど、今までで一番くらい自分とリンクして、歌詞が自然と湧いてくる感覚があったんです。歌いながら本当に泣きそうになってしまったけど、私は泣いたら嗚咽してまったく歌えなくなってしまうタイプなので、がんばって耐えました。コントロールが効かないくらい、ギリギリまで来ていましたけど……。歌いながら歌詞が自分に刺さって、みんなが歌ってくれる声に励まされて、心の中で「終わらないで!」って叫んでいました。

──WOWOWの放送では、どんな部分に注目してほしいですか?

Ayase あまりにも見どころが多すぎるので、どこが採用されてどんな仕上がりの映像になっているのかが気になります。演出面でも見てほしい部分はたくさんありますし、何回観ても発見があるんじゃないかな。何より5年間僕たちがやってきたことの集大成なので、ikuraとAyaseの歩み、そして最新のYOASOBIの一挙手一投足をしっかり見てほしいです。血の通った、核の部分が伝わればいいなと。瞬きをする瞬間を惜しむほど、目をかっ開いて観てください!

Ayase

Ayase

ikura すべての瞬間に全員のこだわりが詰まっているので、できれば全集中して観てほしいです。リラックスして観たい方もいると思うから無理強いはできないけど(笑)、できれば隅々まで観てください! YOASOBIの音楽で歌を任せていただいているikuraとしては、ボーカリストとして出し切ったし、フレーズの1つひとつにとても心を込めました。それを感じてもらえたらうれしいです。

来年はまだ行けていなかった街で皆さんにお会いできれば

──ひと区切りを迎えたYOASOBIですが、12月上旬にアジアツアーも始まり、2025年7月からは40公演を回る国内のホールツアーを控えています。今後の活動への意気込みも教えてください。

Ayase もうアジアツアーが始まるので、しっかり切り替えていきたいと思っています。アジアツアーは「超現実」のテーマを引っ提げて回るので、アジアのファンの皆さんにも“超現実的”な体験をお届けしたいですね。

ikura 歩みを止めないために、私は今月から筋トレを始めました! Ayaseさんに紹介してもらったパーソナルトレーナーに教えてもらいながら鍛えています。

ikura

ikura

Ayase 初回のトレーニングは一緒にうちでやったんだけど、なかなかセンスがよかったよ。

ikura 心も体も強靭になりたいというモードで! 健康でいないとライブもできないので、元気な姿をいつもお見せできるようにがんばりたいですね。

Ayase 来年のホールツアーでは、まだYOASOBIとして行けていなかった街をじっくり回って、皆さんにお会いできればと思っています。来年はヨーロッパに行ったりもするので、海外で力をつけて帰ってきて、ホールツアーをしっかり回って、またドームなどの大きなステージにも立ちたいですね。

YOASOBI

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プロフィール

YOASOBI(ヨアソビ)

コンポーザーのAyaseとボーカルのikuraからなる“小説を音楽にするユニット”。2019年11月に発表したデビュー曲「夜に駆ける」は、ミュージックビデオが公開直後から瞬く間に注目を集め、国内の各種配信チャートで1位を席巻。2024年現在、ストリーミング累計再生回数は史上初となる11億回を突破している。2023年4月リリースのテレビアニメ「【推しの子】」オープニング主題歌「アイドル」は、Billboard JAPAN総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”で21週連続の総合首位を獲得し、Billboard JAPANの歴代連続首位記録を更新。さらに、米ビルボード・グローバル・チャート“Global Excl. U.S.”、Apple Music「トップ100:グローバル」、YouTubeのTop 100 Songs Globalでも首位を獲得し、J-POP史上初となる記録を次々と打ち立てた。2024年4月には世界最大級のフェス「Coachella Valley Music and Arts Festival」に出演。12月からは自身2度目となるアジアツアーを開催し、2025年6月にはスペインの音楽フェス「Primavera Sound Barcelona 2025」に初出演する。国内では2024年10月に結成5周年を迎えたことを記念して、自身初のドーム公演を東阪で実施。2025年7月からは全国14都市40公演からなるホールツアーを行う予定だ。

2024年12月20日更新