SUPER BEAVER meets WALKMAN|新曲「ラヴソング」制作秘話

ウォークマンでピュアに音楽を聴いてた十代の頃

──今回、ソニーのウォークマンNW-A40シリーズとSUPER BEAVERの新曲「ラヴソング」のコラボミュージックビデオが制作されました。コラボ前、ソニーにはどんなイメージがありましたか?

SUPER BEAVER

柳沢亮太(G) 学生時代はソニーのMDウォークマンを使ってたし、身近な存在だなと。小学校高学年のときに音楽に興味を持ち始めて、いろんなCDを買ったり借りたりしていて。MDには、その曲たちを外に持ち出して聴けるっていう楽しさをすごく感じてたなあ。

渋谷龍太(Vo) 小学生のときにMDあったっけ? 僕は当時カセットを聴いてたな。最初に作ったのは、レンタルCD店で借りてきたDeep PurpleとBee GeesとQueenの楽曲を織り交ぜた“ミックステープ”。

柳沢 小学生でそのセレクト(笑)。

上杉研太(B) あとさ、高校のときにやなぎがよくMDにデモを入れてくれたよね。

柳沢 そうだ、初期のデモはほとんどMDに入ってたかも。

──SUPER BEAVERは高校時代に結成されたバンドですもんね。

藤原“29才”広明(Dr) 持ち運びが便利だから外ではMD、家ではCDウォークマンやコンポでデモを聴きながら練習してました。あと十代の頃はとにかく夢中で音楽を聴いた思い出がある。学校から帰ってきて、家のスピーカーの前でずっと好きな曲を聴いてた。

渋谷 十代の頃はとってもピュアに音楽を聴いてたよね。今は音楽家だからこそMP3の音質はよくないとか、レコードはハイファイだとか、そういうことを言うようになったけど、音楽をやってなかったらわかんなかった。でも十代の自分たちが純粋に音楽に感動できてたのは、その頃わからなかった細かい部分を、プロがちゃんとこだわって作っていたからなんだなって、今になってわかる。そう考えると、「なんとなくいい」作品が一番強いのかなって。

ルーツにあるウォークマンとの作品作り

──ウォークマンNW-A40シリーズとのコラボMV制作のオファーが来たときは、どんなことを思いましたか?

SUPER BEAVER SUPER BEAVER

渋谷 正直、この形(メモリータイプ)のウォークマンは使ったことがなかったんです。

上杉 ぶーやん、めっちゃギリギリまでCDウォークマンだったもんね?

柳沢 ずっとガラケーで、スマホにするのも一番遅かったし。

渋谷 うん、スマホが出てもずっとCDウォークマンで音楽を聴いてた。今はきっと曲単体で音楽を聴く人も多いし、全然ありだと思うんですけど、CDには作り手の思いが込められたストーリーや間があるから、1つの作品としての魅力を感じていて。ただツアーで京都に行ったときに、CDウォークマンと廃盤ばっかり入ってる20枚入りのCDケースをどこかに落としちゃって……持ち運ぶのが怖くなりました。

柳沢 すごいショック受けてたもんね……(笑)。

渋谷 失くす悲しみを経験してしまうと、データで持ち運ぶのもありだなと(笑)。今回最新型を体験してみて、ウォークマンも時代の変化に合わせて進化してるんだなって感じました。

上杉 俺は誰かとコラボレーションでミュージックビデオを作ったこともなかったから、ワクワクしたし楽しみだった。

渋谷 うん、形は違えど僕らがずっと触れ合ってきたもの、ルーツにあるものと一緒に作品を作らせていただけることはとても光栄でした。

“誰の懐にも入りやすい曲”が今の自分たちに必要だった

──今回の企画に「ラヴソング」を提供しようと思った理由は?

柳沢 「ウォークマンを通じて、みんなで楽しくなれるようなミュージックビデオを作りたい」というお話を監督から聞いて。この曲には“恋”とかじゃなくて、もっと大きなイメージで「ラヴソング」というタイトルを付けていたんです。楽曲自体に“笑顔感”があるし、自分たちでもこの楽曲の懐の広さみたいなものをすごく感じていて。なのですんなり「この曲がいいんじゃないか」という話になりました。

SUPER BEAVER SUPER BEAVER

渋谷 「ラヴソング」は、いずれ見せたいと思ってたSUPER BEAVERの新機軸で。最近ありがたいことに、大きいステージで大勢の方の前でやらせていただくことが多くなったので、一聴したときに“誰の懐にも入りやすい曲”というのが、今の自分たちに必要だと思ってたんです。

──幸せな空気感が漂っている楽曲ですよね。初めて聴いたときに、手拍子やシンガロングでバンドとオーディエンスがつながっていく様子が想像できました。

渋谷 テンポも速すぎずわかりやすい楽曲だと思うので、ライブでは立って聴いてもいいし、座って聴いてもいい。ストライクゾーンが広いと言うか、大きなところで共有したときに一番楽しい絵が見える曲だと思います。

柳沢 これまでもずっと、誰かと何かを共有し合うことを歌ってきたし、活動でもそれを表現して積み重ねてきたバンドだと思うんです。「ラヴソング」はその積み重ねたものをそぎ落としたときに残る、一番共有したい部分を歌にしていて。渋谷がイメージする絵が変わってきて、SUPER BEAVERとしての責任感は持ったうえで「ラヴソング」という素直な歌が歌えるようになった。そういう意味では新機軸だし、今だからこそ歌える曲なのかなって思ってます。

──リズム隊のお二人は、レコーディングの際にどのようなことにこだわりましたか?

上杉 いい意味で頭を使うこともなく、曲を聴いてスッと入ってきたイメージでベースを弾きました。自然な空気感になってるんじゃないかなと思います。

藤原 僕も今回のアルバム(「ラヴソング」が収録される「歓声前夜」)の中で、一番アレンジが早くできた曲。一聴した雰囲気で、やなぎはこうしてほしいんだろうな、こういう演奏のうえでぶーやんは歌いたいんだろうなっていうイメージがすぐにできました。座ってても立ってても聴ける曲という話が出ましたけど、SUPER BEAVERの中では初めてのテンポ感で。もうちょっと速くなると曲はエモくなるし、遅くなるとバラードっぽくなるんだけど、その間の絶妙なところで作ってるんです。

ファンと築き上げた関係性がそのまま出てるMV

──MVはメンバーがウォークマンの再生ボタンを押して、歩みを進めるたびに人々と出会うというストーリーです。監督を務めたのは、メジャーレーベル時代にタッグを組んでいた中井篤志さん。出会った人の幸せを願う「ラブソング」の歌詞と親和性のある内容ですし、幸せな空気感が漂う映像に仕上がっていますよね。

撮影の合間に笑い合う柳沢亮太(左)と渋谷龍太(中央)。

渋谷 わかりやすいストーリーですよね。「ラヴソング」のでっかい答えはそこだと思ってたので「ぴったりだなあ」と思いました。楽曲を聴いた中井監督にそういうイメージを持っていただけたっていうのは、自分たちの意思や思惑がちゃんと伝わったってことだと思うし、目で観たときに楽曲のイメージがさらに広がるMVができたんじゃないかな。

上杉 中井監督とは付き合いが長いですからね。

柳沢 先に楽曲を聴いてもらって、打ち合わせのときに絵コンテを見せてもらったら「あ、ですよね!」って空気になって。僕らの楽曲が届けたいように伝わったんだなって思ったし、時間が空いてもファーストコンタクトから思いをキャッチしてくれたのがうれしかったです。

渋谷 中井監督とは、すごく不思議な言い方ですけど……ちゃんと仕事をしたかったっていうのがあって。

──と言うと?

渋谷 メジャーから離れたあと「世界が目を覚ますのなら」(自主レーベル「I×L×P× RECORDS」からリリースされたミニアルバムの収録曲)という曲のMVも手がけていただいてるんですけど、正直、お金がない僕たちが泣きついたようなところもあって。

──そうだったんですね。

渋谷 でも今回は、しっかり一緒にお仕事ができる現場で。これまで助けていただいた方が僕たちにはたくさんいるので、そういう方とちゃんとWin-Winの環境で仕事ができるっていうのは、自分たちの中ではすごく大事なことなんです。だから撮影中も感慨深いところはありましたね。一緒に仕事ができてよかったなって思います。

ファンを迎えた演奏シーン。

──撮影はSUPER BEAVERのファンクラブ「友の会」の方々に協力していただきました。

上杉 友の会の方々(笑)。

渋谷 そう聞くと、ご高齢でセカンドライフを楽しむ方々のようだ(笑)。

柳沢 ファンの方を招いてMV撮影をするのは初めてで。距離もすごく近くて新鮮でした(笑)。

──撮影中、ファンの方々がすぐに「ラヴソング」のフレーズを覚えて歌っていたのが印象的でした。

柳沢 すごく楽しい雰囲気の撮影になりましたよね。「この曲って楽しいんだ」っていうことがものすごく速いスピードで伝わる曲なんだなあって、自分たちも実感することができて。

渋谷 「盛り上がってください」って言う場面はもちろんあったけど、純粋な関係性を持ってるファンの方と一緒に作ったので、“ホントの部分”が映像にたくさん詰まってるなと。僕らが築き上げた関係性っていうのが、そのまま表に出てると思います。その人たちがいろんな顔で楽しんでくれてるっていうのが、このMVのポイントですね。

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