音楽ナタリー Power Push - 植田真梨恵

切なく弾ける青春の歌

植田真梨恵が5thシングル「ふれたら消えてしまう」を7月6日にリリースする。表題曲は軽快なリズムとキャッチーなギターリフが印象的なさわやかなポップチューン。カップリングにはハードロックナンバー「ルーキー」とアコースティックギター弾き語りによる「まわりくるもの」が収められる。メジャーデビューして2度目の夏を迎えた彼女に、今作に込めた思いや今の心境などを聞いた。

取材・文 / 丸澤嘉明 撮影 / 笹原清明

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夏の思い出は切ない

──今年1月に「スペクタクル」を発売して、そのあと1月から2月にかけて「植田真梨恵Live of Lazward Piano "Old-fashioned.”」を開催しましたよね。東京・東京キネマ倶楽部公演を拝見しましたが、植田さんの表現力と会場の独特な雰囲気がマッチしていてよかったです(参照:植田真梨恵、多彩な表情見せた東京キネマ倶楽部の夜)。

ありがとうございます。キネマ倶楽部では会場の空気に身を任せながら、なんというか少しずつ溶けていった感覚でしたね。

──これまで「Live of Lazward Piano」シリーズは東阪で行われてきましたが、今回は7都市での開催でしたね。

今までで一番大きなスケールで実施させていただいて。大阪の大阪市中央公会堂とか神奈川のMOTION BLUE YOKOHAMAとか、どの会場もレトロでクラシカルな雰囲気という共通点こそありましたけど、ライブの内容もお客さんの盛り上がり方もそれぞれ違って面白かったですね。今回初めて宮城と北海道でワンマンライブをしたんですけど、たくさんのお客さんが来てくれてうれしかったです。

植田真梨恵

──そのツアーが終わってから制作期間に入ったんですか?

わりとずっと制作してるんですけど、ツアーが終わってより制作モードに入った感じですね。今回のシングルの曲もツアーが終わって作りました。よりいっぱい曲を書かなきゃと思っていたときに生まれた曲ですね。

──「スペクタクル」の制作のときは気分が沈んでいて、それが曲にも反映されたと言っていましたよね(参照:植田真梨恵「スペクタクル」インタビュー)。今回の「ふれたら消えてしまう」を聴いて、そういうネガティブな時期を抜けて、かと言って突き抜けて明るいわけでもない、わりとフラットな状態なのかなと思ったのですが。

そうですね、自分の気持ちがそのまま曲に反映されてると思います。この曲は、私の取るに足らない感覚を書き留めるような気持ちで作り始めたんですね。たくさんの人に届いてほしいっていうよりは、自分に近いところにある曲を歌いたいなと思っていて。より日常的な気持ちというか考えが反映されたと思います。

──その気持ちというのは?

いろんな事柄が、起きているそのときを過ぎるとあっという間に過去になってしまう気がするなと思って。その過去になった事柄は自分の人生に後ろからついてきているというよりは、過去になった時点でなくなってしまう感じがするというか。イメージとしては、ふれた瞬間に質感というか材質が変わってしまうような……。そのときの思いというものはあとになってしか気付けないものなんだけど、気付いたときにはすでになくなっていて。それが夏の思い出にはすごく多いなと感じて切なくなったんです。

──ただ植田さんはこの曲で「現実のフォトグラフを持って行けばいいのだ」と歌っていますよね。切なさもありつつ、それを受け入れて前に進んでいこうというイメージかと思ったのですが。

もちろんそれもあります。「忘れてしまうことはしょうがないよな」とも思っていて。過去には戻れないことがロマンチックでもあり、切なくもあり。その切なさが、私の中で夏の思い出とよく似ているんですよね。私は今回この曲で何かをこうしたいと言っているわけではなくて、ただただその切なさが伝わればと思っています。

みんなで盛り上がったあとにふっと心に残る

──この曲の制作にあたっては夏の野外をイメージしたそうですね。8ビートの軽快なリズムにイントロからキャッチーなギターリフが絡む感じとか、植田さんらしさが出てると思いました。

ありがとうございます。イントロのギターはデモのときからあったんです。シングル曲でイントロがあるのはひさしぶりでしたね。やがて来る夏をイメージして、野外のライブでみんなでワーッと盛り上がったあとに、ふっと心に残るような曲になればいいなと思いながら作っていきました。

植田真梨恵

──メジャーデビュー以降は、スタジオに入ってバンドメンバーと音を出しながらアレンジを決めていくことが多かったと思うんですが、今回は岡崎健さんをアレンジャーとして迎えてますね。

インディーズの頃によくお願いしていて最近はご無沙汰だったんですけど、この曲は絶対にライブで映える曲なので岡崎さんのアレンジがはまりそうだなと思って。岡崎さんには「アグレッシブな感じで」と雰囲気でお願いしました。ギター2本の掛け合いだったり、聴くたびに「こんなふうになってるんだ」っていう発見をしてもらえたらと思いますね。

5thシングル「ふれたら消えてしまう」 / 2016年7月6日発売 / GIZA Studio
初回限定盤 [CD+DVD] / 2000円 / GZCA-4146
通常盤 [CD+フォトブック] / 1728円 / GZCA-4147
CD収録曲
  1. ふれたら消えてしまう
  2. ルーキー
  3. まわりくるもの
  4. ふれたら消えてしまう off vo.-
  5. ルーキー off vo.-
初回限定盤DVD収録内容
2015.11.30 shibuya eggman -hiki gatari live-
  • a girl
  • ハイリゲンシュタットの遺書
  • 心と体
  • さよならのかわりに記憶を消した
  • クリア
  • わかんないのはいやだ
植田真梨恵SPECIAL LIVE "PALPABLE! BUBBLE! LIVE! -SUMMER 2016-"
  • 2016年7月23日(土)東京都 赤坂BLITZ
植田真梨恵(ウエダマリエ)
植田真梨恵

1990年生まれ、福岡県出身のシンガーソングライター。中学卒業を機に単身大阪へ移住し音楽活動をスタートさせる。2008年に1stミニアルバム「退屈なコッペリア」をリリースし、以降コンスタントに作品を発表しながらライブ活動を続ける。2012年に初のフルアルバム「センチメンタルなリズム」発売後、東京と大阪でワンマンライブを開催。2014年1月には東阪のCLUB QUATTROでワンマンライブを成功させ、同年8月にシングル「彼に守ってほしい10のこと」でメジャーデビューを果たす。2015年2月にメジャー1stアルバム「はなしはそれからだ」を発表し、東名阪と地元・福岡を回るツアーを実施した。2016年7月にメジャー5枚目となるシングル「ふれたら消えてしまう」をリリース。