絶対ムリだ!
──今回リリースされる映像作品には、パシフィコ横浜 国立大ホールで行われた追加公演の模様が余すところなく収録されています。このツアーでは愛知・日本特殊陶業市民会館 フォレストホール、大阪・岸和田市立浪切ホール、東京・中野サンプラザホールを回られていますが、追加公演は会場の規模も大きくなっていますし、また違った気持ちで臨めたところがあったのではないでしょうか?
愛知、大阪、東京を巡るツアーを走り切ったうえでの追加公演だったので、ちょっと安心感はあったかもしれないですね。とは言え会場も大きくなっていますし、本編の内容をよりブラッシュアップしていこうという気持ちで臨んではいました。ピアノの弾き語りに関しては、本当に大変でしたけど(笑)。
──追加公演だけのトピックとして、「SOS」の弾き語りがありましたね。
これも自分からやりたいと言い出したことではあるんですけど、レッスンを始めた当初は「絶対ムリだ!」と思ってました(笑)。追加公演のリハをやっていた時期はほかの仕事も立て込んでいたタイミングだったので、かなりヘロヘロになっちゃってましたね。
──ピアノを習っていたことはあるんですか?
高校時代に遊び感覚でコードを弾くようになった感じなので、習ってはいないです。ただ、音楽活動をするうえでは表現の幅を広げるきっかけになるんじゃないかなという思いもあって、いつか人前で弾けたらいいなとは思っていたんです。そうしたら、それが実現するタイミングが思いのほか早くきて。考えたら、1stツアーからいろんなことを盛り込みすぎですよね。次のツアーのハードルがどんどん上がってるという(笑)。
──ピアノのシーンは感動的でした。ご自身の呼吸でピアノを鳴らし、エモーショナルな歌声で会場を包み込んでいましたよね。
基本的にステージ上ではあまり緊張しないんですけど、ピアノの場面だけは本当に緊張しました……。でも、約4500人の方々を前に弾き語りができる贅沢な状況を噛み締めつつ演奏できました。あの瞬間がすごくいい空気感になったのは、やっぱりお客さんたちのおかげだと思います。音がない瞬間も聴かれている感覚があったのは、まさにライブならではですよね。みんなが観てくれているからこそ生まれた静寂というか。そういう部分を感じられたからこそ、いい演奏になったんだと思います。もちろん自分としてはまだまだ課題がたくさんありますけどね。
──弾き語りに関しても、さらに磨きをかけていこうと。
そうですね。当初は「もうやりたくない」と思ってしまうかもしれない危惧もあったんですよ。でも実際やってみたら「また弾きたい」と思えたのでよかったです(笑)。
──パシフィコ横浜という会場に対しての思いはどうですか? 資料を見ると2013年に初めて立ったのが……。
そうなんですよ! 僕が声優デビューした年に初めてイベントで立った場所がパシフィコ横浜なんです。杉田智和さんに誘っていただいて「A&Gオールスター2013」に出演したんですが、当然のことながら会場にいる人は僕のことをまったく知らない状況でした。しかも、なぜか女装して登場したからなおさら誰だかわかってもらえなかったという(笑)。あれから約7年経って、自分のワンマンライブで再び同じ場所に立てたことはものすごく感慨深かったですね。当時はまだアーティストデビューするなんてことも考えていなかったので、まさかこんな日が来るとは! 改めて会場の広さを実感しましたけど、その分、みんなとたくさんの思いを交わし合うことで大きなエネルギーが生まれるんだろうなって、すごくワクワクした気持ちでステージに立てていましたね。
魔のダンスゾーン
──ピアノの弾き語りはもちろん、ライブにはさまざまなシーンが満載です。映像作品を楽しみにしているファンの皆さんのために、内田さんから見どころを紹介していただけたらと思うのですが。
内田的見どころ……まずは僕の表情ですかね(笑)。僕自身、ライブ中にどんな表情をしていたかはまったく覚えていないんですけど、それが映像作品であればしっかりチェックできてしまうので。会場に来てくださった人も、「あの曲ではこんな顔してたのね」みたいな感じで楽しんでいただけるんじゃないでしょうか。
──ピアノの弾き語りシーンでは、ひと筋の汗が頬を流れる瞬間も確認できて、かなりグッときました。
あははは(笑)。その汗がどんな感情によって出たものなのかが気になりますよね。緊張なのか、なんなのか。そこは観てくださる方々の解釈次第です。あの日の僕はとにかく楽しそうで、うれしそうな表情をしていたって言われることが多いので、そこも確認してみてください。僕も注目して観てみます!
──ほかにはどうでしょう?
あとはやっぱりダンスですね。「VIBES」からの魔のダンスゾーンは体力的な意味でかなり厳しかったんですけど、自分としては思い出深いパートではありますね。映像を観たら、自分でも「がんばれ、内田! がんばれ!」って応援したくなると思います(笑)。
──ダンサー紹介の後、内田さんが颯爽と登場してソロで踊るところも印象的でした。
ダンスソロをやりたいというのは自分で発案したんですけど、ダンサーさんを紹介したあと、最後に自分が登場しちゃうという。なかなかないパターンな気がします(笑)。うちのダンサーチームはホントにいい空気感なので、その一体感にもぜひ注目してみてください。
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美しいスタンドマイクキックを目指して