内田雄馬が7月15日にLIVE Blu-ray / DVD「YUMA UCHIDA 1st LIVE『OVER THE HORIZON』」をリリースした。
本作には2月に神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールで行われた初のライブツアー「OVER THE HORIZON」の追加公演の模様が余すことなく収められている。アーティストとしての大きな目標に掲げていた初めてのワンマンツアーを、内田はどんな思いで作り上げたのか? 音楽ナタリーではインタビューを行い、彼自身の中にあるライブ観とこのツアーに注いだこだわり、そして映像の見どころについて語り尽くしてもらった。またインタビューのラストでは、8月26日にリリースされるニューシングル「Image」についてもコメントしてくれている。
取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 斎藤大嗣
大切にしている2つのテーマ
──アーティストデビューから約1年半で実現した初のライブツアー「OVER THE HORIZON」は、ご自身にとってどんな意味を持つものだったと思いますか?
音楽活動を始めたときからライブが1つの目標だったんですよ。みんなで集まって音楽を生で楽しむ空間が僕はもともと好きだし、それを早く形にしたかった。だから1stツアーに関しては「ついにやれたな」「最初の一歩を踏み出せたな」という気持ちが大きかったです。さらに、ツアーを終えたことが、次にやりたいことを見つけるきっかけにもなったんです。そういう意味で、改めて自分のやりたいことの確認といろいろな発見ができた、すごくいいツアーだったと思います。
──ライブの内容に関しては、どんなことを大事にして組み立てていったんでしょう?
今回は、ショーではなくライブを作るということをベースとしながら、内田雄馬がどんな表現をするアーティストなのかを打ち出していこうと思いました。その中で一番大事にしたのは、歌って踊るパフォーマンスを見せることと、僕の音楽活動自体のテーマでもある“チャレンジすること”。それを軸にして作っていきました。
──踊ることは外せない要素だったわけですね。個人的にはライブを観て、「あ、こんなにガッツリ踊る方なんだ」ってかなり驚いたんですけど。
あはは(笑)、そうですね。これまで自分自身が歌って踊るアーティストの音楽を好んで聴いてきたところがあるので、そこは大事にしています。歌とダンスって体1つあれば表現できてしまうという意味ですごく原始的なものでもあると思っていて、そういう部分でもすごく惹かれるんです。ダンスと歌ががっちりマッチングしたときに生まれる高揚感には、言葉にできないくらいの感動がありますし。なので、僕の一番大事にしたい根幹の部分を1stツアーでまず観てもらいたかった。そこがしっかりクリアできれば、今後のライブで新しいことに挑戦したとしても、きっと楽しんでもらえるだろうなとも思いました。
──これまで「アイドルマスター SideM」や「うたの☆プリンスさまっ♪」シリーズといった作品のイベントでダンスを披露する機会もあったかとは思いますが、シンプルなステージセットでプロのダンサーと一緒に歌い踊るという、よりストレートにダンスにスポットを当てたライブはまた違った難しさがあったのでは?
これまで経験したことのないハードルがいくつもありました。今までアーティストとしても「キンスパ」(キングレコード主催のライブイベント「KING SUPER LIVE」)や「アニサマ」(国内最大級のアニメソングイベント「Animelo Summer Live」)に出演させていただいたり、イベントでのライブ経験はありましたけど、そこでは数曲の披露になるので。でもワンマンライブとなれば20曲くらい歌うわけだし、さらに今回は半分以上の曲にガッツリ振りが付いているわけですからね。リハを繰り返しながら、その感覚を体になじませていくのに本当に苦労しました。
──そのハードルを乗り越えることが、1stツアーにおけるチャレンジの1つだったんですね。
そうですね。僕は声優という仕事を始めてからダンスをするようになったので、ずっと踊り続けてきた人間ではないんです。でも、本気でチャレンジすれば歌って踊るライブがしっかり作れるんだよということを伝えたかったんです。僕自身、限界にチャレンジすることは好きなので、大変だけど楽しい経験でもありましたね。
自分だけの大きな山を作りたい
──ちなみにパフォーマンス面で刺激を受けてきたアーティストはいますか?
ずっと活動を追い続けているのは三浦大知さんですね。僕が20歳になるくらいの頃に初めて三浦さんのパフォーマンスを観て、本当に感動したんです。「人間ってこんなことができるんだ!?」と(笑)。表現に関してもすごく憧れていますし、ずっと見てきた分、三浦さんからの影響は自分の中に入っていると思います。
──内田さんの、自分の限界を超えんとするストイックさはそこにもルーツがあるのかもしれないですね。
確かに影響を受けている部分があるのかもしれません。三浦さんってストイックの鬼みたいな印象がありますもんね。これからも憧れの存在の1人として追いかけたいです。ただ、あくまで自分なりの山を登っていくことが大事かなとは思っています。自分の山をどんどん高くしていくことで、いつか憧れの人たちに並び立つことができるんじゃないかなって。周りにはいろんな方々が築いてきたさまざまな高い山があるので、それを眺めながらもっともっとがんばって、自分だけの大きい山を作っていきたいですね。
──ツアーを経て、内田さんの山は大きくなったはずですよね。
そうだったらうれしいです。たくさんのお客さんと支えてくれたスタッフさんたちのおかげで、本当にいいライブツアーになったことは間違いないです。特にお客さんの存在はすごく大きい。ライブって、ステージ上で僕が歌っただけでは完成しないんですよ。僕のパフォーマンスを受け取って、いろんな感情を抱いてくれる皆さんの存在があってこそなんですよね。で、僕が皆さんからその大きな思いを受け取ることで、さらに大きなものを返すことができるという。
──そういったやり取りがあってこそのライブだと。
はい。お互いの気持ちの応酬でいいものが生まれると僕は信じているので。今回のツアーが成功したのはそのおかげだと思います。
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