ナタリー PowerPush - TOTALFAT

新たな試みも満載な 極上のパーティチューン誕生

昨年秋から今年初頭にかけて「Place to Try」「Good Bye, Good Luck」といったシングルを連発しているTOTALFATが、早くもニューシングル「PARTY PARTY」をリリースした。前作から3カ月というスパンで発表される今作は、新たにシライシ紗トリをプロデューサーに迎えた極上のパーティチューン。日本語と英語が混在する歌詞とビートの利いたサウンド、一度聴いたら忘れられないシンプルなコーラスパートなど聴きどころの多い仕上がりとなっている。

今回ナタリーでは同曲の作詞を手掛けたShun(Vo, B)と、カップリング曲「Always」でカホンに挑戦したBunta(Dr)にインタビューを実施。「PARTY PARTY」制作の裏側やシライシ紗トリとのレコーディング、さらに現在制作中のニューアルバムについてじっくり話を訊いた。

取材・文 / 西廣智一 インタビュー撮影 / 中西求

「PARTY PARTY」は最初オール英語詞だった

──ニューシングル「PARTY PARTY」は気持ちのいいナンバーに仕上がりましたね。

インタビュー写真

Shun(Vo, B) 「PARTY PARTY」はまず最初にJose(Vo, G)くんがデモを用意してきて。彼は今までもちょっとカリフォルニアライクなナンバーをコンスタントに書いてきたんですけど、最近「もっと振りきれないと意味ねえんじゃねえか?」みたいなところにたどり着いたらしくて、文字どおり最高のパーティチューンを作ってきたんです。で、スタジオに集まったときに「PARTY PARTY」をみんなで合わせたら、1回も話がこじれることなく全員の意見がきれいにまとまって。TOTALFATでは誰かが曲のアイデアを持ってくると、それを4人でいろいろディスカッションしながら肉付けしていくのがほとんどなので、こうやってデモのアイデアがそのまま通るのは珍しいんです。それに、曲が仕上がるまでのスピード感や爽快感を今回初めて感じたんですけど、その空気感は曲の中にもしっかり詰まってると思います。その上で僕がひとりで歌詞を書いて。

──ここ2作のシングル(「Place to Try」「Good Bye, Good Luck」)の日本語詞はメンバー4人で作詞をしていましたが、なぜ今回はShunさんひとりで作詞することになったんですか?

Shun ベーシックトラックを録音してるときにピンとくるものがあって、みんなに「今回は僕に歌詞を書かせて」ってお願いしたんです。この曲は「Place to Try」みたいにバンドが背負ってる普遍的なメッセージを乗せるのではなく、もっと洋楽ライクで、自分たちのバックボーンにあるものをどれだけスタイリッシュかつポップに伝えられるかをこだわりたくて。それに加えて、ちょっと聴き手を舐めてるというかスカした感じを散りばめて、「パーティ」とはこういうことだっていうのをTOTALFATなりに提示してます。

──前2作はメッセージ性を重視した内容でしたが、今回の「PARTY PARTY」は英語詞の比重が高くて、どちらかというと日本語と英語を取り混ぜた言葉遊びの感覚が重視されてる気がしました。

Shun 実は今回の歌詞、最初は全部英語詞で書いたんですよ。そこから英語詞の響きが気持ちいいところはそのまま残して、ポイントポイントを日本語詞に変えていって。最初のリハーサルはオール英語詞で歌ったので、ほかのメンバーも歌詞の響きが気持ちいいポイントは耳に残ってたと思うし、日本語詞を加えたあとも良し悪しの判断がつきやすかったんじゃないかな。

打ち込みに頼らなくても俺ら流ダンスミュージックは作れる

──Buntaさんは「PARTY PARTY」の歌詞を目にしたとき、どう思いましたか?

Bunta(Dr) 日本語が混ざっているのにオール英語詞の曲と同じような感覚で、自分の中にスーッと入ってきたかな。「これじゃなくて、こっちの歌詞のほうが良くない?」みたいな部分がひとつもなくて。そういうことって12年続けてきてほとんどなかったから、すごく気持ち良かったですよ。

──英語詞の部分も難しい単語を使わず、シンプルなわかりやすいフレーズばかりだから一緒に歌いやすいですし。

インタビュー写真

Bunta Kuboty(G)も言ってたけど、英語詞の部分を全部カタカナにしても、それでみんな意味が通じる内容だと思います。アルファベットで表記すると英語詞だけど、カタカナ表記にしたら日本語英語的な感じになるし。

Shun 「ウィークエンドナイト」とか「エブリバディ」とか「オーケー」とか「ミドルフィンガー」とかね。

Bunta 「ミドルフィンガー」がギリわかんないかも(笑)。あと「PARTY PARTY」って曲名、今ならエレクトロ系やクラブ方面の人たちが付けるようなタイトルだと思うんですよね。今世界的にロックがクラブミュージックに押されてる中、TOTALFATがこのタイミングで「PARTY PARTY」ってタイトルのダンスチューンを提示できたのがすごく意味があることなのかなと。いくらでも打ち込みの要素を入れることもできたし、もっとクラブミュージック寄りにすることもできたかもしれないけど、そこをあえてバンドサウンドだけで表現したのは俺らの意地ですね。

Shun うん、そういう気持ちは自然と詰まってます。そしてこれだけ自分たちが納得できるものが作れたことが、バンドにとってなによりもデカイし。

Bunta 打ち込みに頼らなくても、俺ら流ダンスミュージックが作れるんだぞ、たった4人だけでも戦えるんだぞっていう、負けたくない気持ちは常に持ってます。

ニューシングル「PARTY PARTY」/ 2012年4月25日発売 / Ki/oon Music

  • 初回限定盤[CD+DVD] / 1575円(税込)/ KSCL-2011~2012 / Amazon.co.jpへ
  • 通常盤[CD] / 1223円(税込)/ KSCL-2013 / Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. PARTY PARTY
  2. Chase Mars
  3. Always
  4. PARTY PARTY -Instrumental-
初回限定盤DVD収録内容
  1. PARTY PARTY(Music Clip)
  2. World of Glory(Live)*January 29th, 2012 SHIBUYA CLUB CUATTRO,TOKYO
  3. Good Bye, Good Luck(Live)*January 29th, 2012 SHIBUYA CLUB CUATTRO,TOKYO
TOTALFAT(とーたるふぁっと)

2000年、同じ高校のメンバーにより八王子で結成。都内のライブハウスを中心に、精力的なライブ活動を展開する。2002年から全国ツアーを敢行。ライブバンドとしてその頭角を現す。2003年に1stアルバム「End on Introduction」をリリース。2004年、ギタリストのKubotyが正式メンバーとして加入し、Shun(Vo, B)、Jose(Vo, G)、Bunta(Dr)、Kuboty(G)の4人でパワフルな活動を継続中。数々のコンピレーションアルバムへの参加を経て、2005年にミニアルバム「Get It Better」を発表。2007年にはミニアルバム「Hello & Goodnight」をリリースし、GOOD CHARLOTTEの来日公演オープニングアクトに出演した。 2008年には「PUNKSPRING 08」に初出演を果たし、アルバム「ALL THE DREAMER,LIGHT THE DREAM」を発表。THE OFFSPRINGのジャパンツアーで日本人最多の7公演のオープニングアクトを務めた。2009年にはアルバム「FROM WHOM THE ROCK ROLLS」をリリース。「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2009」「SUMMER SONIC 09」といった夏フェスに出演し、好評を博した。

2010年6月にKi/oon Records(現Ki/oon Music)からメジャー1stアルバム「OVER DRIVE」を発表。翌2011年5月には井上ジョーをフィーチャーした日本語詞のシングル「World of Glory with JOE INOUE」をリリースし、話題を集めた。続けて同月末にメジャー2ndアルバム「DAMN HERO」を発表。9月には全国ツアーのファイナル公演として、SHIBUYA-AXでワンマンライブを実施し大成功を収めた。同年11月に2ndシングル「Place to Try」を発売。2012年に入ると1月に3rdシングル「Good Bye, Good Luck」、4月に4thシングル「PARTY PARTY」を立て続けにリリースした。