TEAM SHACHI×日高央(THE STARBEMS)×Bunta(TOTALFAT)|超強力タッグで勝負をかける夏

TEAM SHACHIが10月2日にリリースする1stシングル(タイトル未定)より、日高央(THE STARBEMS)の提供曲「Rock Away」の先行配信がスタートした。

改名後、ブラス民と呼ばれる女性6人組ブラスセクションと共に楽曲制作やライブを行っているTEAM SHACHI。彼女たちは今夏、そこに日高とBunta(TOTALFAT)らが加わった13人編成のバンドを結成し、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」や「SUMMER SONIC」といった夏フェスに臨む。音楽ナタリーでは夏フェスに向けたバンドのリハーサル現場に潜入し、TEAM SHACHI、日高、Buntaに取材を実施。日高とBuntaによる対談とTEAM SHACHIのインタビューから今夏限定でバンドを結成した狙いなどを紐解く。

取材・文 / 清本千尋 撮影 / 後藤壮太郎

日高央×Bunta対談

左から日高央(THE STARBEMS)、Bunta(TOTALFAT)。

最高の“アンセム”があるじゃない

──この対談ではお二人にTEAM SHACHIについてお話ししていただければと思います。

日高央(THE STARBEMS) 僕らもまだ全然みんなのことわかってないんですよ(笑)。リーダーが誰なのかも知らないし。

Bunta(TOTALFAT) センターもさ、ほのちゃん(秋本帆華)なのか、菜緒ちゃん(咲良菜緒)なのかわからないんですよね。

──リーダーはいなくて、センターは秋本さんです。

日高 あ、そうなんですね。じゃあ菜緒ちゃんは裏番長的な感じね。わかりました。

Bunta 黒幕は菜緒ちゃんかー(笑)。

──日高さんはオファーが来る前からTEAM SHACHIのことは知っていましたか?

日高央(THE STARBEMS)

日高 もちろん知ってましたよ。でもチームしゃちほこ時代の中高生ぐらいのイメージで止まっていたので、会ったときにみんな大人になっていてびっくりしました。打ち合わせで夜遅くなるようだったら「早く帰りなさい!」って言おうと思っていたのに(笑)。そもそも10年前のメロン記念日のプロデュースから始まり、わりといろいろアイドルさんに関わらせてもらっているんで、まめにチェックはしてるんですよ。でも界隈にはギュウゾウさん(電撃ネットワーク)とか、掟さん(掟ポルシェ / ロマンポルシェ。)とかすごいアイドルウォッチャーがいっぱいいて敵わない(笑)。

Bunta 上には上がいるんですね(笑)。

日高 そうそう。だから俺なんかがTEAM SHACHIの曲をやらせてもらっちゃっていいのかなと思いましたよ。「まずは一度ロマンポルシェ。に投げたほうがいいんじゃない?」と思いましたから。

──今回日高さんにはどんなオファーがあったんでしょう?

日高 まず「フェス映えする曲が欲しい」というリクエストがありました。スタッフ民(TEAM SHACHIのスタッフ)からは「ロックフェスにTEAM SHACHIを送り込みたいので、フェスに何十回と出ている経験からフェスアンセムを作ってくれ」と言われたんです。いやいや、TEAM SHACHIには「抱きしめてアンセム」という最高のアンセムがあるじゃないと思ったんですけどね。

──そこにまた新たな“アンセム”が欲しいというオーダーだったんですね。

日高 はい。曲を作ることになって改名後のライブを観させていただいて、ブラス民が効果的に使われているステージだなと思ったんです。それで、これはスカパンクがいいのかなと最初は考えたんですけど、しのっぴ(渡邊忍 / ASPARAGUS)が同じスターダストのばってん少女隊にスカパンクな曲を提供していたので、スカパンクはないなと。それで悩んだ挙げ句、裏打ちはないけどスカテイストがあるロックチューンがいいんじゃないかと。RUDEBONESとかKEMURIをイメージしてね。あ、これは書いておいてほしいんですけど、POTSHOTではないです。RYOJI(POTSHOTのボーカル)にそこだけはわかってもらいたい(笑)。

Bunta ははは(笑)

「打倒!ももクロ」くらいの気概を込めて

──今回は作詞も担当されていますね。

日高 そうなんですよ。最初は曲だけ提供かなと思っていたんですけど、「歌詞もお願いします」と言われて、まずは「無理です」と答えました。だって10代、20代の女心は僕には書けないし(笑)。そこで急遽メンバーと一席設けてもらって、彼女たちにどういうことが好きでどういうことが嫌いなのか教えてもらったんです。好きな音楽とかロックやパンクに対するイメージをヒアリングした結果、ボニーとクライド(1967年公開の映画「俺たちに明日はない」のモチーフになった、アメリカの実在のカップル)みたいなアメリカンかつ、ぶっ飛んだ話をモチーフにすると似合いそうだなと思ったんです。ちなみにBunta、ボニーとクライドのこと、知ってる?

Bunta 知らないですね。

日高 銀行強盗や強盗殺人を繰り返しながら4年間も逃げ回ってた大犯罪カップルなんだけど、超不景気な大恐慌時代だから庶民からはすごく人気があっためちゃくちゃな2人なんだよね。貧しい人のことは絶対殺さなかったし、お金持ちからお金を奪ってそれを貧しい人に分け与えたりして。いわゆる義賊と言われるやつね。ボニーは別の人と結婚していたんだけど、クライドに惚れ込んで2人で駆け落ちしちゃったっていうのも当時のお堅い価値観からすると超クールで。コンプライアンス的には完全にアウトなんだけど、むしろアウトすぎて人気者、みたいなカップルだったんだよね。

Bunta(TOTALFAT)

Bunta へえ、すげえ。

日高 TEAM SHACHIのみんなもボニーとクライドのことを知らないと思ったから、そういう歴史とパンクやスカへの勉強を兼ねられたらと思ってこういう歌詞を書いたんです。

──ボニーとクライドのストーリーをポップに描きつつ、サビの「壁をぶち破れ」「レール踏み外せ」「道なき道を切り開いて誰もたどり着けない場所へ」という歌詞ではTEAM SHACHIへの期待が描かれているなと思いました。

日高 そうそう。スターダストの女子グループにはワントップがいるじゃないですか。ももいろクローバーZという。ここは、その大きな壁を一点突破しようぜみたいな、俺からのメッセージです。言い方はあれですけど、「打倒!ももクロ」くらいの気概を込めています。大先輩の背中を追うだけじゃなくて飛び越えていかないと。そういう勢いがTEAM SHACHIにはあるし、そこをしっかり打ち出したかったんですよね。あとは最近どこでもコンプライアンスについてうるさくて、僕らも毎日息苦しく感じているし、きっとその息苦しさはTEAM SHACHIの4人も感じてると思ったんです。「アーティストだからってそんなこと許されると思ってるのか!」とかSNSでも言われがちなんで……。

Bunta 言われますよね。

日高 僕らだってそういうことを言ってくる人と同じ人間なわけですよ。だからそれぞれ楽しくやればいいじゃんと思っていて。そういう裏テーマもこの曲にはありますね。俺がこれを歌っても五十路のおっさんがヤバいカップルの歌を歌っているだけになっちゃうんですけど、これからを担う若者世代のTEAM SHACHIが歌うのが痛快だと思ったんです。