「PARTY PARTY」はアウェイな会場でも盛り上がる

──「PARTY PARTY」はライブには欠かせないキラーチューンになりそうですね。

Shun　もう既になってますよ。実はこの春、「PUNKSPRING 2012」とかイベントに出た際に演奏したんです。アウェイな会場で演奏すると僕らを知ってる人、知らない人問わず盛り上がりました。むしろ既発曲よりも盛り上がったくらい。

Bunta　富士急ハイランドでやった「卒フェス2012 ～サクラサクトキトビラアク～」のときなんて、すごくわかりやすかったよね。FTISLANDやAqua Timez目当てのファンが多かったみたいで、最初は俺らが煽ってもリアクションが薄くて（笑）。でも、発売前の新曲「PARTY PARTY」のときに会場の一体感が一気に増したんです。TOTALFATのことを知らない人でもわかりやすいシンプルな曲だし、テンポもちょうどいいし、体を動かしやすいっていうのはあるのかな。

Shun　むしろフェスでやったほうがより広く、いろんなところに届く曲なんじゃないかなって。今まで届いてなかった人にも届く曲になると思いますよ。

──それこそ、皆さんも大好きなTHE OFFSPRINGの「Pretty Fly (For A White Guy)」や「Come Out And Play」にも通ずる、難しいことを考えずに一度聴いたらすぐにノレる曲ですし。

Shun　「Pretty Fly (For A White Guy)」も「Come Out And Play」もポップに振り切れていて、パンクファン以外の人たちも魅了してるところがカッコいいし、憧れますよね。多分Joseくんはその部分を本能的に感じ取って、戦いに挑んだんじゃないかなって、最初に曲を聴いて思いました。そういえば「PUNKSPRING 2012」のとき、THE OFFSPRINGのヌードルズ（G）にこの曲のCDを渡したらすぐ聴いてくれて、「すげえいいね！」って言ってくれたんです。

Bunta　「PARTY PARTY」ってフレーズ、覚えてたよね。あれはうれしかったよね。

「この曲を聴く人の性別を意識しろ」って言葉に刺激された

──今回はさらに新しい試みとして、シライシ紗トリさんをプロデューサーに迎えていますね。

Shun　非常に勉強になりました。僕が最初に書いた歌詞に対してアドバイスしてくれたんですけど、「この曲を聴く人の性別を意識しろ」って言う言葉にすごく刺激されましたね。そこから、男性的な強すぎる単語をちょっと柔らかい表現に変えてみたり。自分が男だから男の感覚しかなくて、女性が聴くってことを今までそんなに意識したことがなかったんですよ。

──そうだったんですね。

Shun　THE OFFSPRINGのライブに行くとイケイケの姉ちゃんだけじゃなくて、OLっぽい人や、なんなら森ガールだって来ていて、それがみんなで歌って踊ってる、その光景を自分たちのライブで作るためには何を意識して歌詞を書くかってことをシライシさんの言葉で思い知らされました。あとはコーラスパートの男女の比率で、女性の声をどれくらい入れて音を鳴らしていくか、そういう部分もすごく勉強になって。

Bunta　ギリギリのチャラさっていうか、そういうバランス感が絶妙な仕上がりで。TOTALFATが持つ芯の部分はちゃんと残ってるし、そこも俺的には満足してます。

──2曲目の王道メロコア×メタルチューン「Chase Mars」と並んでも、違和感がないですし。

Shun　 1曲目と2曲目、2曲目と3曲目のコントラストを自分たちなりにけっこう意識していて。3曲ともタイプがバラバラなのに続けて聴いても違和感がないって言ってもらえると、すげえアガるんですよ。

岡野さんは大工の棟梁、シライシさんは空間デザイナー

──「Chase Mars」は岡野ハジメさんがプロデュースを手掛けていますね。TOTALFATはメジャーデビュー以降、岡野さんをプロデューサーに迎えてレコーディングを続けてきました。今回初めてシライシさんと一緒に仕事をして、どういうところが岡野さんと違いましたか？

Shun　まず2人は根本的に違うところがあって。岡野さんは曲の土台からバンドと一緒に考えて、その曲を強くするために基礎から固めていく、大工の棟梁というか職人肌のプロデューサーで、レコーディングではプレイヤーと歌い手のポテンシャルを最大限に引き出すための空気作りもする。で、シライシさんはまず、どんなに枠組みが斜めになってようが、いろんな部分が交差してようが、バンドにやりたいようにやらせる。それを聴いてから、いろんなものを付け加えてデザインを整えていく空間デザイナーみたいな人なんです。

──なるほど、確かにタイプが異なりますね。

Bunta　あと、岡野さんとのレコーディングは「岡野道場」って言葉があるくらいスパルタな部分もあって。「Chase Mars」の頭の、4小節だか8小節だかのフレーズを1時間くらいしごかれました（笑）。

Shun　「足と手のグルーヴがバラバラだよ！ パターンで覚えてんじゃねえ！」って言われながら（笑）。

Bunta　感覚的なことを言われるので最初はなかなか理解できないんですけど、30分くらい続けてると「あ、そういうことか！」って気付くという。

Shun　そういうしごきが日常茶飯事だから、お陰でライブまで良くなる。

Bunta　最初に岡野さんからロックバンドとしてのベーシックな部分をたたき込まれたから、今しっかりとした足場を組むことができてると思います。

Shun　シライシさんも足場がないバンドに対してはちゃんと足場は組んでくれると思うんですよ。いろんなやり方がある中で、今回は僕らの持ってる土台を把握した上で別のところをどんどん広げてくれる人なんです。シライシさん、自分で「ハリウッドスタイル」って言ってましたけど。僕らがハリウッドって言われれば喜ぶと思って（笑）。結局みんな大喜びでしたけど！