音楽ナタリー PowerPush - the telephones
6枚のアルバムでたどる10年
6thアルバム「SUPER HIGH TENSION!!!」(2014年6月4日発売)
──そして2014年には現時点では最後のオリジナルアルバム「SUPER HIGH TENSION!!!」をリリースしますね。レコーディングエンジニアの日下貴世志さんのコメントを見てみましょうか。
一同 (爆笑)
松本 これヤバい。俺たち後半ほとんど登場しないじゃん(笑)。
──(笑)。レコーディングの思い出はありますか?
石毛 いやこの文読んじゃったからなんか……(笑)。
長島 でも日下さんとのレコーディングってこういう感じだよね。
石毛 うん。なんかちょっと煮詰まったときもこういうテンションでいてくれるから、場はいい感じに保てました。まあ脱線もそのぶん多いんですけどね。でも音は本物の人なんで。
松本 長い知り合いではあるよね。
石毛 でもアルバム1枚まるごとやってもらったのはこのときが初めてだったんです。個人的にディスカッションしたところがいっぱいあって、思い出深いアルバムになりました。そうかあ、トリプルアクセルのおかげだったんですね。アルバムとしてはオルタナティブな感じに戻った、とがったものになったんじゃないかなと思ってます。
やっぱthe telephones最高じゃんって思える年に
──ここまでアルバム単位で活動を振り返ってきましたが、バンドは昨年末に無期限の活動休止を発表しました(参照:the telephones初の武道館公演が決定、2015年をもって活動休止)。ファンとしては、the telephonesはずっと続いていくものだと思っていたんですが。
松本 そういうのに無縁だと思ってたとはよく言われます。
石毛 ちゃんとメンバー1人ひとりがそれぞれthe telephonesをちゃんと愛してるからこそ、この選択をしたと思っていただけたら。
長島 the telephonesとして全部やりきってたらきっと解散だったと思うんですよね。だから解散じゃないっていうのが僕らの答えでもある。
石毛 2015年はまだまだありますよ。武道館で終わりじゃない。今年の10周年イヤーを一緒に駆け抜けてほしいです。だから今新しい曲も作ってますし。それを活動休止する前に形にして、それも含めて「やっぱthe telephones最高じゃん」って思ってもらえるような1年にしようと思ってます。
──ベスト盤「BEST HIT the telephones」にも新曲「Say DISCO」が入ってますし。
石毛 めっちゃ踊れますよ、この曲。別に活動休止するからといって自らが昔を振り返ってるわけでもないし、常に現在進行形の自分たちを見せたいので、今やりたい曲を作りました。だけどやっぱり活動休止することが決定してから作った曲だから、ちょっとした悲しさも詰め込んでます。でも最初から最後まで悲しい曲作るのは肌に合わないし、基本的には楽しくてとがってる曲ですね。一時期「DISCO」って言うのが嫌になったときもあったけど、今は超楽しく言ってるよっていう曲です。
──なるほど。10周年イヤーはまだまだ続きますし、いろいろと楽しみです。
石毛 武道館以降も楽しみにしていただけたら。武道館でいろんな発表もしますんで、ぜひ来てください。
- ベストアルバム「BEST HIT the telephones」 / 2015年3月18日発売 / 3024円 / Virgin Music / TYCT-69078
- ベストアルバム「BEST HIT the telephones」
収録曲
- happiness,happiness,happiness
- sick rocks
- FREE THROW
- Love & DISCO
- Monkey Discooooooo
- Urban Disco
- HABANERO
- A.B.C.DISCO
- kiss me, love me, kiss me
- I Hate DISCOOOOOOO!!!
- Yeah Yeah Yeah
- A A U U O O O
- D.E.N.W.A
- Odoru~朝が来ても~
- Keep Your DISCO!!!
- It’s Alright To Dance (Yes!!! Happy Monday!!!)
- Don’t Stop The Move, Keep On Dancing!!!
- Hyper Jump
- Say DISCO
the telephones(テレフォンズ)
2005年に埼玉県浦和にて結成されたロックバンド。メンバーは石毛輝(Vo, G, Syn, Programming)、岡本伸明(Syn, Cowbell, Shriek)、長島涼平(B, Cho)、松本誠治(Dr)の4人。ポストパンク / ニューウェイブにも通じるダンスロックサウンドで各地のフェスを席巻し、2009年にEMIミュージック・ジャパン(現:ユニバーサルミュージック)と契約。同年7月にアルバム「DANCE FLOOR MONSTERS」でメジャーデビューを果たした。2011年には埼玉・さいたまスーパーアリーナでのワンマンライブ「SUPER DISCO Hits FINAL !!! ~そして伝説へ~」を開催した。その後もコンスタントに新作をリリースし、2013年7月には初となる東京・日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブ、9月にはPOLYSICSと合同で初のヨーロッパツアーを敢行するなど、ワールドワイドに活動を展開する。結成10周年を迎える2015年3月にキャリア初のオールタイムベストアルバム「BEST HIT the telephones」をリリースし、同年5月21日に東京・日本武道館で単独ライブを開催。また同年をもって無期限で活動を休止する。
武道館 DE DISCO!!! ~SUPER DISCO Hits 10!!! the telephones 10th Anniversary~
2015年5月21日(木)東京都 日本武道館
OPEN 17:30 / START 18:30
日下貴世志
10周年おめでとう!「D.E.N.W.A.」の最後のパートに「shoutを入れてくれ」とマイクを手渡されたことは、僕のレコーディングエンジニア人生でも特別な経験となりました。全てのコトをありがとう。キミたちは国の宝です。
6枚目のアルバム「SUPER HIGH TENSION!!!」からは「Hyper Jump」と「Don’t Stop The Move, Keep On Dancing!!!」が収録されるんですね。どちらも大好きな曲なので嬉しい限りです。
このアルバムは2014年の2月にレコーディングされました。2月、1番寒い季節ですね。
ちょうどその時期にソチで冬季五輪が開催されていました。
スタジオも毎日のように「今日は何の種目がある?」「昨日はメダル取ったね」といった会話からスタートしていました。
ところで皆さんは覚えているでしょうか?浅田真央選手のあのドラマを。
フィギュアスケートは1日目にショートプログラム、二日目にフリープログラムがあり、その2つの合計で争われる競技です。
優勝候補最右翼と言われた浅田真央選手、彼女のショートプログラムが始まる…
ちょうどその日、僕はメンバーが帰ったスタジオに居残り、録音したデータの整理などしていました。
そして初日の浅田真央選手の結果は…
誰も想像だにしていなかった、まさかの大失敗。
この点数ではもうメダルなど無理。
そんな状況になってしまいました。
そして翌日。
僕が熱烈に浅田真央さんを応援しているコトを
テレフォンズのメンバーは知っていたので
石毛くん「昨日は残念でしたね」
涼平くん「もうメダルは難しいんですかね」
ノブくん「でも諦めないで応援しましょうよ」
それぞれが僕に温かい声をかけてくれました。
誠治くんはドラゴンボールを読んでいたと思います。
「17号がなんとかかんとか…」みたいなコトを言ってました。
そしてその日の作業も進み
夜11時くらいでしょうか。メンバーは各自帰宅しました。
僕は前夜と同じくスタジオに居残り、少し作業をしていました。
そうこうする内にその時は来ました。
フリーでどんな演技を見せるのだろう
もうメダルは望めない状況で、何を思い何のために滑るのか。
そして
世界で誰もなし得なかった、8回のトリプルジャンプ
流れるような感動のスケーティング
メダルよりも大切なものがあると教えてくれた浅田真央選手
彼女に教わりました。
言葉になんてできない美しさがあるってことを。
そしてそれを自分なりに消化吸収して作ったミックスが
「Hyper Jump」です。
僕なりのトリプルアクセルなんです。(完)