音楽ナタリー PowerPush - the telephones

6枚のアルバムでたどる10年

2ndアルバム「DANCE FLOOR MONSTERS」(2009年7月8日発売)

──UK.PROJECTに所属してからはフェスやイベントにたくさん出演していって動員を増やしていくんですよね。その後2009年7月に「DANCE FLOOR MONSTERS」でメジャーデビューを果たすと。

石毛 メジャーでやりたいっていう気持ちは事務所に入ったときからあって。今でこそ俺らはすごいハッピーなバンドなんですけど、当時まだエッジィな感じだったんで、そういう奴らがメジャーシーンで大騒ぎしたらカッコよくない?って思ってて。

──なるほど。ここで「DANCE FLOOR MONSTERS」を一緒に作った岡野ハジメさんからのメッセージを見ましょうか。

岡野ハジメ

岡野ハジメ

ヒエ~~~! 10周年!?
スゲー! アンド オメデト!!
もう10年も経つのか、あっという間だね。
あの頃は2、3年もしたらDISCOに飽きて解散してるんじゃないかなんて思ってたけど……ウソウソ(笑)。去年見たライブのテレフォンズは変らず、、、というかさらに磨きがかかった聖なるMORONっぷりはかっこ良すぎだった。

2ndアルバム「DANCE FLOOR MONSTERS」(2009年7月8日発売)

「DANCE FLOOR MONSTERS」は個人的にも凄く好きなアルバムだ。全くの脚色なしの剥き身のサウンドは時代を飛び越えるはずだ。
おそらく10年20年後も変らずその時代のアガリたい奴らに突き刺さると思う。
もうこうなったらDISCOは思想! DISCOは哲学! DISCOはアティチュード!
DISCOフォーエバ~~~~!!!!

石毛 「2、3年もしたらDISCOに飽きて解散してるんじゃないかと思ってたけど」って(笑)。

長島 岡野さん節だね(笑)。

──今振り返ってみて、自分たちにとって「DANCE FLOOR MONSTERS」はどんなアルバムですか?

石毛 the telephonesが世間に認知してもらうきっかけになったアルバムな気がします。

──ライブで欠かせない曲がたくさん入っていますしね。

the telephones

石毛 そうですね。the telephonesの攻撃的なところだけを詰め込んだみたいな感覚のアルバムです。あと俺アルバムの曲を決めるときに「あんまりカッコよくないと思うんだけど、1回聴いてみて」って言いながら「Monkey Discooooooo」を聴かせた気がする。

長島 聴いたときにスタッフ含めてみんな「めっちゃいいじゃん」って言ってたよね(笑)。

──へえ。でもこのアルバムからthe telephonesの曲の感じって統一されていきましたよね。

石毛 そうですね。というか、統一しようとしてたと思います。メジャーの中では異質なものだということはわかっていたから、変に幅を広げるより一直線で攻めてわかりやすくする必要があった。

──なるほど。作品の統一感については岡野さんとも話し合いましたか?

石毛 話した気がします。言い方はアレかもしれないですけど、ライブ受けしやすい曲を入れていこうっていう話をした記憶がありますね。

どこでも浮くことが強み

──そして2009年の年末には「COUNTDOWN JAPAN」のGALAXY STAGEで年越しを任されてますね。

石毛 そのステージはちょっと特別で。というのも、そのちょっと前にやったディファ有明のワンマンが楽屋ノリな感じでグダグダになっちゃって、その反省を生かしてプロだってことを強く意識してやったステージだったんですよ。

長島涼平(B, Cho)

長島 僕らその頃ワンマンをほとんどやってなかったんですよね。だからワンマンのときのテンションの持っていき方とかをまったくわかってなくて。対バン相手のパフォーマンスを見て、燃えるっていうのがないと難しかったんです。

石毛 そうだね。その頃はシーンのことを考えて、俺たちの周りにカッコいいバンドがいっぱいいるんだから、みんなでハッピーになろうよみたいな感覚で絶対対バンライブにしてたんですよ。でも規模が大きくなってくるとそういうものでもなくなってくるんだなっていうのも実感し始めて、バンドが成長しだしたときだったと思います。

──でもやっぱりthe telephonesがイベントに出れば、ドカンと盛り上がるわけですよね?

石毛 すごく盛り上がってたと思います。この頃からそういうふうになってきたかもしれませんね。でも僕らはほかのバンドに勝つことしか考えてなくて、絶対その日一番のものをやるって意気込んでライブに臨んでました。

──メジャーデビューしてデカいステージに立つ機会も増えてきて、ここまで行きたいみたいな具体的な目標は見えてましたか?

石毛 どこまで行けるのか興味はあったものの、具体的には見えてなかったですね。

長島 自分たちがカッコいいってことを疑ってなかったし、伸びしろしかないと思ってたからそれをただやり続けていただけかもしれないです。でも俺らがワンアンドオンリーな存在でありたいっていうのは昔からみんなで話してたね。

石毛 ただあまりにも突然盛り上がってきたから、ホントにビックリしてた気はする。我々はスターなんだろうかって錯覚するぐらい不思議な感覚で。やりたいことしかやってないのに、それが受け入れられてしまうとうれしい反面、なんかムカついてたんですよね。

岡本 もともとこういうバンドはほかにいなかったしね。

長島 僕らはどのライブに出ても、浮いてしまうことが強みだと思ってたんで。

石毛 うん。どのイベント出ても俺たちはいけるんだってね。

3rdアルバム「We Love Telephones!!!」(2010年8月4日発売)

──そして2010年ナカコーさんと「A.B.C.D. e.p.」を作って、「Oh My Telephones!!! e.p.」を経て、「We Love Telephones!!!」をリリースと。ではここで、ナカコーさんからのコメントを。

Koji Nakamura

Koji Nakamura

10周年おめでとうございます。僕は数年前にプロデュースという仕事で彼らと一緒にアルバム制作をしました。自分としては初めての経験だったので、アルバム制作がうまくいくか未知の世界でしたが、彼らの姿勢が臨機応変であり、気さくであり、そのおかげでスムーズに最後まで楽しく制作できた思い出があります。すごく助かりました。

3rdアルバム「We Love Telephones!!!」(2010年8月4日発売)

ゆっくり休んで力を蓄えて、ファンやこれから音楽を好きになる人に新しい形の「何か」を見せていってほしいなと思います。

石毛 みじけーなやっぱり(笑)。

岡本 この最後の一文はナカコーさんらしいね。

──「これから音楽を好きになる人に何かを見せていってほしい」っていうのはthe telephonesのスタンスをよくわかってくれてる感じですね。

石毛 そうですね。ちゃんと入り口になれよ、みたいな。あと僕にとって、この人との出会いってかなりデカいものなんですよ。ナカコーさんは俺の理想のミュージシャンだったんです。洋楽っ子だった俺が日本の音楽で初めて感動覚えたのがスーパーカーだったんですよね。そんな俺のことも、普通の邦楽ファンも納得させる音楽を作っていて、しかも今聴いても全然古く感じない。今だと普通ですけど、2000年頃はバンドが打ち込みを取り入れるのってありえなかったんですよ。そういうところでも僕は彼のことをヒーローだと思っていて。ダメ元でそのヒーローと一緒に仕事をしたいって言ったら向こうがOKしてくれて、プロデューサーとして参加してくれたんですよ。

ベストアルバム「BEST HIT the telephones」 / 2015年3月18日発売 / 3024円 / Virgin Music / TYCT-69078
ベストアルバム「BEST HIT the telephones」
収録曲
  1. happiness,happiness,happiness
  2. sick rocks
  3. FREE THROW
  4. Love & DISCO
  5. Monkey Discooooooo
  6. Urban Disco
  7. HABANERO
  8. A.B.C.DISCO
  9. kiss me, love me, kiss me
  10. I Hate DISCOOOOOOO!!!
  11. Yeah Yeah Yeah
  12. A A U U O O O
  13. D.E.N.W.A
  14. Odoru~朝が来ても~
  15. Keep Your DISCO!!!
  16. It’s Alright To Dance (Yes!!! Happy Monday!!!)
  17. Don’t Stop The Move, Keep On Dancing!!!
  18. Hyper Jump
  19. Say DISCO
the telephones(テレフォンズ)

the telephones

2005年に埼玉県浦和にて結成されたロックバンド。メンバーは石毛輝(Vo, G, Syn, Programming)、岡本伸明(Syn, Cowbell, Shriek)、長島涼平(B, Cho)、松本誠治(Dr)の4人。ポストパンク / ニューウェイブにも通じるダンスロックサウンドで各地のフェスを席巻し、2009年にEMIミュージック・ジャパン(現:ユニバーサルミュージック)と契約。同年7月にアルバム「DANCE FLOOR MONSTERS」でメジャーデビューを果たした。2011年には埼玉・さいたまスーパーアリーナでのワンマンライブ「SUPER DISCO Hits FINAL !!! ~そして伝説へ~」を開催した。その後もコンスタントに新作をリリースし、2013年7月には初となる東京・日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブ、9月にはPOLYSICSと合同で初のヨーロッパツアーを敢行するなど、ワールドワイドに活動を展開する。結成10周年を迎える2015年3月にキャリア初のオールタイムベストアルバム「BEST HIT the telephones」をリリースし、同年5月21日に東京・日本武道館で単独ライブを開催。また同年をもって無期限で活動を休止する。

武道館 DE DISCO!!! ~SUPER DISCO Hits 10!!! the telephones 10th Anniversary~

2015年5月21日(木)東京都 日本武道館
OPEN 17:30 / START 18:30