avengers in sci-fiが2017年に結成15周年を迎えた。バンドとしての大きな節目に、レーベル機能などを持った“クリエイティブベース” SCIENCE ACTIONを設立。そして15周年イヤーの締めくくりとして、今年3月18日には東京・新木場STUDIO COASTで大規模な自主企画イベント「SCIENCE MASSIVE ACTION」の開催を控えている。
音楽ナタリーではアベンズに15年間を振り返ってもらうインタビューを実施。「何も考えていなかった」と語るメンバーだが、時系列でエピソードを掘り下げていくと、そのときどきで何を思いながら活動を続けてきたのかが見えてきた。また「SCIENCE MASSIVE ACTION」にちなんだSpotifyプレイリストと、同イベントに出演する盟友たちから寄せられたコメントも紹介。インタビューと合わせて楽しんでほしい。
取材・文 / 秦理絵 ポートレート撮影 / Viola Kam(V'z Twinkle)
- avengers in sci-fi 15th Anniversary Final "SCIENCE MASSIVE ACTION"
-
2018年3月18日(日)東京都 新木場STUDIO COAST
OPEN / START 13:00出演者
SCIENCE STAGE
the band apart / Czecho No Republic / LITE / THE BAWDIES / 9mm Parabellum Bullet / avengers in sci-fiACTION STAGE
FRONTIER BACKYARD / フレンズ / a flood of circle / DATS / the chef cooks meMASSIVE BOOTH
DÉ DÉ MOUSE / imai (group_inou) / DJ 石毛輝(lovefilm、the telephones、Yap!!!) / DJ 松本誠治 / FREE THROW
Wikipediaに2002年結成と書いてある
──結成5周年や10周年のタイミングではアニバーサリー的なことをスルーしてきたバンドですが、15周年はいろいろと盛り上げていますね。
稲見喜彦(B) 本当に今までは何もやってなかったですね。
木幡太郎(Vo, G) そもそも僕らには明確な結成日がなかったんですよ。なんとなく始めたコピバンが続いているので。今まで結成日とか節目を気にしたことがなかったんです。
──では改めて伺いますが、何をもって2002年を結成年としたんですか?
木幡 Wikipediaだとそういうことになってるので、そうなりました(笑)。
稲見 実際どうだったっけ? 会場限定のミニアルバムを出したタイミングだった気がします。
──このタイミングで自分たちの15年について振り返りましたか?
稲見 そういうことはあんまりないんですけど、去年の11月に3枚目のアルバム(2010年発表「dynamo」)までの古い曲しばりのライブをやりました。
──2004年発表の1stミニアルバム「avengers in sci-fi」から、3rdアルバム「dynamo」までの楽曲でセットリストを構成した東名阪ツアー「SCIENCE Re:ACTION」ですね。
稲見 そう。それが唯一、振り返ったなって感じ。
木幡 もはや自分たちのコピバンをやっている気分でしたね(笑)。好きなバンドのライブを観に行ったとき、ボーカルの歌い方が音源と違ったりすると、「あれ?」って思うことがあるじゃないですか。なので極力アレンジしたい欲を抑えて、オリジナルに近いパフォーマンスを心がけました。
稲見 それでも我慢できずに、ほぼ原形をとどめていない曲もあったけどね。
木幡 うん。アレンジを加えた曲は振り切っていたから、結局のところお客さんは「あれ?」ってなっていたと思います(笑)。
──長谷川さんはどうですか? 結成15周年については。
長谷川正法(Dr) 今回、アニバーサリー企画をやろうと思ったのは、僕らがSCIENCE ACTIONを始めたことが大きかったと思います。5年、10年で何もやってなかったわけだから、もしSCIENCE ACTIONの立ち上げがなかったら、15周年に何もやらなかったと思うので。
振り返って思わずゾッとした理由
──このタイミングでレーベル機能などを持つSCIENCE ACTIONを作ろうと思ったのはどうしてですか?
木幡 率直に言ってしまうと、ビクターとの契約が切れたっていうのがきっかけで。次に音源のリリースをする新しいレーベルを探すとき、全部自分たちの思い通りにコントロールできる居場所が欲しかったんです。これは別に目新しいことでもなくて、バンドを始めたときからやりたかったことなんですよ。ジャケットのアートワークから物販まで、自分たちのセンスが反映されるようにするっていうのは。自分たちはいろいろと経験を積んできたし、結成当初に比べたら世の中的にもそういう活動がしやすくなってきているので、新しい契約先を探すよりも、自分たちがやりたいと思っていたことを全部やっちゃおうっていう気持ちで立ち上げたんです。
稲見 自分たちでやりたいことを決めて、モチベーションを上げていかないと、バンド自体も続かないんじゃないかという気持ちもあったんですよね。
木幡 今になって自分たちでバンドを動かしてみて、改めてこの15年を振り返ると、ゾッとするんですよ。15年間のうちの14年間は寝てるようなものだったなあって。本当に何も考えてなかった。今は考えてるかって言ったらそれもまた疑問だけど(笑)。
──傍から見ると、全然寝ていたなんて思わないですよ。
稲見 それなりに悩んでいたときもあったんですけど、基本的に何も考えてなかったなあってことで。
次のページ »
ハイスタに憧れ、山嵐をコピーしていた時期を経て
- avengers in sci-fi(アベンジャーズインサイファイ)
- 木幡太郎(G, Vo, Syn)、稲見喜彦(B, Vo, Syn)、長谷川正法(Dr, Cho)からなる3ピースバンド。高校の同級生同士だった木幡と稲見に長谷川が加わり2002年頃から活動を開始する。2004年12月に初の正式音源となるミニアルバム「avengers in sci-fi」を発表。ジャンルや形式にとらわれないスタイルで繰り出すスペーシーなサウンドが人気を博す。2007年には、新人バンドの登竜門と言われる「FUJI ROCK FESTIVAL ‘07」の「ROOKIE A GO-GO」ステージに出演。2009年にはミニアルバム「jupiter jupiter」をリリースしたほか、木村カエラのシングル「BANZAI」をプロデュースして話題を集めた。2014年6月に5thアルバム「Unknown Tokyo Blues」をリリース。コンスタントにライブを重ねつつ、2016年に6thアルバム「Dune」を発表した。2017年に結成15周年を迎え、レーベル機能などを持ったプロジェクト「SCIENCE ACTION」を立ち上げた。2018年3月に15周年イヤーの締めくくりとなる自主企画ライブイベント「SCIENCE MASSIVE ACTION」を東京・新木場STUDIO COASTで開催する。