僕らが“一強”であるが故に……

──そして、このアルバムに先んじて、3月10日の結成記念日にオフィシャルサイトで「Falling」のミュージックビデオを公開されました。これはどのような意図だったのでしょうか？

RUKI　最初はファンの皆さんに“贈ろう”と考えていたんです。ただその適切な術がなくて。例えばLINEの公式アカウントから送られても味気ないと言うか。なので、オフィシャルサイトで公開という形になりました。

──当初サイトのみで公開されていたのは、ファンへの贈り物という意味だったのですね。

RUKI　カウントダウンして公開という算段だったんですけど、結局アクセスが集中してサイトが重くなってですね……カウントダウンが終わったのに観ることができないという（笑）。

──世界中からアクセスが集中したでしょうしね。

葵　サーバーは一応強化していたみたいなんですけど。やはり僕らが“一強”であるが故に……（笑）。

──のちにYouTubeの公式チャンネルでも公開されましたが、コメント欄で一番多く「イイね」が付いているのが、海外のファンの方が書き込んだ「The kings are back!!!」というコメントでした。

REITA　「王が返ってきた」！

麗　俺もそれ見た！

──それほど期待して待っていた世界中のファンによる集中アクセスで、サーバーを落としてしまったと。今回のアルバムの「LIMITED EDITION BOX」のBlu-ray / DVDには「Falling」のMVとメイキング映像に加えて、2017年3月に開催された「十五周年記念公演 大日本異端芸者『暴動区 愚鈍の桜』LIVE AT 2017.03.10国立代々木競技場第一体育館」のライブ映像もMCを含めほぼノーカットで収録されています。

葵　今まで、MCはわりと削りがちだったんですけどね。

──アンコールで葵さんが「泣いてねえよ！」と言ったシーンも入っていました。

葵　（棒読みで）それはちょっとチェックしてないですね。そもそもMCを入れるっていうのも、レーベルや事務所はすごい小さい文字で書いて僕らに伝えたと思うんですよねえ。

RUKI　1ポイントくらいの文字でね（笑）。

──そんな、詐欺の契約書みたいな。

REITA　もちろんチェックはしたんですけど、「ぜひ入れたい」と周りからも言われまして。それに、俺の涙は絵になってたと思う。あと麗のピック投げからの走りがね……？ あれはちょっとおもしろかったよ（笑）。

こだわっていると言うよりは、それが自分たちの“普通”

──とにかく、あの日のいろいろな見どころが全部入っているということですね（笑）。そして今ここにLIMITED EDITION BOXのパッケージ見本があるのですが、今回もすごいですね。メタルボックスに特色を使用して、印刷屋さんが大変そうな凝り具合で……。

RUKI　これは見本なので、完成版はもっとすごいです。

麗　（特大3Dパッケージの）「BEAUTIFUL DEFORMITY」もすごかったよね。

REITA　棚に入らないからお店泣かせでもあったもんね。

──あの作品は「入らない」という次元を越えていたような。

葵　俺は玄関に飾っているけどね。

RUKI　なので、今回は通常のCDサイズでできることを追求しました（笑）。

──「DOGMA」の豪華盤には無料ライブチケットが入っていたりと、the GazettEのリリースするCDは毎回凝っていますよね。ちなみに、SpotifyやApple Musicのような定額制の音楽配信サービスにバンドが参入していないのは、CDというパッケージへのこだわりからでしょうか？

RUKI　あんまり考えたことがないんですよね。「そろそろSpotifyやろうか」「Spotifyって何？」から会話が始まるくらいで（笑）。配信もCDもよし悪しがありますけど、できたらCDを手に取ってほしいのかな。やっぱりパッケージに対しての思い入れが強いと言うか、自分たちが「初回限定盤」や「ピクチャーディスク」みたいなものを手にして育って来たので……こだわっていると言うよりは、それが自分たちの“普通”なんです。

きっとベストを尽くしたツアーになる

──そして7月からは全国ツアー「the GazettE Live Tour 18 THE NINTH / PHASE #01 -PHENOMENON-」が始まります。

戒　よくファンの子に「楽しみにしててね」って言うけど、実は自分が一番楽しみなんですよね。アルバム曲がツアーの中でどう変わっていくのかも楽しみだし、今回のツアーはホール会場なのでショーとしての観せやすさもあると思う。そして「#01」ということで、この先も乞うご期待！というところですね。

RUKI　どうなっていくのかは自分らでもわからないし、ツアーらしいツアーになればいい、楽しんでやりたいというのはあります。ファンと思い出が作れたらなと思います。

麗　「DOGMA」ツアーのときはアルバムのイメージの再現を重視していたけれど、今回はファンとどう触れ合うか、ライブのことを考えてアルバムを作ったので。16年間バンドをやってきて、ライブの盛り上げ方などの経験を積んできたうえで、自分たちなりのベストなライブの構成を想像して作った曲たちです。だから、きっとベストを尽くしたツアーになる、ならなければおかしい。今までにないくらい、ファンと一緒に楽しめるライブになるんじゃないかな。

REITA　音楽にはいろんな楽しみ方があると思うんですけど、これだけ技術が発達しても、ライブを生で楽しむということを技術では超えることができない。「ライブに足を運ぶ」という行為を衰退させてはいけないと思っているので、ぜひ皆さんに来てほしいですね。

葵　昨年はツアーがなくてファンの皆様もかなりストレスが溜まってらっしゃるようなので（笑）、ライブの似合うアルバムを携えてみんなと楽しみたいなと思います。戒は「自分が一番楽しみにしてる」って言ってましたけど、僕ら全員が楽しみにしてますから。