THA BLUE HERB「THA BLUE HERB」 PR

THA BLUE HERBインタビュー|俺らが20年間やってきたことなんてもう昔の話、このアルバムでやっとTHA BLUE HERBが完成したんだ

THA BLUE HERBが7年ぶりとなるニューアルバム「THA BLUE HERB」をリリースした。今作はなんと2枚組。それぞれに15曲を収録して、計30曲になる大作だ。音楽ナタリーではILL-BOSSTINOとO.N.Oへのインタビューを行い、コンパクトな作品が好まれるこのご時世になぜ2枚組のアルバムを制作したのか、そこで何を伝えたいのか、じっくりと話を聞いた。

取材・文 / 宮崎敬太 撮影 / 草場雄介

1枚のアルバムを制作する時間で2枚作った

――2枚組アルバムを作るというアイデアはどのように生まれたのですか?

ILL-BOSSTINO(以下、BOSS) 野音(2017年11月に東京・日比谷野外大音楽堂で開催したワンマンライブ。参照:THA BLUE HERBは雨にも負けず!台風直撃の日比谷野音で3時間ワンマン完遂)が終わったあと、年末の忘年会だったと思う。1990年代、俺らがUSのヒップホップに夢中だった時代、2枚組のヒップホップアルバムってけっこうあったんだよ。俺らはいつも「今までやってなかったことをやろう」ってことを始点にするからね。俺がソロを出したり、野音をやったりしたのもそれが根底にある。だから、俺らも「ここらで挑戦してみようか」って感じで2枚組のアルバムを作ることにした。でも、最初の段階では本当に完成させられるかわからなかったけど、つまりは挑戦だったね。

O.N.O アルバムを2枚同時に作るようなもんだからね。

ILL-BOSSTINO

BOSS THA BLUE HERBとしては7年ぶりのアルバムだけど、その間に俺はソロを作って、あとはずっとツアー。その流れで20周年を迎えて、それの締めくくりが野音だった。ずっと動いてはいたけど、制作面ではずっと止まってたから、制作モードにギアを入れるのが大変だったよ。

O.N.O 作り始めたのが去年の正月明けくらいかな。

BOSS 止まってた車を2人で押し始めて、トップスピードに持っていくまでがだいたい半年くらい。そこまで持っていければ曲はどんどんできる。でも、その段階ではまだアルバムの全体像を全然意識してなくて、ただ「いい曲を作ろう」という思いだけだったね。

──トップスピードに持っていくためにどんなことをしたんですか?

BOSS とにかく作る。それだけだね。

──オフィシャルサイトのマンスリーレポートに「O.N.Oとのやりとりが多かった」と書かれていましたが、通常、TBHはどのように制作を進めるんですか?

BOSS 俺は俺で歌詞を書いて、O.N.OはO.N.Oでビートを作る。お互いある程度まとまってきたタイミングで摺り合わせを始めるって感じだね。

──えっ、最初は別々に作業してるんですか?

BOSS 今までずっとそうだよ。でも書いてきた歌詞が全部O.N.Oのビートにハマるわけもない。半分よりちょっと多いくらいかな、いきなりフィットするのは。

O.N.O その段階では俺のトラックもBOSSの歌詞もまだ基礎段階。そこからお互いに摺り合わせて詰めていく作業が一番長い。BOSSからトラックについての注文もあるし、俺もBOSSへフレーズ単位で注文する。だから完成版は最初に作ったものからだいぶ変わってるんですよ。

BOSS ハマらなくて宙に浮いた状態になった歌詞からO.N.Oがビートを作ったり、俺もO.N.Oのビートを聴いて歌詞を書いたり。それでもどこにもハマらなかった歌詞とビートが今回は膨大にある。後半はやればやるほど曲が生まれていく感じだったから、もうちょっと時間があれば3枚組でも作れたと思うよ。

カッコいい曲を作ることが仕事だから、そこに私情はない

──ちなみに制作のときは、どんなルーティンで1日を過ごすんですか?

O.N.O 平日だと俺はいつも朝3、4時くらいに起きて、制作用スタジオに行ってる。制作は19時まで。すぐ帰宅して、21時に就寝って感じかな(笑)。

BOSS 半端ないっしょ(笑)。

──煮詰まったときはどうするんですか?

O.N.O

O.N.O 基本的にいつも煮詰まってる(笑)。でも俺にとってはそれが日常だから。別に大変とも思ってないよ。あと週末にDJがあるときは街に出ていくくらいかな。

──BOSSさんはどんな感じですか?

BOSS 俺は普通だよ。朝8、9時に起きて、午前中にジムに行って、13時から20時くらいまで作業かな。

──制作で2人がぶつかることはありますか?

BOSS 1回もないかもね。俺らは基本的にカッコいい曲を作ることが仕事だからさ。そこに私情はないんだよね。意見がよければ即採用って感じ。だからぶつからない。

──BOSSさんは最初にどのように歌詞を書き始めるんですか?

BOSS メモ書きからかな。海外のバーのカウンター、札幌のダンスフロア、そこらの居酒屋の帰り道、いろんなところでいろんなことを感じる。それを書いておく。だから1小節単位で始まることが多いね。そこからコツコツと膨らませていく感じ。1小節に3日かかることもあるけど、最初に言ったように制作のエンジンがトップスピードになってるときは一気に書き上げたりすることもあるね。

──O.N.Oさんがビート制作で意識していることを教えてください。

O.N.O “鳴る”ってことかな。俺はTHA BLUE HERBの曲をライブやフロアで聴くことができる立場だから。それと、ビートはアルバムの時点で完成されてなきゃいけないからね。