佐藤千亜妃が考える“いい音”
──「EAH-AZ80」はアプリを使ったり、イヤホン自体を長押ししたりすることでさまざまなモードの切り替えも簡単にできますが、機能面についてはいかがでしたか?
アプリでEQのバランスを自分で設定できるのはすごくいいですね。あと、外部音を取り込んで聴くと大抵、曲の音が劣化して聞こえるものだと思うんですが、アンビエント機能を使って外部音を取り込んでもそこまで劣化を感じなかったです。
──「EAH-AZ80」はTechnicsの新設計の音響技術による業界最高クラスのノイズキャンセリング性能を搭載していますが、佐藤さんは普段ノイズキャンセル機能を使っていますか?
めちゃくちゃ使ってます。移動中とか雑踏の中にいるときに音が入ってくるのが気になったときはノイズキャンセリングするとやっぱり音楽に没入できますよね。街の喧騒など周囲の音が聞こえてしまうと一部の音が曲にかぶって聞こえなくなるのが嫌だなと思うことがあるんですが、ノイズキャンセルのクオリティが高いと外部音が入っても曲の細かい音がちゃんと聞き取れる。あと、移動中に急ぎで何かのチェックをしないといけないときにノイズキャンセル機能があると集中してチェックができるのですごく助けられてます。「EAH-AZ80」はカフェとかコンビニで店員さんとやりとりするとき、タッチセンサーを長押しして外部音を取り込む設定に切り替えることができるので、イヤホンを外さずにそのまま会話できるのがすごく便利ですよね。
──佐藤さんが考える“いい音”というと、どんな音でしょう?
やっぱり変にどこかの音域が膨らんだりしてないフラットに聞こえる音ですね。楽器を演奏している音源の場合、プレイヤーの空気感が伝わるのもすごく重要で。「EAH-AZ80」はその空気感がちゃんと伝わってくるのですごくいい音だと思いました。レコードバーにたまに行くんですが、そこで聴く音源は普段イヤホンや部屋で流して聴いてるときとは少し違って聞こえてきて、プレイヤーの癖やいいノイズに気付くんです。「EAH-AZ80」はそういうところに気付ける音でもあると思いました。
──“いい音”を説明する際によく「高音質」という言葉が使われますが、「EAH-AZ80」の音を佐藤さんなりに説明すると、どんな言葉が合うと思いますか?
生音に近いという意味で“生音質”ですかね。生音に近いというのはミュージシャンからしたらめちゃくちゃ大事なので。
あのときあの場所で聴いたバンプ、サンボマスター
──「忘れられない風景と音楽 プロジェクト」には、新生活を始める方々も多く不安やストレスを感じやすい時期だからこそ、あのときあの場所で聴いていた懐かしい音楽をTechnicsの製品で聴いて、自分の心を取り戻してほしいという思いがあります。佐藤さんにとって新生活を始めることは、どんな経験でしょうか?
自分にとって思い出深い新生活というと、高校時代に転校して岩手から上京したときや、大学に入って寮を出て一人暮らしを始めたときのことを思い出します。友人から教えてもらって高校生のときにBUMP OF CHICKENにハマったんですが、上京してからも聴いていて、高校に向かうバスの中で「ラフ・メイカー」を聴いて爆泣きしてました(笑)。新しい学校で友達ができるのかなという不安を抱えていたこともあって、「ラフ・メイカー」の歌詞に奮い立たせてもらっていましたね。「内にこもってないで外側の世界を見て笑えたらいいよね」というメッセージが伝わってきて、背中を押されながら通学してました。今でもバンプの曲を聴くとその頃の気持ちがよみがえります。心臓がギューッと締め付けられるくらい懐かしい気持ちになります。
──新生活を始めた方々に向けて、佐藤さんなりの環境変化における不安を解消する方法があれば教えてください。
やっぱり新しい環境での人間関係が不安ですよね。人見知りの人も多いと思いますが、職場や学校に1人でも仲のいい友達がいたら楽しくなると思うので、殻を破るまではいかなくとも、ちょっとがんばって挨拶してみるとか、家に帰ってから自分を少しでも褒められるようなことを新生活の中でできたら自然と開けていくんじゃないかなと思います。マジレスですみません(笑)。
──いえいえ(笑)。本当にその通りだと思いました。
学校なり職場なりに向かう途中で背中を押してくれそうな曲を聴いたりしてちょっとがんばってみる。それで帰り道は「今日ちょっとがんばったな」と思いながら自分が好きな曲を聴いて癒されるのもいいと思います。
──先ほどの「ラフ・メイカー」もそうだと思いますが、背中を押されたり、鼓舞された曲の思い出はありますか?
私は「音楽を生業にしたいけど、できなかったらどうしよう」と思って、闇の中にいた時期がけっこう長かったんです。その時期は怒りや悲しみといった負の感情がすごく強くて。でも、所属している事務所でデビューができるということをスタッフの方から聞いたときにすごく解き放たれた感覚になりました。その帰りの電車の中では我慢していた感情が、自分の最寄り駅に降りた瞬間あふれてきて。そのときちょうどイヤホンからサンボマスターさんの「これで自由になったのだ」が流れてきて、それまでその曲を聴いて泣いたことはなかったんですが、そのときは歌詞も相まって「自分はこれまでの鬱屈した気持ちから解き放たれて音楽ができるんだ!」と思い、ぶわーっと涙が出てきたんです。駅の階段を下りて改札を抜けて家に着くまでずっと泣いてました。「やっとだ!」っていう気持ちでいっぱいでしたね。ちょうど今みたいに冬が終わって春になるくらいの時期で、天気もよくて、すごくエモい気持ちになっちゃいました。
──先ほども話に出てきた、佐藤さんが参加されたKERENMIの「おぼろ feat. 佐藤千亜妃」も春の訪れを感じさせる曲ですよね。
そうですね。桜が咲き始めるぐらいの時期を想定した曲です。「おぼろ」は蔦谷さんが20年以上前にやっていたバンド、CANNABISがライブで演奏していた曲なんですが、ずっと音源はリリースされてなかったんです。今回私が歌ってリリースされたことに対して、蔦谷さんは「昔からある曲を佐藤さんの素敵な声で歌ってもらって、こうやって世に出せるのがうれしい」と言ってくれました。それこそ新生活の中でがんばってる人たちが職場や学校の帰り道に「おぼろ」を聴いて癒されてくれたらうれしいですね。
-
忘れられない風景と音楽 プロジェクト
Technicsの完全ワイヤレスイヤホンが4月22日に開始したプロジェクト。多くの人が疲れやストレスを感じやすい新生活シーズンの春に第1弾として、SNSで思い出の楽曲と写真、そのエピソードを募集するほか、六本木や下北沢、渋谷の駅構内でポスター広告を掲出する。また、マルチクリエイター深根がプロジェクトのために書き下ろした新曲「あの空とおく」を使用したコンセプトムービーや音声広告では、ナレーションをたかはしほのか(リーガルリリー)、歌人の木下龍也が担当している。
-
Technics「EAH-AZ80」
TechnicsがHi-Fiオーディオ機器の開発で長年培われた音響技術の粋を注いだ完全ワイヤレスイヤホン。10mmドライバー×アルミニウム振動板が搭載されており、低域から高域まで再現性の高いクリアな音を楽しむことができる。ノイズキャンセリングの性能は業界最高クラス。長時間の使用でも疲れにくい“コンチャフィット形状”を採用しているほか、業界初の3台マルチポイント接続にも対応している。
プロフィール
佐藤千亜妃(サトウチアキ)
シンガーソングライター。2007年に大学の同級生とバンド・きのこ帝国を結成し、ボーカルとギターを担当する。2018年7月に砂原良徳共同プロデュースで初のソロ作品「SickSickSickSick」を発表。2019年5月にバンド活動を休止してからはソロで活動を行っている。2023年6月に3rdアルバム「BUTTERFLY EFFECT」をリリース。2024年4月に蔦谷好位置のプロジェクト・KERENMIの新曲「おぼろ feat. 佐藤千亜妃」に歌唱で参加した。そのほか亀梨和也、Da-iCE、SCANDAL、森七菜、私立恵比寿中学といった外部アーティストへの楽曲提供、プロデュースなど活動は多岐にわたる。