ナタリー PowerPush - たむらぱん

丁寧に紡いだ6年の軌跡 “呪術的”ベスト「tamuLAPIN」

音楽で呪術的なところまでいきたい

たむらぱん

──デビュー以降のキャリアの中で「あの経験によって、考え方が大きく変わった」とういうことは?

うーん……ないですね! いろいろな経験の中で、新しい発見とか「やれることが広がった」ということはありますけど、考え方が変わるようなことはなかったかも。でも、そういう衝撃が起きないかな?というのはいつも思ってるんですよね。自分自身が180度以上変わるような出来事というか。

──ブレることがないとも言えますよね。制作スタイルも音楽性も、実はデビュー当初から一貫してるじゃないですか。

「自分のスタイルを優先」みたいな意識はないんですけどね。ただ、人とあんまり深く関わろうとしないところはあるかも。約束とかもしないんですよ、基本的に。「その日、もしタイミングが合ったらどっか行こうか」みたいな話はするけど、「○月○日の○時に待ち合わせよう」ってことはほとんどなくて。

──やっぱりユニットやバンドには向いてないような……。

さみしい(笑)。でも、だからバンドが好きなのかもしれないですね。バンドのライブを観るのもすごく好きだし。ロマンを感じるじゃないですか、バンドって。私、Mother Falcon(アメリカ・オースティンを拠点とする大所帯のオーケストラルバンド)っていうバンドに入りたいんですよ(笑)。

──自分でバンドを結成するっていう発想はないんですか?

あ、それはあります。ただ、どういう人と組めばいいかっていうイメージが浮かばない。だけどバンドはこれからやってみたいことの1つですね。あと「はやりたい」っていう気持ちもある。

たむらぱん

──でも、流行を意識することはないでしょ?

うーん……。なんて言うか、消費されちゃう音楽っていうのも必要だよなとは思ってるんですよ。それも大事なことなんだけど、どこかで自分はそうなりたくないと思ってるところもあって。そういうことを言いたくなかったんですけどね、昔は。「自分を音楽に託し切る」とか絶対に口に出したくなかったんだけど、今はそれをすごく感じてるんですよね。ほら、「暮らしに寄り添う音楽」みたいな表現ってあるじゃないですか。そういうものじゃなくて、もっと呪術的なところまでいきたいんですよ、音楽で。

──それが「自分を音楽に託す」ということ?

そう。自分がすごく入ってるんですよね、音楽の中に。だから、ディレクターと話しててちょっと否定的なことを言われるだけでムッとしちゃうし(笑)。作品を否定されることって、自分を否定されることとほぼイコールですからね。ほかの人に楽曲を提供するときも、大げさに言えばその人に憑依するような感じがあるんです。そんなにも音楽に没頭してる自分のマジメさが恥ずかしかったんですよ、前は(笑)。

──でも、もう引き返せないでしょ? 音楽家として生きるしかないというか。

そうですね。もし音楽を辞めるとしたら、そういう情報が一切ないところに行きたいですね。フィンランドとか……ただ行きたいだけなんですけど(笑)。

次は真逆のことをやりたい

たむらぱん

──最後にベストアルバムのリリース以降の展開について。まず6月にワンマンツアー「TAMURAPAN "drawdraw music" TOUR」がありますね。

今回はバンドじゃなくて1人でやろうと思ってるんですよ。絵の展示もあるし、すごくパーソナルなものになると思いますね。たむらぱんの“らぱん”は“ウサギ”なんだよってことだったり、いろいろと私のことがわかると思います(笑)。

──制作に関しては?

前回のアルバム(「love and pain」)を作ったことで、自分の音楽のイメージが確立できた気がしてるんですね。“言葉を音に託す”というか、そういう音楽が好きなんだなって。ただ、あのアルバムは底抜けに明るいというより、とうとうと何かを問い続けるような感じだったから、次は真逆のことをやりたいと思ってます。

──ポップに振り切る、とか?

ずっと聴いてくれてた人が「え、これ?」と思うようなことをやりたいなって。「前回のアルバムから、いきなりこうなっちゃうんだ?」っていうことを狙ってやれたら面白いと思うんですよね。

──ベストアルバムをきっかけに大きく変わっていくかもしれないですね。

そうですね。なんだかんだ言って1つの区切りになると思うので。そういう意味では「love and pain」までの曲を(ベスト盤に)入れることができてすごくよかったと思います。そうじゃなかったら、ベストとしてまとめるのはイヤだったかもしれない。ちゃんと自分を託した曲ばかりなので、これをきっかけにして入ってきてくれたらうれしいですね。

たむらぱん
ベストアルバム「tamuLAPIN」/ 2014年3月26日発売 / 日本コロムビア
初回限定盤 [CD2枚組+DVD] 4095円 / COZP-900~2
通常盤 [CD2枚組] 3150円 / COCP-38479~80
CD収録曲
DISC 1
  1. ココ(single ver.)
  2. new world
  3. おしごと
  4. 直球
  5. ファイト
  6. フォーカス
  7. マウンテン
  8. SOS
  9. ジェットコースター
  10. ちょうどいいとこにいたい
  11. ハレーション
  12. 責めないデイ
  13. ぶっ飛ばすぞ
DISC 2
  1. love and pain
  2. 第2ステージ
  3. でんわ
  4. ぼくの
  5. しんぱい
  6. 白い息
  7. バンブー
  8. ラフ
  9. ズンダ
  10. ゼロ
  11. ちゃりんこ
  12. キースとモモ
  13. 回転木馬
初回限定盤DVD収録内容
  1. love and pain
  2. ラフ
  3. 白い息
  4. バンブー
  5. しんぱい
  6. ファイト
  7. new world
  8. フォーカス
  9. でもない feat.Shing02
  10. ぼくの
  11. 回転木馬
  12. ゼロ(morimoto×tamura Remix ver.)
TAMURAPAN “drawdraw music” TOUR
  • 2014年6月7日(土)東京都 VACANT
    OPEN 16:00 / START 17:00
    ※SOLD OUT
  • 2014年6月8日(日)東京都 VACANT
    OPEN 16:00 / START 17:00
    ※SOLD OUT
  • 2014年6月15日(日)京都府 元立誠小学校講堂
    OPEN 16:00 / START 17:00
    チケット一般発売中
  • 2014年6月22日(日)東京都 Super Deluxe
    OPEN 17:00 / START 18:00
    チケット一般発売日:3月29日

絵画の展示は開場時および終演後に会場内にて観覧可能。
下記日程では無料観覧も実施。

  • 2014年6月8日(日)東京都 VACANT
    10:00~14:00
  • 2014年6月15日(日)京都府 元立誠小学校 木工室
    10:00~17:00
たむらぱん

作詞・作曲・アレンジはもちろんアートワークまでを手がけるマルチアーティスト・田村歩美のソロプロジェクト。2007年からMyspaceにおいて自ら楽曲プロモーションを開始し、日本初の「Myspace発メジャーデビューアーティスト」として2008年4月に1stアルバム「ブタベスト」をリリースする。また自身の活動に加えて、松平健の「マツケンカレー」、アイドルグループのbump.yや私立恵比寿中学、豊崎愛生、剛力彩芽、中川翔子などへの詞曲提供、ロッテ「Fit's」CM曲の歌唱など多岐にわたる活動でその才能を発揮している。2013年10月にアニメ「京騒戯画」のオープニングテーマとして書き下ろした「ココ」をリリース。2014年3月、デビュー作から6thアルバム「love and pain」までの楽曲より選曲された2枚組ベストアルバム「tamuLAPIN」を発表する。