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たむらてん+MACHI cafe特集
5thアルバム「wordwide」をリリースしたたむらぱんが、もうひとつの才能である絵やアートの世界を独立した形で展示している「たむらてん」。インディーズ時代のCDジャケットを手がけるなど、デビュー前から彼女のイメージやブランディング形成に大きな役割を果たしている絵の才能を一望できる展覧会だ。
今回はこの「たむらてん」開催のタイミングで、彼女の絵の側面に特化したインタビューを実施した。なお彼女は同時期にローソン「MACHI cafe」企画の一環としてタンブラーのデザインも担当。オファーを受けての新たなチャレンジに関する感想も訊いてみた。
取材・文 / 石角友香
音楽のついでじゃなく独立した形で
──まずは今回の「たむらてん」開催の経緯について聞かせてください。
絵は以前から描いてたんですけど、こういう展覧会は音楽をやっているって認識がある程度定着した上でやれたらいいなって思ってたんです。そういう意味で、アルバムも5枚出してそろそろやりたいなあと思っていた矢先で今回オファーをいただいたので「じゃあぜひ」ということで。音楽のついでっぽい感じじゃなく、ちゃんと独立した形でやりたいと思ってたんですよね。
──なるほど。以前からジャケットのイラストは描かれてましたがそれだけではなく。
そう、作品に使ったりしてるからオマケみたいに捉えられることもあったし。でも例えばこれはインディーズのアルバム「ひとりあそび」のときに店頭POPとして作った作品なんですけど、モノとして独立して使える作品にしたいなっていうのは思ってましたね。
──いろんなタイプの作品が揃っていますが、この女の人の絵もかなりのインパクトがありますね。
これはラジオ番組の収録時間内に写生をするっていう企画で描いたんです。スタジオに全裸の女の人が入ってきて。「ラフ」っていうシングルのタイミングだったから裸婦だったんじゃないのかな?(笑) 2時間の番組内でゲストコーナーのときだけ席に着いて話して、終わったら別のコーナーが進んでいる中で私は床で絵を描いてるっていう、そういう感じでしたね。
──こういうダイナミックな絵にしようと思ったのは?
時間の制限があったり、あとは色付けたほうがいいなと思ったり。まず裸のその人が出てきたときに「母なる大地」みたいなイメージがあったので「地球から人が出てる感じかな?」と思って描きました。
──ではこちらの細密画はどういったテーマで?
テーマはざっくりとあるんですけど、描くものが決まってるか?というと全然そうじゃなくて、どんどん数珠つなぎというか、なんでこの線を描いてるのか?っていうのが自分でもわからない中でやってたり。そういう感覚は音楽より絵のほうが強いですね。
絵はテーマがブレても全然OK
──絵を1枚描くのと曲を1曲仕上げるのとでは感覚が違うんですか?
割と違うなあっていうのは最近すごく思ってることで。音楽のほうはやろうとしてることが決まってて、それをデモとして作っていくっていう感じなんですけど、絵はパッて出してみて最後に答え合わせをする感じ。「何描いたんだろう?」って。
──それに音楽は人が関わってくるという部分が違いますよね。
あ! それは大いにあると思いますね。絵を描くのはすっごい孤独だし、究極に地味な作業ですね。
──この、人の顔で顔を描いた細密画もすごく細かい作業の積み重ねですよね。
これは最近「サイボーグ」っていう言葉に興味というか何かを感じて、最初は「サイボーグってロボットだけど人間なんだよ」みたいなイメージのものを作りたいなと思ったんです。音楽でも良かったんですけど、いざ絵で表現するっていうときに「集合体みたいなものが描きたいな、顔で何か描きたいな」と思いついて、それで顔を増やしていくうちに「顔で顔を描こう」って。で、描いてるうちに「これは男の人だな」って感じたので造語で「サイボーイ」って名前を付けたの(笑)。1人でやってるからテーマがブレても全然OKなんですよ(笑)。
──ははは(笑)。ところでたむらぱんさんは音楽活動をする前から絵が趣味だったんですか?
うーん、好きなほうではあったとは思うんですけど、どちらかと言えば自分がうまくバランスをとれる要素のひとつというか。絵を描くときって無の境地で、ツブツブ描いてても塗ってても何かもう「手だけで生きてる」感じなんですね。頭は使ってないから発散できてるというか。
──ああ、なるほど。じゃあ習ったりはしてない?
ないです。独学。
──へー! 好きな画家や影響を受けた画家はいますか?
例えばピカソやゴッホの絵を見て「すごいな。近づきたいな。触りたいな」っていう、そういう興味はあるんですけど、技術として影響を受けた人はいないです。でもだからこそ絵を描くときに、“ついで”とか“勢い”ではやりたくないと思うんでしょうね。土台がないから。
» 絵は編曲に近い
tamurapan 「たむらてん」
2012年10月19日(金)~28日(日)
東京都 渋谷PARCO PART1 6F P/I GALLERY
OPEN 10:00 / CLOSE 21:00
入場無料
たむらぱんのCDジャケットで使われたイラストの原画を含め、今まで彼女が描いて来た絵の中から厳選された作品が展示されます。この日のために描き下ろしてきた新作も多数披露される予定。
MACHI cafe×アーティストコラボタンブラー
あなたのマチが、どこでも、カフェになる。
有名アーティストがデザインしたMACHI cafeタンブラーを数量限定販売
ニューアルバム「wordwide」/ 2012年10月24日発売 / 日本コロムビア
CD収録曲
- new world
- おしごと
- でんわ
- ぼくの
- はだし
- ST
- ふれる
- 直球
- ヘニョリータ
- ポーズ
- 知らない
- でもない feat.Shing02
初回限定盤A DVD収録内容
- TAMURAPAN 5th ANNIVERSARY SPECIAL LIVE(※16曲約70分収録)
初回限定盤B DVD収録内容
- TAMURAPAN Music Video Collection
LIVE INFORMATION
TAMURAPAN ワンマンライブ全国ツアー
2012年11月9日(金)
北海道 札幌KRAPS HALL
2012年11月15日(木)
愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
2012年11月16日(金)
大阪府 大阪BIG CAT
2012年11月24日(土)
宮城県 仙台CLUB JUNK BOX
2012年11月25日(日)
新潟県 新潟LOTS
2012年11月28日(水)
福岡県 福岡DRUM Be-1
2012年11月30日(金)
東京都 SHIBUYA-AX
たむらぱん
作詞・作曲・アレンジはもちろん、アートワークまで手がけるマルチアーティスト・田村歩美のソロプロジェクト。2007年からMyspaceにおいて自ら楽曲プロモーションを開始し、日本初の「Myspace発メジャーデビューアーティスト」として、2008年4月に1stアルバム「ブタベスト」をリリースする。また自身の活動に加えて、松平健の「マツケンカレー」や、アイドルグループのbump.y、私立恵比寿中学などへの楽曲提供、さらにロッテ「Fit's」CM曲の歌唱など、多岐にわたる活動でその才能を発揮している。2012年10月に5thアルバム「wordwide」をリリース。