ナタリー PowerPush - TAMTAM

新世代ダブバンドを徹底解剖

#3 ラジオDJが語るTAMTAMの魅力

藤田琢己

──TAMTAMを知ったきっかけは? 初めて聴いたときの印象はどんなものでしたか?

おそらく半年前くらいにプロモーションでCDを聞かせてもらった気がします。最初の印象は、浮遊感のある感じが、今の主流でよく聴く音像ではなかったので個性的だなと思いました。ダブバンドって今あまりいないですよね。

──彼らにキャッチコピーをつけるとしたら?

やわらかな光を感じる世界観と朝露のような声。
音の印象自体が浮遊感を内包していて、そこに乗るボーカルのkuroさんの歌声がすごく瑞々しく響きます。そこに歌詞の世界観が絶妙にブレンドされ、霧もやのような、薄暗くもほのかに世界全体が白く明るく包まれているような景色をイメージさせてくれます。

──藤田さんから見た彼らの魅力はどんなところですか?

メロディや歌声がはっきりしていて、レゲエやダブなどのジャンルに詳しくなくてもハマれるところでしょうか。あと、インテリジェントな緻密さと感性に訴えかけてくるものがブレンドされて、聴けば聴くほど発見したりぐっときたり、いろんな楽しみ方ができます。

──お気に入りの曲と、その聴きどころ / 魅力を教えてください。

トゥナイト、です。
「待ちに待ったトゥナイト」、っていう歌詞が妙にぐっときます。
ご本人の意図したところではないとは思いますが、ちょっと80's風なこの言い回しをさらりと使われるところが、センスを感じました。(そこかよ!って話ですかね……)

──現在の音楽シーンの中で、今後TAMTAMはどんな存在になっていくと思いますか?

個性的なバンドで居続けることは間違いないと思いますが、メンバーそれぞれがいろいろな科学変化をその周りのミュージシャンと起こしながら、新しいムーブメントの渦の真ん中にいたら素敵だと思います。ダブにインスパイアされたバンドたちは、音楽シーンの中ではすごく他アーティストからリスペクトされて愛されている方達が多いですよね。

──メンバーにメッセージをお願いいたします。

まだお会いして話を伺ったことがないので、ぜひお会いしたいです!

藤田琢己
藤田琢己(フジタタクミ)

ラジオDJとして15年のキャリアを持ち、テレビの音楽番組のMCから新聞記事の執筆まで幅広く活動している。年間150本ほどライブの現場に足を運ぶライブ好き。

土井コマキ

──TAMTAMを知ったきっかけは? 初めて聴いたときの印象はどんなものでしたか?

去年のミニアルバム「Polarize」です。アーティスト写真が雰囲気のあるものだったので、逆にいぶかしい気持ちだったんですが(笑)、音源を聴かせてもらって、ドキッとしました。すぐにライブが見たいと思いました。

──彼らにキャッチコピーをつけるとしたら?

質実剛健タイプの文科系ダブポップ。

なんとなくダブ処理してみました……じゃなくて、さかのぼって勉強してるんだろうなと。だけど、パッと見た感じが普通の人たちってとこが素敵です。「いかにも」なオーラがない!

──土井さんから見た彼らの魅力はどんなところですか?

日本語の歌詞って、載せるの難しいと思うんですが、聞こえてくる言葉から浮かぶイメージをうまく利用してるところ。もちろん、リスナーが思い思いのリズムを刻んで自由に揺れてる、低音多めのライブも気持ちいいです。ボーカルのkuroさんがトランペットを手に歌うのも、絵になりすぎてキャッチーですよね。

──お気に入りの曲と、その聴きどころ / 魅力を教えてください。

1曲選ぶのは難しいんですが……「シューゲイズ」のイントロのトランペットを聴いた瞬間「きたきたきた~~」と興奮しました。裏打ちの鍵盤と「さよならまたね」という歌いだし。なんて切ないこと! 青白い照明を受けるトランペットとkuroさんの黒髪が妖艶で、蒸し暑い夏の夜に野外で聴きたいです。

──音楽シーンの中で、今後TAMTAMはどんな存在になっていくと思いますか?

こういう言い方は多方面から嫌われるかもしれないですが、「bonobos以降」みたいなところを、私はやっぱり無意識に探しているようです。TAMTAMはマニアックにもポップにもなれるだろうけど、その間のちょうどいいところを進んでいけると思います。

──メンバーにメッセージをお願いいたします。

「みんなで同じ」ができない私たちを、これからもよろしくお願いします。見捨てないでぇ~!

土井コマキ
土井コマキ(ドイコマキ)

奈良県出身のラジオパーソナリティ、ナレーター。元銀行員という異色の経歴を持つ。FM802「SONIC STYLE」のアシスタントDJからキャリアをスタートさせ、その後も関西地区のラジオ番組を中心に活動。自主イベントの開催やコラムの執筆など多角的にも活躍している。現在はFM802「MIDNIGHT GARAGE」「BEAT EXPO」、InterFM「NEXT UP!」のパーソナリティを担当している。

芦沢ムネト

──TAMTAMを知ったきっかけは? 初めて聴いたときの印象はどんなものでしたか?

昨年「RADIO DRAGON」のDJをやるようになってからいろんな音源をいただくようになって、その中にTAMTAMもあったんですよね。僕、ダブってあまり詳しくないんですけど、聴いた瞬間にすごくカッコいいなと。どこか懐かしい印象もありつつ、新しいことをしてる感じを受けました。

──彼らにキャッチコピーをつけるとしたら?

哀愁の温故知新バンド。

古い音楽を新しく聞かせてくれるし、そこに哀愁が入ってる。あとダブっていうワードを使うととっつきにくいって思う人もいるかもしれないけど、彼らはジャンルの枠を超えて広がっていく気がします。

──芦沢さんから見た彼らの魅力はどんなところですか?

「クライマクス」ってダブって言われればダブだけど、そうじゃないって言われたらそうじゃないし。クラブでかかっててもまったく違和感ないと思うんですよね。いろんな要素が混ざってて、これから意外な曲を作っていってくれそうだなって思わせてくれる。「クライマクス」と「フリー」の両方を聴いたら、誰もが「これ同じバンド?」って思うだろうし。

それとkuroさんの声も、曲によって変わっていくのがめちゃくちゃいいですね。エフェクトがかかったサウンドにすごく合う。サウンド全体の印象としてはめちゃくちゃ新しくなってUAが帰ってきたみたいな。UAさんが持っていた哀愁のある感じを持ちつつ、いろんな音に挑戦してる気がしたんですね。

──お気に入りの曲と、その聴きどころ / 魅力を教えてください。

「デイドリーアンドマリー」と「フリー」。

最近流行ってる曲って、四つ打ちで速くて踊らせるタイプが多いと思うんです。短い中にいろんな要素を詰め込んで、テンポよくみせていくっていうのがあると思うんですけど、この2曲はリズムがどっしりしていて。何よりも今のミュージシャンがあまり表現しない哀愁感を持ち合わせてると思うんですよね。わびさびが音楽に表れてる。中でも「フリー」はおじさん世代が喜びそうな曲だなと。

──現在の音楽シーンの中で、今後TAMTAMはどんな存在になっていくと思いますか?

今の世代のアーティストって、いい意味で壁がないと思し、意外なことも平気でできちゃう。でも逆に個性が出しにくい部分もあると思うんです。でもTAMTAMの場合はダブが根底にあって、そこに新しい要素が乗っかってる。古いものをただやってるだけではないし、メロディがどこか歌謡曲のようで懐かしいのもいいですね。

だからこのまま突っ走ってほしいですね。スタイルを崩さず、でも新しいものを取り入れて。これとこれを混ぜる?みたいな実験を迷わずできそうな気がするんで。キューバっぽい感じとクラブっぽい感じを混ぜたら面白いだろうし。変に固まらずいいものを作っていってほしいです。あとTAMTAMをきっかけにダブが広く知られるようになったら面白いですよね。

──メンバーにメッセージをお願いいたします。

ぜひ一度ライブにお邪魔したいです。

芦沢ムネトが描き下ろした“フテネコ”TAMTAM。
芦沢ムネト
芦沢ムネト(アシザワムネト)

1979年生まれ、東京都出身。コントグループ・パップコーンのツッコミ、俳優、ラジオパーソナリティなどの顔を持つ。現在TOKYO FM「RADIO DRAGON next」でレギュラーパーソナリティを担当。シュールだが味わいのあるネコ「フテネコ」の作者としても人気を博し、イラスト集やDVDも発表している。

Contents | TOP
#1 スピードスターレコード レーベル長 小野朗インタビュー
#2 TAMTAM kuro & junet kobayashiインタビュー
#3 ラジオDJが語るTAMTAMの魅力
メジャーデビューミニアルバム「For Bored Dancers」 / 2014年4月23日発売 / 1620円 / SPEEDSTAR RECORDS / VICL-64103
メジャーデビューミニアルバム「For Bored Dancers」
収録曲
  1. クライマクス
  2. デイドリーアンドマリー
  3. シューゲイズ
  4. フリー
  5. バイマイフューチャー
  6. トゥナイト
タワーレコード限定シングル「クライマクス & REMIXES」 / 2014年3月5日発売 / 324円 / NCS-10065
タワーレコード限定シングル「クライマクス & REMIXES」
収録曲
  1. クライマクス
  2. クライマクス 池永正二(あらかじめ決められた恋人たちへ)REMIX
  3. クライマクス junet kobayashi REMIX
TAMTAM(タムタム)

kuro(Vo, Tp)、yuthke suzuki(G)、tomomi kawamura(Key)、junet kobayashi(B)、affee takahashi(Dr)の5人からなるダブバンド。2008年12月に結成され、2011年11月に自主制作盤「Come Dung Basie」をリリースする。2012年5月にはHAKASE-SUN(LITTLE TEMPO)をプロデューサーに迎えた初の全国流通作品「meteorite」を発表し、高い評価を得る。2013年12月には音楽雑誌「ミュージックマガジン」の特集「ベストアルバム2013」日本のレゲエ部門で1位を獲得。ライブではダブPAの石本聡を帯同し、リアルタイムのディレイ、リバーブ処理を施した独特のパフォーマンスを展開している。2014年4月にスピードスターレコーズよりメジャーデビュー。

TAMTAM with 6Visualists


2014年4月25日更新