SUPER★DRAGON「New Rise」インタビュー|9年目のメジャーデビューで新たな世界へ (3/3)

決意みたいなものはおのずと声に現れていた

──ボーカルメンバーは、この曲をどのように受け止めてレコーディングに臨みましたか?

池田 9年の活動を経てのメジャーデビューということで、この曲が自分たちにとって本当に大切な1曲になることは確信していましたし、決意みたいなものはおのずと声に現れていたと思います。僕はこの曲の歌い出しを担当しているんですけど、「New Rise」は僕たちが次のステージに進むにふさわしい楽曲だと思っているので、そういう思いを念頭に置きながら……これまで培ってきたもの、自分の経験を歌にぶつけて、1つの色として作品を彩ることができればという思いがありました。

古川 あとはこの曲、単純にめちゃくちゃ難しくて。メロディラインもそうですし、地声とファルセットの切り替えもテクニックが必要で、精密なコントロールが求められるんです。フレーズの1つひとつを細かく捉えて歌わないといけないので、かなりシビアに、ストイックに歌と向き合いました。もちろんテクニックだけじゃなくて気持ちもしっかりと乗せたかったので、とにかく何回も何回もテイクを重ねて。「このテイクが一番エモーショナルで、言葉が聞こえるな、伝わるな」というテイクをピックしていきましたね。

田中 この楽曲を9人でメジャーデビュー曲に決めた段階から強い思い入れがありますし、歌詞の内容的に「BLUEとともに歩んでいこう」といった意味合いもあるので、レコーディングはだいぶ気合いが入りました。やっぱり、この曲に懸ける思いは大きかったです。あとは、「ライズ(Rise)」が「ライス(Rice)」って聞こえないように気を付けました。

志村 それワシやないかい。

古川 あはははは!

左から池田彪馬、古川毅、飯島颯。

左から池田彪馬、古川毅、飯島颯。

田中 今回、ダンサーもフックの部分に歌で参加しているんですよ。

志村 レコーディング前にジャンから「ライズがライスに聞こえるので、しっかり発音してください」と連絡をもらっていたので、気を付けたつもりだったんですけど……プレイバックを聴いたらしっかり「ライス」って言ってました。

一同 あはははは!

古川 お前、「プレイバック」ってカッコよく言いたいだけだろ(笑)。でも「ライズ」の発音は玲於に限らずみんな苦戦したんです。そこを、レコーディング全部に立ち会ってくれたジャンがしっかり修正してくれたので。

──「New Rice」だとすごくおいしそうな曲になりますね(笑)。

ジャン 新米ですから!

飯島 メジャーデビューのタイミングで“新米”は、ちょっと縁起よさそう(笑)。

古川 それに俺たち“白米チョイス”(スパドラ初のオリジナル曲である「HACK MY CHOICE」)から始まってるので、ある意味筋は通ってる。

一同 あはははは!

“推しを見失っちゃう”激しさ

──では、「New Rise」のダンスパフォーマンスについても聞かせてもらえますか?

志村 今回の振付は「Revolution」(2023年3月リリース「mirror」収録)のコレオを付けていただいたAkanenさんにお願いしました。コレオグラファーを決めるときって、まずボーカルチームにジャブを打って反応を伺うんですけど、今回「Akanenさんにお願いしようと思ってるんだけど」とみんなに伝えたら「絶対それがいい」といったような反応をくれたので、なんの迷いもなく依頼しました。Akanenさんに振付をお願いするのは3回目で僕らのことをよく知ってくれている方なので、細かいオーダーは出していなくて。1つだけ、この曲はカチッとしたコレオで踊る曲ではないよなと思っていたので、ヒップホップ感ゴリゴリで。どちらかと言うとダンサーが踊るような雰囲気のものにしてくださいというオーダーで付けていただきました。

古川 ストリートっぽい感じね。

──2番冒頭のジャンさん和哉さんのラップの応酬でファイヤードラゴンとサンダードラゴンに分かれて対峙するような構成が印象的だと思ったのですが、そこもメンバーからのオーダーではなく?

志村 僕らからのリクエストではないんです。Akanenさんは、そういう具体的なオーダーを出さなくてもこちらの意図を汲み取ってくれるんですよ。

伊藤 僕、諸事情で最初の振り入れに参加できなかったんですけど、直後にメンバーから「振付ヤバい」という話を聞いて。そのあとに送られてきた映像を観たら本当にすごくて、「早く踊りたいな」と思って次の振り入れを待っていた記憶があります。

左から伊藤壮吾、田中洸希、志村玲於。

左から伊藤壮吾、田中洸希、志村玲於。

柴崎 とにかく今回の振付はすごく激しくて、細かい移動がとにかく多いのがポイントだよね。気付いたら推しを見失っちゃうと思うので、BLUEにはしっかり覚えておいてほしいです(笑)。ただ、その分見応えもすごくある。この曲で“Riseする”というか……一緒に上がっていけるような構成になっていると思います。視野を広く保って、曲と一緒に振りを感じてもらえたらうれしいです。

伊藤 僕的に特に見てほしいのは、やっぱりサビの勢いですね。すでにリリースイベントで披露しているんですけど、皆さんの反応もいい感じです。あとはミュージックビデオもすごい。早く観てほしくて、公開が楽しみです(取材は2月中旬に実施)。

古川 MV、ド派手だよね。

伊藤 今までで一番派手だと思います。

古川 「おおっ!」と驚くはずなので、こちらも楽しみにしていてください。

スパドラのことがずっと好きで、これからも好きでいられるっていう事実

──「New Rise」のサビの冒頭を飾るのは「Rise with "9"」というフレーズ。「9」という数字が、9人で9年間を歩んできたスパドラにとって、大切なアイデンティティになっていることが伝わります。2015年の結成から形を変えることなく進んできた9人の関係性はいったいどんなものなのか、ここで教えていただけますか?

ジャン みんなは最高の友達っすね……。

松村 俺はジャンくんのこと、友達とは思ってないよ。

ジャン え?

志村 終わりだよ、もう!(笑)

一同 あはははは!

ジャン 失礼しました。で、マジレスすると……。

松村 それ、取材で使う言葉か?(笑)

飯島 インタビューには全部マジレスしてくれよ。

一同 あはははは!

ジャン (笑)。いや、スパドラのメンバーって、けっこう年齢差があるじゃないですか。だけど、例えばミーティングのときなんか、年上組も年下組も関係なく同じようにスパドラのことを見つめて、平等に意見を言うことができるんですよ。しかも意見にバラつきがない。なんというか、みんなスパドラのことを年々好きになっているんだなと感じられるんですよね。

飯島 そうだね。

ジャン 好きなものが同じでそれぞれが探求心を持っている、それだけで自然とつながる感覚があるというか。このつながりを嫌いになることが一番怖いことだと思うんですけど、僕ら9人はスパドラのことがずっと好きで、これからも好きでいられるっていう事実が、大きなポイントなのかなと思います。

左から柴崎楽、ジャン海渡、松村和哉。

左から柴崎楽、ジャン海渡、松村和哉。

池田 9年間って、小中学校の期間をずっと同じメンバーで一緒に過ごしてきたのと同等なわけで、そう考えるとすごいですよね。実際僕は小学生から活動していますし、結成当時は最年長の玲於くんも高校生。全員が学生だった頃に活動がスタートしましたけど、その中で僕たち年下メンバーは年上メンバーからいろんなことを学んで……。年齢の幅が広いからこそ、お互いが切磋琢磨して、いろんなことを共有しあえたのかなと思います。あとは単純に、年上チームがいい人です。

──最年長の玲於さんは、9人のつながりをどう見ていますか?

志村 自分からしたら、みんな兄弟みたいなものですよ。弟たちです。

一同 んー……。

志村 おい、首をかしげるな!(笑) 俺からしたらみんな兄弟みたいだよってことだから。

古川 ああ、そういうことね?

志村 みんながみんな違う方向にクリエイティブですし、自分ができないことができるメンバーばかりなので、それぞれからすごく学ぶことがあるんですよね。人間関係もここで培われるし、本当に家族って感じです。一番身近な場所でいろんな成長を見られる。

田中 「家族って感じです」と言ったときのドヤ顔、すごかったよ(笑)。

一同 あはははは!

──では最後に、メジャーデビューを機にスパドラが目指していくもの、今後のビジョンについて教えてください。

古川 何より一番に、楽しくやっていくためにシビアでありたいなと思います。やるべきことを1つひとつ、みんなでしっかりクリアしていくことによって、見えなかった景色も見えてくると思うし。僕らがやりたいことはスパドラらしさの追求だと思いますし、そうやって追求したものをポップスに乗せて、ほかのアーティストには歌えない曲をちゃんと自分たちの視点で届けて、その先で誰かの“ポップスター”になれたらいいのかなと思います。

SUPER★DRAGON

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プロフィール

SUPER★DRAGON(スーパードラゴン)

志村玲於、古川毅、ジャン海渡、飯島颯、伊藤壮吾、田中洸希、池田彪馬、松村和哉、柴崎楽の9人からなるミクスチャーユニット。2015年9月に結成され、2016年11月にテレビ東京系アニメ「遊☆戯☆王ARC-V」のオープニングテーマを表題曲とするシングル「Pendulum Beat!」でCDデビューする。2017年1月に1stアルバム「1st Impact」を発表。4月には初の東名阪ツアー「NUMBER 9 TOUR」を成功させ、6月にTBS系アニメ「トミカハイパーレスキュー ドライブヘッド 機動救急警察」のオープニングテーマを表題曲とする2ndシングル「ワチャ-ガチャ!」をリリースした。2018年3月からは約1万人を動員する全国5都市のホールツアーを行い成功に収める。2019年には2月に2ndアルバム「2nd Emotion」を、8月に3rdアルバム「3rd Identity」をリリースし、12月には初のユニット別ミニアルバム「TRIANGLE -FIRE DRAGON-」「TRIANGLE -THUNDER DRAGON-」を発表した。2022年3月に4thアルバム「Force to Forth」を発売し、5月から12月まで、毎月新曲を配信する企画を実施する。2023年3月には5thアルバム「mirror」を発表し、神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールでのワンマンライブを成功させた。9月に結成8周年を記念した作品「INFINITY TAPE」をリリース。12月22日には、東京・豊洲PITにて「SUPER★DRAGON 9th Anniversary Special Event " 999"」を開催し、ポニーキャニオンからのメジャーデビューを発表する。2024年3月にメジャーデビューシングル「New Rise」をリリース。