古川毅 インタビュー
エンタテインメントの魅力に再度気付かされた
──忙しく過ごされた夏でしたが、今夏の活動の中で特に印象に残っているのは?
ひさびさにこういう夏が戻ってきたな!という感覚でどれも楽しかったんですけど、やっぱり「エビライ」が大きかったですね。あの場でいろんなものを得られたなという感じで、開催前と後で自分の中の感覚が違いました。DISH//さん、超特急さん、先輩たちの背中の大きさを間近で見せていただいたことは、自分たちにとってデカかったなあと思います。
──毅さんが感じた“感覚の違い”、具体的に言うと?
そうですね……物事って変化してゆくんだなと感じたというか。端っこのほうで踊っていた研究生時代から、今はありがたいことに最前列で歌えるようになり、後輩たちも増え……みたいな。3年前の前回との変化、成長みたいなものも感じましたしね。あとはみんなで1つのものを作り上げる、エンタテインメントの魅力に再度気付かされたような感覚がありますね。自分たちのやるべきことが、より明確になったかなと思います。
──毅さんが「エビライ」後に書かれていたブログにも、熱い思いがつづられていましたね。そのブログを読ませてもらって、そうだ、毅さんがグループ活動を志す最初の動機となった部分には、DISH//の(矢部)昌暉さんからもらった「グループ活動は楽しいよ」という言葉が大いに関係しているんだよな、と思い返したりもして。
あはは、そうなんですよね。ただ、あとから話を聞くと、僕が「武者修行」(グループ結成前、毅がソロで行っていたボーカル修行)をしていた段階でグループ(SUPER★DRAGON)を作る動きはあったみたいなんです。でも、当時の僕はもちろんそんなことは知らず、活動できることのありがたさと未来への少しの不安が交錯していた記憶があるので。そこで昌暉くんが、先輩としての思いを……楽しんでグループ活動をしている背中を見せてくれたのは、自分の中ですごく大きかったんですよね。そういう懐かしい記憶がよみがえるような「エビライ」でもありましたね。
一旦全部ポジティブにやってみるっていうことが大事なんだ
──9月配信の新曲「Indelible Magic」は、8月の「So Woo」とはがらりと雰囲気の変わったスタイリッシュな楽曲ですね。
そうですね。ラブソングなんですけどダンスミュージックの側面もあり、どこか懐かしい空気感もあって。自分たちの中では、この曲は“マイケル・ジャクソンの系譜を受け継いだジャスティン・ティンバーレイク”的な曲、という共通認識を持っているんですけど、コレオグラファーの方も曲を聴いた段階で同じ印象を持ってくれて、解釈一致できた感があるんですよ。全体的なイメージがしっかりと固まったから、僕も衣装のイメージをそういったテーマに結び付けることができたし、どんどんこの曲を紐解いていけた感覚がありましたね。
──皆さんのボーカルも、情感豊かで聴き応えがあります。
今、こうして毎月連続リリースを行っていく中で、例えばみんなが苦手だったかもしれない表現やグルーヴ感にあえて挑戦してみることによって、僕含め、自分たちの歌が背伸びじゃなくなってきている感じが出てきたかなと思うんです。そうやってボーカル1つ取っても変化を感じられますし、和哉とジャンのリリックやラップへの向き合い方もそうですし、1つひとつにしっかり向き合って、消化できているのかなって。そういう実感を作品の中に残せているのも幸せだなと思います。
──毎月毎月いろんなジャンルの楽曲にチャレンジされる中で、自分たちの表現にフィットするものを探しているような感覚もあるのでしょうか。
そうですね。「やってみないとわかんない」って、ホントにそうだよなと。自分たちを生かしてくれるものとそこまでじゃないもの、やっぱりどちらもありますから、一旦全部ポジティブにやってみるっていうことが大事なんだなと感じてます。おっしゃるように、今回のリリース企画は新たな挑戦を今後の自分たちの音楽作りにつなげていけるものだと思うので、いい期間になっていますよ。僕らは自分たちのクリエイティブに関してすごくこだわりを持っているけど、「やりたい」と思っていること以外に「あ、これ意外とやるべきことだったな」っていう、そういうものが見つかるような時間だなとも思うし。そういう僕らのチャレンジの過程を、BLUEのみんなも一緒に楽しんでくれたらうれしいですね。
変態だなと自分でも思いました。「どんだけ好きやねん」って
──今回の衣装は毅さんが担当されたということなので、スタイリングのポイントを教えてもらえますか?
「秋」というテーマがまずありつつ、先ほど言ったようなジャスティン・ティンバーレイク的スタイルの空気感はまといたいなと思ったんです。MVではみんなハットを被ってレザーグローブを着けているんですけど、今までやったことがなかったそういうスタイルも、今ならば背伸びにならないかなと思えたので、1つ観てくれる人の引っかかりになる要素としてアリかなと。ジャケットスタイルとフォーマル感、秋のムードとハット、グローブを9人共通のスタイルとしてまず固めて、あとは各々の個性だったり色気をしっかり引き出せるスタイリングになるよう、スタイリストさんと相談して組んでいきました。
──9人それぞれの着こなしが素敵でしたが、毅さんがあえて1人だけ、こだわりポイントをアピールするなら誰のスタイルになりますか?
みんなカッコいいからめちゃくちゃ達成感あるんですけどね……それを大前提として1人挙げるとするなら、洸希が大きめのハットを斜めに被ってるんですよ。それは自分の中で1つ、意味を込めたポイントなんです。
──というと?
去年の4月に僕ら沢田研二さんの「ダーリング」のカバーを配信リリースしたじゃないですか。このカバー、洸希がメインを張ってる曲なんですよ。ジュリーと言えば、ハットの斜め被り。「ダーリング」しかり、コロナ禍でのいろんな挑戦を経て、今回一段と成長した僕らの姿を見せられると思うんですけど、その中で洸希の色気はどうやって引き出そうかな?と考えたとき、濃い顔立ちの洸希だったらそういうアレンジを加えたときによさが出そうだなと思ったので試してみたら、すごくいい感じで。そこは自分の中でこだわりですね。ハットを被っているときと被っていないときの印象の違いも楽しいので、そんなところにも注目してもらえたらと思います。
──ありがとうございます。ちなみに毅さん、療養中はメンバーとはやりとりを?
もちろんしていましたよ! 今後のグループの動きについての話し合いとかをしていましたね。これからのことをじっくり考えて、資料をまとめたりみたいな作業もできたんで、病院のベッドの上の時間は意外と有意義に使えました(笑)。
──仕事熱心すぎますね(笑)。
ホント変態だなと自分でも思いました。「どんだけ好きやねん」って(笑)。ずっとそういうことを考えてるんですよ。ということで、僕らみんなで楽しいことをいろいろ考えているので、今後の動きも楽しみにしていてくれたらなと思います!
プロフィール
SUPER★DRAGON(スーパードラゴン)
志村玲於、古川毅、ジャン海渡、飯島颯、伊藤壮吾、田中洸希、池田彪馬、松村和哉、柴崎楽の9人からなるミクスチャーユニット。2015年9月に結成され、2016年11月にテレビ東京系アニメ「遊☆戯☆王ARC-V」のオープニングテーマを表題曲とするシングル「Pendulum Beat!」でCDデビューする。2017年1月に1stアルバム「1st Impact」を発表。4月には初の東名阪ツアー「NUMBER 9 TOUR」を成功させ、6月にTBS系アニメ「トミカハイパーレスキュー ドライブヘッド 機動救急警察」のオープニングテーマを表題曲とする2ndシングル「ワチャ-ガチャ!」をリリースした。2018年3月からは約1万人を動員する全国5都市のホールツアーを行い成功に収める。2019年には2月に2ndアルバム「2nd Emotion」を、8月に3rdアルバム「3rd Identity」をリリースし、9月には東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)でワンマンライブを実施。12月には初のユニット別ミニアルバム「TRIANGLE -FIRE DRAGON-」「TRIANGLE -THUNDER DRAGON-」を発表した。2020年12月にミニアルバム「Burn It Black e.p.」をリリース。2022年3月に4thアルバム「Force to Forth」を発売した。5月からは、毎月新曲を配信リリースする企画を実施中。9月には「Indelible Magic」をリリースした。