新たな風を吹き込んだ「On My Way」
──収録曲について、それぞれのお気に入りを聞いていってもいいですか?
颯 僕は「On My Way」です。自分が歌っているところが特に好き……と言いたいところだけど(笑)、個人的にはこの曲のジャンラップがカッコいいなと。聴いたとき、純粋に「すげえ」と思いました。
ジャン 僕は「Gong」ですね。この曲は、僕の知り合いの作曲チームをディレクターに推薦して完成した曲なんです。曲調的に、スパドラの作品にこの楽曲が入るのは違和感のない流れだと思うんですけど、今回のファイヤーのミニアルバムで考えると、異色と言える存在感なんですよね。だから自分のラップのやり方もこの曲は違って。ほかの収録曲では日本語の発音を意識してリリックが耳に入るようにという意識で歌ったんですけど、「Gong」に関しては唯一発音を崩すというか。リズムもキレイに取らず、くっきりと感じられないようにしながら刻みました。だから、そんな違いに注目してほしいなと思います。
毅 作品通して聴いて「好きだな」となったのは「Drive Me Crazy」だったんですけど、ライブでやってみて楽しいというか、やりがいをすごく感じたのは「On My Way」です。ライブのテーマもファンクだったんですけど、1曲目にやるこの曲がライブのムードやファイヤーの色を象徴してくれているので、新しい風を吹き込んでくれたという意味でも気に入っています。今までとは違った勢いがあって、グルーヴィでカッコいい曲なので、歌っていても楽しいんです。
玲於 僕は「Let's Get Down」です。理由は単純に、自分が振付を担当したからということもあるんですけど……(笑)。ディスコの世界観を表現する曲なので、みんなで踊れたらいいなと思って少し単純な動きにしたりとか。1980~1990年代のディスコで流行っていた振りとかも入れて、ライブのテーマにも寄せた感じになっています。これまでのファイヤーの曲って、“魅せる曲”が多くて。1つの作品として見てもらう感じなんですよね。その一方で、ファンのみんなと一体になれるような曲も必要だと思っていたから、そういう意味でこの「Let's Get Down」は一番いい締めくくりができる曲だと思います。ファンを置いていかず、1つの作品としてもしっかり見せるっていう。
──毅さんの挙げていた「Drive Me Crazy」は毅さんとジャンさんのツインボーカル曲ですが、ジャンさんがどこか中性的な歌声で歌われているのがすごく新鮮でした。
ジャン 僕自身、メロラップというか、どちらかと言うとラップの延長線上のような意識で歌ったので、歌を歌うという意識はそれほどなかったんです。だから特別変わった感覚はなかったんですけど、ほかの曲でゴリゴリのラップを担当することが多かったので、それとは違う声質で。息多めで歌わせてもらった感じですね。
毅 バラードまではいかないけれど切ない感じがあったし、自分的には1つひとつ言葉を大切に歌おうと思っていました。ほかの曲がダンサブルだったり、けっこうバキっとしてるダンスチューンなので、ここが落ち着かせどころというか。なので、イメージとして柔らかく歌おうというのは意識しましたね。
ごまかしは効かない
──ライブでのパフォーマンスを含め、皆さんが自覚しているファイヤードラゴンらしさって、どういったところなんでしょう。
毅 サンダーよりも年上だというのは、多少なりとも意識する部分があって。ちゃんとしたクオリティのものを、高い水準で確実に皆さんに届けなきゃいけないという意識は持っています。「ごまかしは効かないな」というのは、ファイヤーでパフォーマンスをしていて思うことですね。演出やステージングは華やかにしているけれど、丸裸な感覚があるというか、どこから見られても平気なようにしないといけない。今回こうやって新しい作品をやってみて「こういう方向性もアリだな」と思ったんですよ。突き詰めていけば、新しい何かが見つかるかもしれないし。自分たちの色の大枠みたいな部分はなんとなくわかったので……そこからどう磨いていくのかは、今後の自分たちの努力になるかなと思います。磨いていく過程で、自分たちのやりたいことや色が鮮明になっていくんじゃないかなと思いますね。
──では、皆さんから見たサンダードラゴンは、どういった5人組に映っているのでしょうか。
颯 ツアー中にライブを見学していると、バンドが付いているのもあって、めちゃくちゃ熱が伝わってくるのを感じるんです。なんというか、サンダーの全員が全力を超えた、その上のレベルにいるような感じがして。とにかく一生懸命さみたいなものが……僕はあまり年齢変わらないけど(笑)、やっぱり若さや勢いがサンダーのよさだなと改めて現場で感じましたね。
ジャン 僕も颯が言ったようなことをすごく感じますね。個人的には和哉の“飛び具合”が好きで。なんか、目も知らない方向に向いてるし……。
玲於 知らない方向って。言い方!(笑)
ジャン 上下左右のその先と言いますか……。
一同 あはははは!(笑)
ジャン 序盤から頭もめちゃくちゃ振ってますしね。何より楽しそうなんですよ、本人たちが。終わったあともみんなで「楽しかったー」と言い合ってるので、何よりだなと思ってます(笑)。
玲於 あとは、手を抜かないヤツばっかりなんだよね。ぶっ倒れるまでライブを楽しみ尽くそうっていう思いでやってる。根性もありますし。とにかく内容をとことんよくしようという思いがあるから、MCの内容についてもめちゃくちゃ話し合ってますよ。どう見えたらカッコいいとか自分はどういうふうにやりたいからこうしようとか……みんな、あの年齢でいろんなことを考えてクリエイティブにやっているから、そういった一面を見るとマジですごいなと思いますね。
毅 それこそ今回、サンダーだけバンドさん付いてましたけど、俺らだってバンドと一緒にやりたい……。
一同 あはははは!(笑)
玲於 そうだよ!
毅 見てると、単純に俺らも生音でやりたいなと思いますよね(笑)。ファイヤーでは今回ディスコミュージックに挑戦しましたけど、ネオソウルなんかがリバイバルしているムードもあったりしますし、そうやってスパドラではできないジャンルを取り入れつつのポップスみたいなものをやっていきたいですよね。少人数精鋭だからこそ見せられる曲もあると思うので。引き続き面白いことができたらいいなと思います。
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サンダードラゴン インタビュー