スキマスイッチ|3年間のインプットを経て完成した原点回帰のポップアルバム

「さよならエスケープ」から導かれた“原点回帰”というテーマ

──アルバムの制作に入る前に“原点回帰”というテーマを掲げたそうですが、これはもちろんメンバーの2人から出てきたものなんですよね?

常田 そうですね。「さよならエスケープ」(2017年9月発売のシングル「ミスターカイト / リチェルカ」収録)を作ったときに「昔っぽいな」と思ったんです。「初期の感じでやってみようぜ」って話していたわけではないんですけど。

大橋 うん。

スキマスイッチ

常田 「さよならエスケープ」を作っていたのは、ちょうど「re:Action」の制作をやっていた時期で。先輩アーティストとの制作現場を体験して、いろいろな刺激を受けたことで、自然と「怖がらずにやりたいことをやってみよう」という気持ちになっていたのかもしれないです。たまたまディレクターがいなくて、卓弥と2人だけで作っていたんですけど、その雰囲気も初期の頃に似ていて。あとは「ミスターカイト」ができたことも大きかったと思います。卓弥のアイデアをもとにデモ音源を作ったんですけど、今までにないパターンの曲に仕上がって。楽曲の制作に関して「新しいことをやりたい」と言う気持ちが強くなっていた時期だったし、「ミスターカイト」はまさにそういう曲になったなと。

大橋 Aメロとサビが全然違うからね。サビのパートって耳にする機会が多いと思うんですよ。どこかでサビを聴いて、「これ、いいな」と思って楽曲を探すことは僕も経験したことがあるけど、全体を聴いてみたら「Aメロとサビ、全然違うじゃん」っていう。そういうギミックをスキマスイッチの作品としてやってみたかったんです。あと僕のルーツの中にあるフォークっぽい感じを入れたかったんですよね。シンタくんのアイデアも加えながら、フォークをポップスにしていくと言うか。

常田 「こういうのって面白くない?」と意見を出し合いながら曲を作ることも初期っぽい感じがありましたね。そのあたりから原点回帰というテーマが出てきたんだと思います。

スキマスイッチは全部ストレートというわけにはいかない

──初期のような曲を作るのではなくて、当時のアプローチで制作してみるということですか?

常田 そうですね。制作のアプローチだったり、もっと言えば精神論みたいなことかもしれないけど。

大橋 3rdアルバム「夕風ブレンド」まではあまり何も考えてなかったと言うか、本当に好きなように作ったものが自然とポップスになってたんですよね。

常田 どうすればポップスになるか、どうしたらたくさんの人に聴いてもらえるかなんて、考えてもわからなかったからね(笑)。

大橋卓弥(Vo, G)

大橋 そうそう。特に「全力少年」や「奏(かなで)」は皆さんに受け入れてもらえたけど、狙ってそうなったわけではなくて。僕らが好きなものと、みんなが好きなものがたまたま似ていたんだと思うんです。その後、いろいろな経験を重ねて身に付けたテクニックもたくさんあって。いつの間にか難解になっていたと言うか、自分たちがやりたいことをやるだけではなくて、ポップスの要素を意識して加えないと届きづらくなってたんですよね。その比率を初期の頃に戻したいという気持ちもありました、今回は。いまだに「スキマスイッチは『全力少年』と『奏(かなで)』だよね」と言われるのはどうしてなのか、改めて考えてみたかったし。

──答えは見つかりました?

大橋 見つかってないですね(笑)。

常田 ふふふ(笑)。

大橋 答えはないですけど、1つ思うのは、自分たちのあまのじゃくの程度が関係しているんだろうなって。「このアレンジはほかの人もやってるから使わない」とか「100万回も使われてるような言葉は歌わない」みたいなことがたくさんあったんですけど、「やりたいんだったら、素直にやろうよ」と。例えば「“愛してる”って歌いたいんだけど、ほかに何かいい言葉はないかな」と考えるのではなくて、「歌いたいんだったら、“愛してる”って歌おう」っていう。そういうさじ加減が大事なんだと思います。

常田 やりすぎると回りくどくなるからね。

大橋 普段の会話も同じで、変化球を投げすぎたり、オブラートに包みすぎると「何が言いたいかわからない」ってなるじゃないですか。ストレートに言ったほうがいいときは、そうしようってことですね。

──ただアレンジにしてもサウンドメイクにしても、あまりにもシンプルなものはやれないのでは?

スキマスイッチ

大橋 そこなんですよね(笑)。全部ストレートというわけにはいかないので。

常田 僕らの人間性がストレートじゃないからね(笑)。例えばお笑いの話をしていても、卓弥はベタなものは好きじゃなかったり。

大橋 でも高度なテクニックを持っている芸人さんがあえてわかりやすいことをやるのはカッコよかったりするじゃないですか。僕らもアルバム「スキマスイッチ」までにかなり高度なことをやってきたつもりだし、このタイミングでストレートなことをやっても大丈夫じゃないかなって(笑)。

──音楽性が高くなっても、わかりやすいポップスとして伝わらなくなるのはよくないですからね。

常田 そうですね。これも「re:Action」のときに感じたことなんですけど、プロデューサーとして参加してくれた方々は当然すごく音楽性が高いんです。でも制作中はそんなことまったく意識していないので。

大橋 僕らがそのレベルまでたどり着けてるかはわからないですけど、ベタなことをやってもOKという意識は今回のアルバムを制作するために必要だったんですよね。まあそれも僕らが勝手に考えているだけで、お客さんにとってはどうでもいいことかもしれないけど(笑)。

常田 まあね(笑)。でも僕らのマインドは至ってシンプルだったんですよ。制作の途中で方向転換することもなかったし、やりたいことをそのままやれたので。前作までだったら、もっといろんな要素を組み込んでいただろうし。

スキマスイッチ「新空間アルゴリズム」
2018年3月14日発売 / AUGUSTA RECORDS
スキマスイッチ「新空間アルゴリズム」初回限定盤

初回限定盤 [SHM-CD+DVD]
3996円 / UMCA-19056

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スキマスイッチ「新空間アルゴリズム」通常盤

通常盤 [CD]
3186円 / UMCA-10056

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CD収録曲
  1. リチェルカ
  2. LINE(shinku-kanmix)
  3. パーリー!パーリー!
  4. ミスランドリー
  5. Revival
  6. 未来花ミライカ
  7. ミスターカイト(shinku-kanmix)
  8. Baby good sleep
  9. さよならエスケープ
  10. リアライズ
初回限定盤DVD収録内容
  • 「LINE」Video Clip
  • 「ミスターカイト」Video Clip
  • 「この闇を照らす光のむこうに-スキマスイッチver.-」(2017.12.28 COUNTDOWN JAPAN 17/18@幕張メッセ国際展示場)
  • 「新空間アルゴリズム」Special Interview
SUKIMASWITCH TOUR 2018 "ALGOrhythm"
  • 2018年4月11日(水)神奈川県 カルッツかわさき(川崎市スポーツ・文化総合センター)
  • 2018年4月14日(土)宮城県 仙台サンプラザホール
  • 2018年4月18日(水)大阪府 フェスティバルホール
  • 2018年4月19日(木)大阪府 フェスティバルホール
  • 2018年4月27日(金)香川県 サンポートホール高松
  • 2018年4月28日(土)高知県 県民文化ホール オレンジホール
  • 2018年5月3日(木・祝)岡山県 倉敷市民会館
  • 2018年5月4日(金・祝)鳥取県 米子コンベンションセンター
  • 2018年5月6日(日)広島県 広島文化学園HBGホール
  • 2018年5月9日(水)福岡県 福岡サンパレスホテル&ホール
  • 2018年5月12日(土)新潟県 新潟テルサ
  • 2018年5月13日(日)石川県 本多の森ホール
  • 2018年5月19日(土)栃木県 宇都宮市文化会館
  • 2018年5月20日(日)群馬県 ベイシア文化ホール
  • 2018年5月29日(火)青森県 八戸市公会堂
  • 2018年5月30日(水)山形県 やまぎんホール(山形県県民会館)
  • 2018年6月1日(金)福島県 會津風雅堂
  • 2018年6月6日(水)東京都 NHKホール
  • 2018年6月10日(日)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
  • 2018年6月11日(月)大阪府 オリックス劇場
  • 2018年6月18日(月)京都府 ロームシアター京都
  • 2018年6月19日(火)兵庫県 神戸国際会館
  • 2018年6月29日(金)北海道 北見市民会館 大ホール
  • 2018年7月1日(日)北海道 ニトリ文化ホール
  • 2018年7月3日(火)北海道 七飯町文化センター
  • 2018年7月9日(月)愛知県 刈谷市総合文化センター
  • 2018年7月12日(木)埼玉県 大宮ソニックシティ 大ホール
  • 2018年7月19日(木)東京都 中野サンプラザホール
  • 2018年7月20日(金)東京都 中野サンプラザホール
  • 2018年7月26日(木)静岡県 アクトシティ浜松 大ホール
  • 2018年7月27日(金)三重県 亀山市文化会館 大ホール
  • 2018年8月8日(水)熊本県 市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)
  • 2018年8月9日(木)鹿児島県 宝山ホール(鹿児島県文化センター)
  • 2018年8月12日(日)沖縄県 沖縄コンベンションセンター
スキマスイッチ
スキマスイッチ
大橋卓弥(Vo, G)、常田真太郎(Piano, Cho)のソングライター2人からなるユニット。2003年7月に「view」でデビューして以降、「奏(かなで)」「全力少年」などヒット曲を次々と生み出す。2013年7月にはデビュー10周年を迎え、同年8月には初のオールタイムベストアルバム「POPMAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~」を発表。2017年2月には彼らが敬愛する12組のアーティストをプロデューサーに迎え制作された、過去に発表した楽曲をリアレンジしたアルバム「re:Action」をリリースし、同企画に参加したアーティストとの対バンツアーも行った。9月には25枚目のシングル「ミスターカイト / リチェルカ」を発売。デビュー15周年を迎える2018年3月に7thアルバム「新空間アルゴリズム」をリリースし、4月から、全国ツアー「SUKIMASWITCH TOUR 2018 "ALGOrhythm"」で全国27カ所34公演を行う。