ナタリー PowerPush - SPYAIR

音数を減らして新境地を追求 2ndアルバム「Just Do It」

MOMIKENの“モテたい感”が表れているサウンド

──KENTAさんはどんな部分に前作と今作の違いを感じていますか?

KENTA(Dr)

KENTA さっきIKEやUZが言ったように、音数が減っているというのがやっぱり一番大きな違いかな。個々の音をさらに厚くしていかないといけないし、僕が叩いているからには、音に“KENTA”っていうのが入ってなきゃいけないと思いましたし。技術だけじゃなくて、人間としての大きさ、勢い、感情の表現力も音に出てきますから、もっともっと自分自身と向き合わないといけないなって。結果的に、自分の葛藤も含めてパッケージできましたし、人間味を感じてもらえる音になったと思います。

──リズム隊で何か話し合ったこととかは。

MOMIKEN うーん、特にないよね?

KENTA うん。スタジオに入ったときに「このフレーズはこんなふうにしよう」とかはあったけど、それぐらいかな。基本的に僕もMOMIKENもメチャメチャ動くプレイヤーじゃないので。かといって、固定のビートしか叩かないとか、基本的なルートしか弾かないというタイプでもないので、どちらかに特化せず、バンドとしてのグルーヴを崩さずに、どうしたら美味しい感じになるかは相談したり考えたりしました。あ、そうだ! MOMIKENは今回モテたがってました!!

──え? どういうことですか?

KENTA さりげなくベースをメロディラインとシンクロさせてみたり、モテたがってる部分が多いんですよ。

UZ そういえば、これまでは「オレは後ろから支えてるよ」って感じのベースだったけど、今回は「オレも! オレも!」って前に出てきてるのを感じたなあ(笑)。

MOMIKEN ちょっと“モテたい感”を出し過ぎちゃったかな(笑)。

UZ まあでも今の時代、ベーシストとギタリストは前に出ないといけないとも思ってます、実は。ボーカリストとドラマーがしっかりと前に出ているのはどのジャンルでも当たり前のことですけど、やっぱりロックというのを主張するためには歪んだディストーションギターが一番わかりやすいものだと思っていますし、ベーシストももっとエゴを出していってもいいんじゃないかと。

──バンドではあるけど、それぞれの個性も重要ですし。

UZ モンスターロックバンドって、メンバーそれぞれの顔を思い浮かべることができるじゃないですか、音を聴けば。RED HOT CHILI PEPPERSがわかりやすいけど、ボーカルのアンソニー(・キーディス)だけじゃなくて、ベースのフリー、ギターのジョン(・フルシアンテ)、ドラムのチャド(・スミス)の顔が出てきますよね。個人的には今はギターがジョンじゃないのがとても残念ですけど。やっぱりこういうふうに音を聴いてメンバー全員が出てくるというのがモンスターバンドの条件だと思うから、そういう意味ではリーダーがモテたがってるのはいい傾向なのかなってオレは思っています。

MOMIKEN そういうことについても、制作に入る前に話し合ったりしたんです。1stはボーカルとドラムがすごく前に出ている作品でした。極端なことを言うと、ベースはそのフレーズが弾けていればオレじゃなくてもいいっていうぐらいのスタンスだったんです。でも今回は「それは必要ないんじゃない?」って言われるぐらいのフレーズもあえて取り込んだりしていて、「オレ、ここにいるよ!」ってかなり主張しています。

──全体的に音数を減らしながらも、それぞれの個性を前面に出すという仕上がりになったということですね。

UZ はい。音数を減らしたのも、そのためです。音数を減らしたことで、バンドならではの遊びも増やすことができました。

KENTA 例えば、UZのギターソロの決めの部分にドラムでアクセントを付けることもやりやすくなったりとか、音数が少ないから、そういうのも入れやすくなったのは事実です。

ENZEL☆ うん。1stとは違う魅力がたくさん詰まっていて、どんだけでも聴いていたいなって思える最高のアルバムになりました! CDを聴いてもらいたいのはもちろんですけど、ライブでもたくさんの人に届けたいですね。

CD収録曲
  1. Just Do It
  2. Rock'n Roll
  3. 0 GAME
  4. My World
  5. Little Summer
  6. No where, Now here
  7. Stay gold
  8. Break Myself
  9. Naked
  10. U&I
  11. I want a place
  12. Raise Your Hands
初回限定盤A付属DVD収録内容
  • My World(MV)
  • 0 GAME(MV)
  • Naked(MV)
  • MOVIN' ON(MV)
  • SPYAIR TOUR 2012「My World」TOUR FINAL DIGEST@AKASAKA BLITZ 2012.5.5
初回限定盤B付属CD収録内容
  1. To (from indies album「alive」)
  2. I'll be there (from indies album「alive」)
  3. 哀より愛し (from「Last Moment」)
  4. リセット (from「BEAUTIFUL DAYS」)
  5. Come on (from「My World」)
  6. MOVIN' ON (from「0 GAME」)
  7. YOU 2 (from「0 GAME」)
  8. Why [Acoustic ver.] (new recording)
LIVE INFORMATION

SPYAIR LIVE at 武道館 2012
2012年12月18日(火)東京都 日本武道館
OPEN 18:00 / START 19:00

SPYAIR(すぱいえあー)

IKE(Vo)、UZ(G, Programming)、MOMIKEN(B)、KENTA(Dr)、ENZEL☆(DJ)の5人からなるバンド。全員が愛知出身で、2005年に結成される。地元名古屋の野外ライブでキャリアを重ね、デビュー前の2010年6月に行った100本目の野外ライブでは2000人の観客を集める。同年8月、ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズからメジャーデビューシングル「LIAR」をリリース。その後も4枚のシングルを発表し、並行して精力的なライブ活動を展開する。そのライブパフォーマンスには定評があり、メジャーデビュー前に「SUMMER SONIC 2010」に出演しているほか、2011年7月には韓国最大のロックフェス「JISAN VALLEY ROCK FESTIVAL 2011」に出演した。2011年9月に1stフルアルバム「Rockin' the World」をリリース。同年10月には日比谷野外大音楽堂で初のワンマンライブを敢行し、チケットは全席完売した。2012年9月、約1年ぶりとなるニューアルバム「Just Do It」をリリース。12月18日には初の日本武道館ワンマンライブを行う。