「下北沢にて'19」特集THEラブ人間インタビュー|ばらの坂道を駆け抜けた10年とこれから

まだまだやりたいことは腐るほどある

金田 もうすぐ11周年を迎えて12年目が始まるね。

富田 組んだときからこんなに続くと思ってたんですか?

谷崎 俺はツネさんから「バンドをやるから一緒にやろう」って電話が来て、そこからこんなに続くとは思ってなかったよ(笑)。

金田 俺も最初はこのバンドがこんなに続くとは思わなかった。初代ベーシストの(川上)陽平が辞めるときに俺に「有名になってよ」って言ったの。それがこのバンドを続けていこうと思ったきっかけかもしれない。でも俺のバンド人生は20年だからまだ半分。THEラブ人間を組む前の10年はバンドを組んでは解散してを繰り返していたから、こんなに続けられてるのは不思議。

ツネ やってるほうは必死だからわかんないんだよね。落ち着くタイミングもないし、10年ずっと必死にやってきた。それこそ「ばらの坂道」を歩いてきたと言うか。

金田 「PAST MASTERS」に入れた「ばらの坂道」は面白いよ。原曲を書いた時期は「SONGS」の頃。なんかこのタイミングにちょうどハマったんだよね。10周年のツアーでこの曲を歌うとき、もともとはそうじゃなかったはずの歌詞がまるで10周年のために書いたんじゃないかと感じる瞬間がある。個人的な歌だったのに、6年経ってバンドの歌になった。

富田 未来を案じていたのかもしれないですね。

金田 俺はさ、曲ができるからバンドをやっているわけじゃなくて、やりたいこと、歌いたいことがあるから曲を作ってバンドをやっているってことを今一度はっきりさせないといけないなと思ってて。10年やってこれたら続けていくことは難しいことじゃない。だからもっといろんなことをはっきりさせていくべきだと思ってるんだよね。やりたいことは腐るほどあるから、40歳になるまでに全部やっちゃおうと思ってる。

10年間が結実した今年の「下北沢にて」

──最後に今年の「下北沢にて」についてお話しいただけますか。

金田 ひさしぶりの2DAYSっていうのがおっかないです。人が入るかもわからないし、2日間無事にできるように、そして出演者がちゃんと来るように祈ってます。出演者がこれだけいると来なくても発見に時間がかかるから(笑)。あとTHEラブ人間は「下北沢にて」では全出演者の中で一番いいライブをしないといけないからね、胃が痛いです。今年は憧れの人たちがいっぱい初登場してくれるんですよ。後藤まりこさんしかり、中村一義さんしかり。あとはsalsaやミートザホープス、壊れかけのテープレコーダーズが戻ってきてくれたことも個人的にはうれしい。何年かぶりに戻ってこれる場所を作れたのはよかったなと思いました。

富田 僕はずっと好きだったキンモクセイが活動再開して、出てくれることがうれしいです。

金田 キンモクセイは最高だよね。今回はライブに定評がある若手バンドもたくさん呼んでて、Cody・Lee(李)や東京初期衝動、ROKIは本当に音楽的に素晴らしいと思うので観てほしい。小西康陽さんもPIZZICATO ONEで2回目の出演。曽我部恵一さんが初日のトリでGARDENに出てくれるのも最高だよね。最初にTHEラブ人間を広めてくれた影響力のある人は曽我部さんだったから、やっと恩返しができる。曽我部さんはいつも「THREEがいい」とか言ってGARDENになかなか出てくれなかったから(笑)。

ツネ 今年はオオゼキのほうから小田急線の跡地のあたりに建てる野外ステージもいいよね。やっとやぐらが立てられる。

金田 最初にやりたいと話していた「下北沢にて」の雰囲気に今年が一番近いよね。

ツネ やぐらでの演奏はまだできないけど(笑)。今年の「下北沢にて」は本当に“俺らの10年”って感じのラインナップだよね。レジェンドから若手まで、本当にすごい。地元の小学生たちのバンド枠STAR KIDSに出ていた子たちが高校生になって、The Flying Videotapeという高校生バンドで出るのも「下北沢にて」の歴史を感じるよね。しかもめちゃくちゃいい音楽やってるし。

金田 うん。本当に今年の「下北沢にて」は10年間が結実した感じがある。ぜひ遊びに来てほしいですね。

THEラブ人間