香川県・小豆島を主会場とする野外フェス「shima fes SETOUCHI 2017 ~百年つづく、海の上の音楽祭。~」が8月26、27日に開催される。“世界の宝石”と称される多島美豊かな瀬戸内海を舞台に行われる「島フェス」は今回で7回目。今年も高木ブーや奇妙礼太郎、コトリンゴをはじめ、DATSやWONKといった新鋭バンド、YUCALI(HALCALI)、AKIRA(Rega)、NOMU(ex. サンプリングサン)、KOICHI(Sawagi)からなるユニット“CAMPS”など個性豊かなラインナップがでそろった。
フェリーで青い海を渡った先にある小豆島。豊かな自然の中にあるふるさと村を舞台とした「島フェス」ではオリーブやうどん、“海のカレー”など「“瀬戸内の食料地(自)給率100%”フードエリア」で提供されるフードやドリンクを楽しみながらアーティストのライブを堪能できる。音楽ナタリーでは第1回から皆勤賞のTHEラブ人間より金田康平、2014年から4年連続出演となるスネオヘアー、昨年から2年続けての登場となるシャムキャッツから夏目知幸を招き「島フェス座談会」を企画。3人に「島フェス」の魅力を語り合ってもらった。
取材・文 / 清本千尋 インタビュー撮影 / 石渡樹
魅力その1:ちょうどいいゆるさと規模感
──金田さんは初回から7回連続、スネオヘアーさんは2014年から4年連続、夏目さんは昨年に続き2年連続での出演となります。
金田康平(THEラブ人間) シャムキャッツと去年の「島フェス」で6年ぶりぐらいに会ったよね。
夏目知幸(シャムキャッツ) うん。その前にイベントで競演したのは確か新宿MARZじゃなかった? MOROHAとかも一緒だったよね。
金田 そうそう。まさか次が6年後になるとは思ってもなかったけど(笑)。
──金田さんも参加した第1回は台風直撃だったんだとか。
金田 あれはね、大変だった。曽我部(恵一)さんは地元っていうこともあってたまたま前乗りしていたみたいなんだけど、俺らはどうやったら小豆島にたどり着けるんだろうっていろいろ調べて、岡山発のフェリーに乗ってなんとか島にたどり着いて、会場に到着したときにはもう出番ギリギリだった。
スネオヘアー へえ。
──「島フェス」の会場の雰囲気を教えていただけますか?
夏目 大きいほうのステージはお客さん越しに海がバーっと見えて、プールサイドのステージは逆にお客さんから見ると僕らの後ろにプールが見える。めちゃくちゃ気持ちがいいんですよ。プールサイドのステージがお気に入りなので今年もそっちに出たいなあ。
スネオヘアー 「島フェス」ってさ、規模感がちょうどいいよね。ステージ間がそんなに距離がないから移動がラク。2つのステージの真ん中に立ってたら両方聞こえるんじゃない?
金田 確かにね。あとアコースティックライブとかトークをやる小さいステージもあるよね。そっちのステージには夜の時間帯に弾き語りで出させてもらったことがあるんだけど、電飾で飾られていてキラキラしてるうえに星空も見えて。あと俺、小豆島高校の軽音楽部のステージも好きなんですよね。みんなGreen Dayとかカバーしてて。
スネオヘアー 「島フェス」はルーズな感じがいいんですよ。僕もルーズだし、観に来てるお客さんもルーズ(笑)。それがよさだと思いますよ。
魅力その2:フェス以外にも楽しめることがたくさん
夏目 僕らは去年初めて「島フェス」に出たんですけど、ライブが楽しくできたからか、結局泊数増やしちゃったんですよね。小豆島を楽しみたくて2泊3日にプランを変えて、いっぱいお金使っちゃった(笑)。
スネオヘアー 島にちゃんとお金を落としたんだ! 何に使ったの?
夏目 ごはんを食べたりもそうだし、レンタカーも1日延長しちゃったし、宿泊費ももちろんもう1日分かかったから……(笑)。もうね、「楽しもう!」って振り切ったんですよ。朝起きてオリーブ畑の近くにある喫茶店に行って、パンに名産品のオリーブオイルを付けて食べて。今は東京に出てきちゃったんですけど、パトリック・ツァイっていう写真家の友達が去年小豆島に住んでたから、そいつの案内で炉便村(ロビンソン)っていう居酒屋に連れて行ってもらったりして。港の近くにあるホテルの屋上の風呂にも入ったなあ。
金田 へえ、満喫してるね。俺は7年行ってるけど全然島を満喫できてないな。俺らは超弾丸で遠征することが多いから、小豆島に限らず泊まることがあんまりないんですよ。ライブが終わったら車で次の街へ向かうの。でもメシはちゃんと土地のものを食べてますよ。島の野菜を使ったバーニャカウダ、うまかったなあ。「島フェス」で初めてバーニャカウダっていうものを食べたんだよね。
スネオヘアー 僕も夏目くんと一緒で温泉にも行ったし、「島フェス」会場の近くじゃない港のほうにある居酒屋に行ったりもしましたよ。4年目にもなると恒例で行く店もできて。居酒屋なんですけど、そこの娘さんが僕の音楽をよく聴いているみたいで、「島フェス」に行きたいけど毎年店の手伝いがあって行けないって言うから、よく行ってます。
金田 高木ブーさんも「島フェス」常連だけどさ、単純にブーさんが出てるフェスに出れるなんてすごいことだよね。ブーさんと共演できるチャンスなんてなかなかないもん。あと一昨年曽我部さんがさ、弾き語りで出る予定だったのにいきなりサニーデイ・サービスのメンバーと一緒に会場に入って「今日サニーデイでやってもいい?」って聞いてきたっていうのもすごい話。なかなか普通のフェスじゃできないことでしょ。それぐらいゆるい感じもいいよね。
夏目 僕も去年「島フェス」の会場で曽我部さんと話してるときに、たまたま田中(貴)さんから「夏目くんのばあちゃんちのラーメン屋に行ったよ」って連絡が来て、それを曽我部さんに伝えたら「遊んでるのかあいつは!」って笑ってて。田中さん「紛れもなく名店でした!」って言ってくれてうれしかったな。
魅力その3:ごはんと酒がおいしい
──「島フェス」はシーカヤックや釣り、キャンプができたりと自然と海を楽しめるアクティビティが充実してるんですよね。
夏目 そうそう。HUSKING BEE先輩はライブ終わったらすぐ釣り竿持って会場裏の桟橋に向かってましたよ。
金田 そういうのがあるからか、カップルで来てる人も多いよね。THEラブ人間のお客さんでもライブハウスには1人で来てるけど、「島フェス」には男の子と来てる子がいたりして。観光を兼ねて遊びに来てるんだろうね。あとね、子供もいっぱいいてね、最高なの。普段俺らはライブハウスでライブをやってるからさ、子供たちに観てもらう機会ってなかなかないでしょ。だからうれしいよね。子供たちのロックへの目覚めになる可能性もあるわけだし。
夏目 確かにね。あと近くの島の女の子もずっと出てるでしょ。お父さんのギターをバックに歌う子。
金田 ああ、丸野美海ちゃん。あのお父さんは直島で「直島アゲイン!」ってフェスをやってるんですよ。
──美海さんが11歳、ブーさんが84歳。出演者の年齢も幅広いですね。あと場内では小豆島の食も楽しめるんですよね。
金田 俺はね、ドライカレーが好きだな。小豆島で作られたオリーブオイルで、小豆島で採れた野菜を素揚げしたやつが乗ってて本当においしい。あと毎回出演者に“ドリンク券”、“フード券”、“うどん券”が配られるの。フードとうどんは別モノ扱い(笑)。あのうどんがまたおいしいよね。
主催者 讃岐うどんと謳われているものでも、実は北海道やオーストラリアの小麦を使っているものが多いんですよ。でも「島フェス」で出しているのは香川県産の小麦を使った無添加のうどんなんです。「石川うどん」っていうお店にお願いしてるんですけど、ここが出している完全無添加のうどんは香川県民でもなかなか食べたことないんじゃないかな。ぜひ食べてほしいですね。
金田 へえ。フェス開催中ずっとうどん屋さんの列途切れないですもんね。あと愛媛県産のみかんジュースも絶品だよね。
夏目 あれはうまい。酒に疲れたときに飲むと本当に最高。
スネオヘアー やっぱり暑いし、海が見えるし、そりゃあお酒は飲んじゃうよね。
魅力その4:船に乗って行けるフェスはここにしかない
金田 スネオさんはいっつもベロッベロになるくらい飲んでますよね。
スネオヘアー だって前乗りで本土からフェリーに乗る時点で飲み始めてるもん。フェリーで食べられるうどんもうまいよね。
夏目 うまい! それに船で移動するのが最高ですよね。僕一番好きな乗り物が船なので、小豆島まで行くのに一番長い時間乗れる神戸港からわざわざ出発しましたもん。メンバーでお酒をがっつり持ち込んで、甲板で飲み始めて離れゆく神戸港を見るっていうね。本当最高ですよ。それでうどんも食べて。
スネオヘアー 波も穏やかだから酔うこともなかなかないしね。すべるように進んでいく。
金田 うん。船の揺れは全然感じない。それに本当に気持ちいいんだよね。俺ら昼便でいつも島に行くんだけど、景色がきれいだったから船の甲板でアー写を撮ったこともあるもん。
夏目 船に乗ってライブに行くなんてなかなか経験できないことですよ。船って飛行機とかより全然いいの。
スネオヘアー 小豆島は島の人以外は全員船に乗らないと来れないわけだしね。船の中でもライブができたらいいよね。弾き語りとか。
夏目 そうですね。それはやりたいなあ。なんか本当に船っていいんですよ。乗ることでより浮世を感じられるし。キャッチの「船に乗らないと行けない だなんて。ワクワク島す」っていう言葉が本当にぴったり。もっと若かったら好きな子と来たかったなあ。3対3の男女の組み合わせとかで来るのもいいと思う。神戸港から小豆島に行くと、淡路島のあたりが潮と風が強いんですけど、そこだけ抜ければ本当に最高。橋の下をくぐるときとかめちゃくちゃ気持ちいいからね。その景色を眺めていれば船酔いなんてしないと思う。
金田 島に着いてからも不自由ないもんね。港に着いてすぐのところにセブン-イレブンもあるし、心配いらない。携帯の電波もしっかりあるしね。
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魅力その5:自然と戦う必要がない
- shima fes SETOUCHI 2017
~百年つづく、海の上の音楽祭。~ -
2017年8月25日(金)香川県 小豆島 ふるさと村
(※前夜祭)-
- 2017年8月26日(土)香川県 小豆島 ふるさと村
- <出演者>
奇妙礼太郎 / 高木ブー / スネオヘアー / 青葉市子 / Nabowa / おとぎ話 / HUSKING BEE / THEラブ人間 / LILI LIMIT / Naoshima Cruising[川上優(Nabowa)、堀川達(Nabowa)、Peace-K((仮)ALBATRUS)、コイチ(Sawagi)、啓太郎(K-106)、丸野美海(直島小学校5年生)] / 藤岡友香 / 啓太郎(K-106) / 中村佳穂 / mol-74 / DIALUCK / 丸本莉子 / 田ノ岡三郎 / えぐさゆうこ / 巴賴barai(台湾) / cheers / 青木純(まめくらし) / 小豆島中央高校ギター部 / 丸野美海 (直島小学校5年生) / 塩田幸雄(小豆島町長) / 高木ブー&島フェス☆All☆Stars
-
- 2017年8月27日(日)香川県 小豆島 ふるさと村
- <出演者>
DATS / シャムキャッツ / WONK / コトリンゴ / カーネーション / Sawagi / 鶴 / THAMII / べべチオ / NAOTO / 落日飛車(台湾) / CAMPS[YUCALI(HALCALI)× AKIRA(Rega)× NOMU(ex. サンプリングサン)× KOICHI(Sawagi]] / 河原真(ex. ROCK'A'TRENCH)&神田雄一朗(鶴) / DENIMS / MONO NO AWARE / 藤岡友香 / トミタショウゴ / 入日茜(映画「しまこと小豆島」) / 小豆島こどもセンター(幼稚園) / 直島アゲイン!BAND with 浜中満(直島町長) feat. 塩田幸雄(小豆島町長)
- THEラブ人間(ラブニンゲン)
- 2009年1月に金田康平(歌手)を中心に結成されたロックバンド。同年4月に自主制作音源「恋街のすたるじい」を発売。2011年5月にインディーズ1stシングル「砂男・東京」をリリースし、7月に東京・渋谷CLUB QUATTROにて初ワンマンライブを行った。同年8月にビクターエンタテインメントからミニアルバム「これはもう青春じゃないか」でメジャーデビュー。2012年5月にメジャー1stアルバム「恋に似ている」、2013年4月にメジャー2ndアルバム「SONGS」を発表し、2013年末をもってベーシストのおかもとえみが卒業した。2014年3月にさとうまりなと坂本遥を迎え6名体制に。彼らのお披露目を兼ねた全国ツアーを経て、9月に新体制初のシングル作品「じゅんあい / 幸せのゴミ箱」を自主レーベル「喫茶恋愛至上主義」より発表。2016年2月にクラウドファンディングで資金を集めて完成させたアルバム「メケメケ」をリリース。2016年内をもって服部ケンジとさとうまりなが脱退し、現在はサポートメンバーを迎えてライブ活動を行っている。
- THEラブ人間決起集会「環七エレジー」
2017年8月24日(木)東京都 下北沢近松
- スネオヘアー
- 1971年新潟生まれのシンガーソングライター、渡辺健二によるソロプロジェクト。1999年にカフェオレーベルからアルバム「SUN!NEO!AIR!」を発表し、2002年5月にはシングル「アイボリー」でメジャーデビューを果たした。その後多くのヒットチューンを含むシングル、アルバムを多数リリースしている。その他、YUKI、坂本真綾、新垣結衣、THE COLLECTORSへの楽曲提供や、U.N.O.BANDのプロデュースなどでも幅広く活躍。2010年にはアニメ「荒川アンダーザブリッジ」のエンディングテーマ「逆様ブリッジ」でアニメファンからも大きな注目を集め、2012年10月にはおよそ3年ぶりとなるシングル「slow dance」を発表した。2013年5月に通算8枚目のオリジナルアルバム「8 エイト」をリリース。2016年5月に3年ぶりとなるオリジナルアルバム「0(ラブ)」、デビュー15周年イヤーの2017年6月には2枚組のニューアルバム「kiss me quickly」をリリースした。6月からアニバーサリーツアー「昨日<今日<明日」を隔月ごとに開催し、ツアーファイナル「昨日<今日<明日<未来」は12月に行われる。
- スネオヘアー「kiss me quickly」
- 2017年6月14日発売 / Tundra
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[CD2枚組]
2000円 / TNDR-0002~3
- 15th Anniversary TOUR 2017「昨日<今日<明日」
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~第一夜~
- 2017年6月17日(土)東京都 CHELSEA HOTEL
- 2017年6月21日(水)大阪府 LIVE HOUSE Pangea
~第二夜~
- 2017年8月18日(金)東京都 CHELSEA HOTEL
- 2017年8月20日(日)大阪府 LIVE HOUSE Pangea
~第三夜~
- 2017年10月28日(土)東京都 CHELSEA HOTEL
- 2017年10月29日(日)大阪府 LIVE SQUARE 2nd LINE
- 15th Anniversary TOUR 2017「昨日<今日<明日<未来」~ファイナル~
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- 2017年12月15日(金)東京都 下北沢GARDEN
- 2017年12月24日(日)大阪府 Music Club JANUS
- シャムキャッツ
- 夏目知幸(Vo, G)、菅原慎一(G, Vo)、藤村頼正(Dr, Cho)、大塚智之(B, Cho)からなる4人組バンド。メンバー全員が高校3年生のときに地元である千葉・浦安で結成された。2009年春、アルバム「はしけ」でデビュー。2012年には「たからじま」、2014年には「AFTER HOURS」といったアルバム作品を発表した。2015年にミニアルバム「TAKE CARE」をリリース。2016年に自主レーベル・TETRA RECORDSを設立し、「マイガール」「君の町にも雨はふるのかい?」といったCD作品を発売した。2017年6月に3年3カ月ぶりのフルアルバム「Friends Again」をリリースし、9月から10月にかけて全国ツアー「tour "Friends Again"」を行う。
- シャムキャッツ「Friends Again」
- 2017年6月21日発売 / TETRA RECORDS
-
[CD]
2916円 / TETRA-1005
- シャムキャッツ「tour "Friends Again"」
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- 2017年9月16日(土)千葉県 千葉LOOK
- 2017年9月17日(日)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- 2017年9月18日(月・祝)大阪府 umeda TRAD
- 2017年9月22日(金)石川県 vanvanV4
- 2017年9月23日(土・祝)岡山県 YEBISU YA PRO
- 2017年9月24日(日)香川県 高松TOONICE
- 2017年9月30日(土)北海道 COLONY
- 2017年10月6日(金)新潟県 新潟CLUB RIVERST
- 2017年10月7日(土)宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX
- 2017年10月13日(金)福岡県 graf
- 2017年10月14日(土)鹿児島県 SR HALL
- 2017年10月15日(日)大分県 AT HALL
- 2017年10月21日(土)東京都 TSUTAYA O-EAST