花言葉が好きなんですよ
──歌詞はどのようなイメージで書いたんですか?
別れた彼女に未練があって、その子にLINEを打つような感覚で書きました。その“LINEを打つような感じ”っていうのは「My Boo」(2016年11月発売のシングル)のときもそう。臭すぎないっていうか、今時の人たちが普通に言えるくらいの言葉っていう。僕自身はキザなこともできるタイプだから、自分がギリギリ口に出して言えそうなことっていうのは意識しました。
──歌詞の2番には「思い返して」という言葉が出てくるので、失恋直後ではなく、しばらく時間が経ったときの心境を歌っているのかなと思いました。後悔はあるかもしれないけど、未練はもうないというか。自分を納得させようとしてるようにも思えたんです。
もしかしたら、1番を書いたときと2番を書いたときの時間が空いてるから、そうなったんじゃないかな。別れたあとという状況の捉え方が1番を作っていたときの自分と違うのかも。ただ、基本的には男のプライドみたいなものが曲の全体的なテーマにあって。「完璧に忘れられてたらすごく悔しい」っていう気持ちが裏にある。主人公の感情はそんな感じなんです。
──この歌詞では、「紫苑の花」という言葉がキーワードになっていると思います。これはどのように思い付いたんですか?
花言葉を調べたんだと思います。僕は花の名前をよく歌詞に出すから、花言葉に興味があって。花言葉って「要る? それ」って感じじゃないですか。なんで全部の花に花言葉があるんだろう?って。そこがカッコいい。で、紫苑には追憶的な意味の花言葉が付いていて。
──あとは「遠方にある人を思う」とか「君を忘れない」とか。
そう。だから、この曲のストーリーに合うなと思って書いたんです。花言葉が好きなんですよね。
なれてないんだけど、でも納得はしてる
──「30」は、30歳のときに書いたんですか?
そうです。30歳になって最初に作ったから、この曲名なんです。
──ということは、去年の2月27日以降に。
30歳になってわりとすぐに作ったと思う。記念に作ったほうがいいと思ったから、2月中くらいに書いたかも。
──昔の自分を思い返しながら書いたんですか?
30歳って大人だなと思っていて。30歳になったらいろいろ落ち着かないといけないなっていう気持ちを20代後半から持ってたんです。だから、“なっちゃった”というところで、今の自分は果たして落ち着くほうに行っていいのかなって。もう夢は叶ったのかな?とか、なりたかった自分になれたのかな?とか、それを10代の自分に聞いてみるっていうことを曲にしたんです。
──10代の頃に思い描いていた大人になれているか、っていうやつですね。
よくマンガとかドラマで、子供の頃の自分が出てきて今の自分と会話する、みたいなシーンがあるじゃないですか。あれを音楽でやろうと。
──思い描いた自分になれていましたか?
なれてないんだけど、でも納得はしてる。それが歌詞の2番に書かれていることなんです。こんなはずじゃなかったんだよ!みたいな気持ちではない。
──トラックはそのときに1から作ったんですか?
そうです。歌詞の1番までトラックを作っていて、2番以降は歌詞だけ。その状況で放置していたものを今回、最終仕上げしたんです。
──どのような意図から、このようなアコースティック調のサウンドにしたんでしょうか。
10代のときの自分の頭にある音を具現化したかったんです。僕が小学校4年生から6年生くらいの頃に聴いてた感じ。その頃の曲を聴くと懐かしく思うから、自分が懐かしいと感じるノスタルジーを曲に入れたくて、サビはそういうコード感をイメージして書いたんです。まったく鳴りは違うけど、PUFFYをプロデュースしてたときの奥田民生さんの感じというか。あのあたりが自分にとって懐かしいと感じる時代だから。
──音でも昔を振り返ろうと。
昔の自分と今の自分の意見が交互に出てくる歌詞だから、音でも今と昔がうまく交差してるものにしたかったんです。サビも最後だけビートが変わるじゃないですか。あそこも昔のビートの感じを出したかったから、ああしたんです。そういうふうに今と昔が行ったり来たりするっていうのがテーマですね。
──歌い出しには「19の頃に買ったスニーカーを履いたら 耳元で今も同じHEROが歌ってる」とあります。この“HERO”は実在の人物ですか?
ディアンジェロかな。ディアンジェロの存在は、僕の中でずっと変わらない。なのに、僕の音楽は変わっていってる。あの人がずっとアルバムを出さなかったことによって、デビューから「Voodoo」までのディアンジェロ像がバチッと僕の中にあるから。その“変わらないもの”と“変わっていく自分”が対比になると思ったんです。19歳のときにディアンジェロを聴いて、僕はそこから恋愛観も、友達関係も、音楽も変わった。デビューの頃にやってたことと今やってることは180度違う。でも、ずっと変わらず19歳の頃と同じ音が頭の中で鳴るし、それが今でも色褪せずカッコいいっていう。それを言いたかった歌詞なんですよね。
終止符を打って僕は次に進むよ
──それにしても、今回の「period」という作品タイトルがすごく気になりました。
深い意味はないですよ、正直。
──えーっ。深い意味があるんじゃないかと思って聞いたんですが。
そうなんですよね。だから申し訳なくて。
──何かに終止符が打たれるのか!?と心配するファンも多いんじゃないかと。
これはもう自分勝手なタイトルで。冒頭に話したけど、こういう状況に終止符を打ちたいということだけなんです。新しい作品を作るために、ピリオドを打たないとどうしようもないから。でも、打てないっていう状況が続いてたから、ミニアルバムでいいから無理やりにでも終止符を打って僕は次に進むよっていう。だから、「え!?」となるタイトルかもしれないけど、全然ポジティブな意味なんです。これで一旦音楽業界から去ります、とかそういうのは一切ないんで安心してください。
──本作リリース直後の11月13、14日には日本武道館で2DAYSライブが開催されます。ライブに向けて、今、どんな気持ちですか?
ファンを守ってあげたいし、万が一のことがあったら……という気持ちはあるから、正直、心配な気持ちも大きいです。でも、やるからには100%楽しみたいし、みんなを楽しませたいからセットリストはスペシャルなものを考えてます。「え、その曲やるの?」みたいなものも考えてますし。
──先日の大阪の野外フェスでひさびさに人前でパフォーマンスしましたが、どうでしたか?
声は出ました。声は出たけど……こんなに楽しくっていいのかな?みたいな。世界や社会で今起こってることに対して「いいのかな?」という申し訳なさも出てくるっていう。
──でも、少しずつでも行動を起こしていかないと前に進めないわけで。
そう。もちろん生のライブのよさは絶対的にあるし、エンタテインメントがなくなってはダメだっていう気持ちは持ちつつ、それをふりかざしちゃいけないっていうか。そういう感覚は持ってしかるべきだと思うから。その中でしっかり楽しめればと思ってます。
ライブ情報
- 「SHOTA SHIMIZU BUDOKAN LIVE 2020」
-
2020年11月13日(金)東京都 日本武道館
2020年11月14日(土)東京都 日本武道館 ※SOLD OUT
- 「SHOTA SHIMIZU BUDOKAN LIVE 2020」 生配信
-
配信日時:2020年11月13日(金)18:30~
アーカイブ配信:2020年11月15日(日)12:00〜11月21日(土)11:59 -
チケット販売URL
-
ライブ詳細