常に刺激を与えたいし、食らわしてやりたい

──ここで話題を少し変えて、それぞれの近況にも軽く触れたいんですけど、FACTは3月にニューアルバム「WITNESS」を発表しましたね。

Kazuki　今作は今だからこそ振り返って出せる初期衝動というものを意識したアルバムです。いろんな意見はあるだろうけど、すごく新しいと思うし、誰にもマネできないはずだし。それを引っ提げてツアーをやるんですけど、本質はナマじゃないと伝わらないからぜひ足を運んでほしいっすね。

──民族音楽っぽい新しい要素もありつつ、昔のFACTを彷彿させる直情的なパンク、ハードコアの熱が戻ってきましたね。

Kazuki　はい、そこは最近メタルっぽいバンドがすごく増えてきたんで、意識した部分ですね。

──そういう意味ではSiMも昨年出したアルバム「PANDORA」でルーツ回帰の楽曲にシフトして、差別化を図るアプローチに切り替えましたよね？

MAH　そうですね。メタルっぽいサウンドの新譜を求める人にはつまんないアルバムかもしれないけど、いい意味で軌道から外れられたなと。今、次の音源のためにレコーディングしてるんですけど、リフはメタルやメタルコアよりもニューメタルと言うのかな。

──2000年前後に登場したLinkin Park周辺のサウンドですね。

MAH　そうですそうです。もうメタルコアはいいかなと思っていて。今までは時代も意識して作っていたけど、そろそろ俺らが聴いて育ったものを出したら1周回って今の子たちは新しく感じてくれるかなと思うんです。それプラス、レゲエとスカにも門も開いて、もっといろいろ混ぜ合わせようかなと。だからラウドロックの新譜としてはよくないかもしれないけど（笑）、俺らとしては本望です。人と違うことをやりたくてSiMというバンドを始めたから。今はそういうところに向かってます。

──これだけさまざまな音楽があふれる中、自分たちにしか持ち得ない唯一無二の武器をどれだけ研ぎ澄まして出せるか。そこからの勝負という時代かもしれませんね。

Kazuki　ほんとそうっすね。一部分だけ聴いてもFACTだ！ってわかってもらえないと、そこに費やした時間、思考が無駄になっちゃうから。それでいて常に刺激を与えたいし、食らわしてやりたい。みんなが予想できる範囲のものを出すのは、俺らの中ではあり得ないから。正直言うと、自分の予想も裏切りたいんです。

ピリピリしたいいライブができたらいいなと

──では、間近に迫っている「SATANIC CARNIVAL'14」に対する意気込みを最後に聞かせてもらえますか？

Kazuki　日本のロックを進化させて、オーバーグラウンドに押し上げてきたバンドがたくさん出ますからね。ここはしっかり押さえて、サークルピットを作ってやりたいな。

──FACTはメインステージの一発目ですからね。

Kazuki　そうっすね。うれしいっすね、酒がすぐ飲めるから。

MAH　はははは（笑）。

Kazuki　初っ端からコケちゃうと、あとあとでみんなに言われちゃいそうだから、がんばります！ ずっとサークルピットが続くようなスタートを切りたいっすね。

──MAHさんは？

MAH　負けたくないという気持ちもあるし、すごく気合いは入ってます。みんなそうだと思うけど、一番になりたいと考えてるだろうし、ピリピリしたいいライブができたらいいなと。

Kazuki　俺らは一番目だから、そのピリピリした感じを酒でも飲みながら楽しみたいと思います（笑）。