──卒業はけっこう前から考えてたと聞きましたがそのきっかけは?
「少女飛行」をリリースしたくらいのタイミングから個人活動にも興味が出てきて。でも1人で活動なんてしたことなかったら、どうしたらいいかわからなくてとりあえず自分が出たい雑誌を会社の担当の人に相談しました。そこからいろんな出版社に挨拶に行ったりして徐々にグラビアの仕事が増えていったんです。でも……やっぱり最初は恥ずかしくて好きになれませんでした。表情の作り方もわからないから「あなたは研究しなさい」っていつも怒られてましたし。そこからなんとか個人活動が増えていってPASSPO☆の活動と並行してやってくことになるんですけど、2012年に「仮面ライダーウィザード」のヒロイン役に抜擢されて。
──女優業としていきなり大役を務めることになって、プレッシャーも相当あったと思いますが。
その頃は高校を卒業して、私は特に進学することもなかったので仕事1本でやっていくしかないんだって考えてたんですよ。同年代の(槙田)紗子ちゃんは進学するって決めてたし、何もない私は焦りを感じていて。だからPASSPO☆だけやってたんじゃダメなんだって思ってオーディションを受けさせてくださいって自分からお願いしたんです。そこで初めてもらったオーディションが「仮面ライダー」でした。
──その大きなオーディションに合格して、女優・奥仲麻琴としての活動が始まりましたね。
1年間続くドラマだからPASSPO☆との両立が本当に大変で。でもみんながそんな状況を理解してくれて「まこっちゃんにはがんばってほしいから」って、いろいろとサポートしてくれたんです。だから最後までやり切れたというのはありますね。
──経験としてはすごく大きかったと?
大きかったです。自分に足りないものや視野が狭いことにも気付かされました。そのとき主演されていた白石隼也さんから「まこっちゃんの本当にやりたいことってなんなの?」って言われたんです。その言葉が私にはすごく重くて。「私はここで積んだ経験を無駄にしちゃいけないんだ」って、彼の言葉で初めて気付かされたんです。もう少し前から卒業のことは考え始めてましたけど、それが卒業を決心したきっかけといえばきっかけですね。
──卒業することをクルーのみんなにはどう伝えましたか?
ツアーが始まる前に自分の言葉で「卒業決めました」って報告しました。でもやっぱりみんなには気付かれていて。「Growing Up」のビデオクリップの撮影のときに「いつか自分に自信がついたときは決断しなきゃいけない」って言っていたので、そろそろなのかなって思ってたみたいです。むっしゅ(佐久間夏帆)が卒業したときは「なんで?」っていう感じだったんですけど、まったく反応が違って「まこっちゃんがずっと考えてきたことだからね」「賭けてみてもいいんじゃない?」って背中を押してくれました。
──もう女子高生が集まってワーワーやってた頃のPASSPO☆ではなくなってますね。
私が言うのもなんですけど、みんな成長してました。
──卒業の報告をしたあと、パッセンジャーからの反応は?
「悲しいけど、おめでとう」って言ってくれる人が多かったです。それに「仮面ライダー」を観てくれてファンになった人から手紙をいただいたんですけど、「卒業に関して賛否両論あるようですが、私は1年間『仮面ライダー』を観てきた身としてはやっぱりお芝居するあなたを応援していきたい。お芝居のほうでパッセンジャーさんにも恩返しができるんじゃないか?」って書いてあって、本当にそうだなって思いました。
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