今年の夏はまったく悔いがない

──今年に関していえば、シングル曲としては「Perfect Sky」と「向日葵」しかリリースしてないんですよね。だけどフライトでは曲が少ないとか目新しさがないとはあまり感じませんでした。

根岸　今年はシングルのリリース数よりもフライトの数をたくさんやろうというテーマがあって、例年に比べても数は相当積ませていただきました。曲数に関しては、昨年末にリリースしたアルバム「JEJEJEJET!!」で新曲がたくさんあったので、目新しさがないっていうのはあまり感じさせなかったと思ってます。

玉井　ツアーも36公演くらいやりましたし、夏も対バンとかいろいろやってるから今年は5年の歴史の中でもかなりフライトに注力してきた年だったなと。それに今年はクルー1人ひとりにとって一番意味のあるフライトをやってこれたなって感じてます。

──それはどんなときに感じました？

玉井　フライトごとにちゃんと何かを吸収して持ち帰って、次のフライトに生かせてるなって、みんなを見てそう感じることが多かったので。特に夏の期間はツアーを一旦休んで対バンライブだったりフェスに参加したりしてたんですけど、そのときはクルーが周りの大人たちを引っ張っていくぐらい強い気持ちで前を向けていたと思います。本当にみんなが同じ方向しか向いてなかった。そういう意味でも今年の夏はまったく悔いがないです。

根岸　最近はリハーサルでも押さえるところだけ短い時間の中で確認して、無駄をなくすことができるようになりましたし。余裕をもっていろんなことができるようになってきたのは成長したところですかね。

玉井　「MASK」って曲の中で「足りないのは時間のせいにしたくない」っていう歌詞があるんですけど、まさに去年までの私たちが感じていたことだなって思って。例えばステージでミスをしたときに「時間が足りなかったから」って言い訳は通用しないじゃないですか。それって結局自分のせいだし。

根岸　お客さんにはまったく関係ないことですからね。

玉井　それをペンネとアラビアータ機長が歌詞の中で気付かせてくれたというか。PASSPO☆の曲の歌詞って、そのときの私たちの現状がそのまま歌詞になってたりするんですよ。だから今回収録される新曲「TRACKS」には、卒業するまこっちゃん（奥仲麻琴）に向けた私たちからの言葉がそのまま入っていて。

──奥仲さんの最後の曲ということで、皆さんにとっても特別な思い入れのある曲になったと思いますが。

玉井　やっぱり9人で最後に歌って踊る曲でもあるので。レコーディングのときもまこっちゃんが収録ブースに入って「TRACKS」を歌っているのを見て「ああ、まこっちゃんはもう人生の中でPASSPO☆としてレコーディングするのは今日が最後なんだ」って思って、その場にいたことに感動してしまったり。そして彼女が最後に収録したのは「少女飛行」でした。

──9人で最後に収録したのがメジャーデビューシングルというのもグッときますね。

玉井　まこっちゃんも収録するときに「これが最後ですね」って言ってて。機長も「最後の歌が『少女飛行』だね」って言って「何このエモい空間は!?」って思いながら見てたんですけど。まこっちゃんもこの5年の間でたくさん歌ってきたんだなって考えたらすごくしんみりしちゃいました。

──思い出の楽曲を今の9人で歌い直したわけですけど、当時と比べても変化はありましたか？

根岸　全然違いましたね。当時収録したときはメジャーデビューシングルとして新たな出発の気持ちを込めて歌ったんですけど、今回はやっぱりまこっちゃんが卒業するっていうことに対してのみんなの思いが込められていたと思います。