音楽ナタリー Power Push - うたパスPresents おしゃべりキッチン
#5 渡辺家特製!愛情たっぷり弁当
DJみそしるとMCごはん(以下おみそはん)による連載企画「おしゃべりキッチン」の今回のゲストは、昨年発売されたエッセイ本「461個の弁当は、親父と息子の男の約束。」がベストセラーとなった渡辺俊美(TOKYO No.1 SOUL SET)。彼が高校生の息子に3年間毎日心を込めて作っていた弁当を再現してもらいつつ、そのこだわりなどについて教えてもらった。
取材・文 / 橋本尚平 撮影 / 佐藤類
題字とイラスト / DJみそしるとMCごはん
今回は渡辺とおみそはんで作業を分担しながら、渡辺が作る弁当の定番メニューだったオクラの肉巻き、しらす入り卵焼きを含む弁当作りにチャレンジ。渡辺は息子の弁当を作っていたときは「調理時間は40分以内」というルールを決めていたというが、「40分以内を目指すとピリピリして何もしゃべらなくなりますよ?(笑)」とのことなので、この日は時間を気にせずに料理を楽しんでもらった。
※以下のレシピの分量は弁当箱1個分となります。
オクラの肉巻き
- ニンジン スライス6枚
- オクラ 2本
- 豚ロース薄切り 2枚
- はちみつ漬け潰れ梅 1個
- 酒 小さじ1
- みりん 小さじ1
- 薄口醤油 小さじ1
ニンジンは皮を剥いてから、ピーラーで薄くスライス。必要なスライスニンジンの量は、オクラ1本につき3枚が目安だ。なお渡辺はいつも、薄くなってきてスライスできなくなったニンジンは取っておいて、後できんぴらごぼうを作るのに使うという。
おみそはんがニンジンをスライスしている間に、渡辺はオクラを下処理。塩で揉んで産毛を取り除き、ヘタを切り落とし、がくの部分を面取りしてから、塩をひとつまみ入れたお湯で20秒間下茹でする。茹で上がったオクラを見たおみそはんは、「緑色がきれいになった!」と大喜び。オクラを取り出したらそのお湯に、今度はスライスしたニンジンを入れて茹でる。渡辺曰く「オクラとニンジンを一緒に茹でると色が混ざっちゃうからね」。
豚肉に塩コショウを振ってから、肉が見えなくなるようにニンジンスライスを3枚重ね、それをオクラにしっかり巻いていく。渡辺によると、ここで重要なのは巻き方。肉の脂身がないほうにオクラのヘタ側の太いほうを置いて巻いていくと、肉の厚みを均等にして巻くことができるという。
肉巻きの味付けは、夏にピッタリなさっぱりした梅味で。はちみつ漬けの潰れ梅と、酒、みりん、薄口醤油をよく混ぜてタレを作っておく。
鍋に火をつけて油を引いたら、肉の巻き終わりを下にして焼き始める。巻き終わりの部分が焼けたらひっくり返して全体にしっかり火を通す。仕上げに梅味のタレをかけて、よく絡めたらフィニッシュ。おみそはんが「けっこう手間がかかりますね」と言うと、渡辺は「これを作るのが一番イヤです(笑)。肉巻きが店の弁当に入ってない理由は面倒だからでしょうね」と笑った。
ポイント肉巻きを焼くときは、巻き終わりの部分を先に焼いておくと、そのあとで転がしてもバラバラになりにくい
ごはんの上に乗せる錦糸卵
- 卵 1個
渡辺が卵の黄身と白身を分けて黄身だけをかき混ぜるのを見て、おみそはんは「黄身だけを使うと黄色が濃くなってきれいなんですよね」と納得。渡辺がその黄身を使って卵焼き器で薄焼き卵を作り、おみそはんがそれを3mmくらいの細さに千切りにしていく。
しらす入り卵焼き
- 卵 2個
- 三温糖 小さじ1/2
- 薄口醤油 小さじ1/2
- しらす 適量
次は渡辺が作る弁当の定番メニュー、しらす入り卵焼き。錦糸卵を作ったときに使わなかった白身は、ここで溶き卵に混ぜて使用する。しっかり混ぜたら薄口醤油としらすを投入。おみそはんが「醤油が薄口なのは、卵焼きに色がついちゃうからですか?」と聞くと、渡辺は「そうなの! でも色が薄くてもしょっぱいから、入れ過ぎないように注意。しらすにも塩味が付いてるからね」とアドバイスした。
ポイント冷めると味が染み込んで濃くなるので、弁当用の卵焼きは味を薄めに作ろう
卵焼き器に火をつけて油を引き、溶いた卵を少しだけ流し込む。半熟状になったら卵を畳んで、空いたスペースにまた溶き卵を流し、これを繰り返して卵焼きの形を作っていく。このとき、巻いた卵から空気を抜かないとバラバラになってしまうので、焼きながら箸でトントンと叩いて空気を抜く。「いつも卵焼きを作るとき、心に迷いができて卵を焦がしちゃうんですよ」と話すおみそはんに、渡辺は「迷わず強火で一気に焼いちゃいましょう」と助言した。
焼きあがったら卵焼き器から出し、熱々のままキッチンペーパーで巻いて形を整える。このまま置いておけば予熱で卵がしっかりとくっついて、ふわふわの卵焼きがきれいに作れるという。
ごはんの上に乗せる鶏そぼろ
- 鶏モモ挽き肉 100g
- 生姜 2かけ
- サラダ油 少々
- 薄口醤油 小さじ1
- 酒 小さじ1
生姜を皮ごとみじん切りにし、サラダ油を少し垂らして生姜と挽肉とよく混ぜる。サラダ油を混ぜておくと、炒めるときに肉同士がくっつきにくくなる。
強火にかけた鍋に挽肉を入れた渡辺は、右手に菜箸を3膳持って思い切りかき混ぜ始めた。計6本の箸による素早い動きで、粒が細かいそぼろがあっという間に完成。薄口醤油と酒を入れて、水気が飛ぶまでさらに炒める。渡辺のあまりの手際のよさに、おみそはんは「動くのが速すぎてときどき俊美さんが見えなくなります。瞬間移動してるみたい(笑)」と驚いていた。
ポイントそぼろを炒めるときは“3連菜箸”を使うのがオススメ。渡辺家では6本の箸を糸でつないで使っているとのこと
ナス味噌
- ナス 1/2本
- 味噌 大さじ1
- みりん 大さじ1
- 三温糖 小さじ1/2
- 一味唐辛子 少々
ナスは半月切りにして水に数分さらし、鍋に油を引いて強火で炒める。味付けは味噌、みりん、三温糖、一味唐辛子で。ナスに火が通ったら混ぜておいた調味料を絡めて、弱火にしてさらにしっかり炒める。この味付けについて渡辺は「ほかが全部あっさりめなので、これだけ濃いめの味にしました」と説明した。
茹でブロッコリー
- ブロッコリー 1/3株
- 塩 適量
お湯にたっぷり塩を振ってブロッコリーを20秒茹でる。渡辺によると味付けはお湯に振った塩だけで十分とのこと。「ブロッコリーの青臭さが苦手だったら、ベーコンを一緒に茹でるといいですよ。臭味がパッと消えます」という渡辺の豆知識に、おみそはんは「わー! 面白いですね、やってみようー」と感心していた。
ごはんの上に乗せるピーマンとミニトマトの炒めもの
- ピーマン 1/2個
- ミニトマト 2個
- 塩 少々
- コショウ 少々
ごはんに乗せるピーマン炒めを作ろうと、おみそはんがピーマンをみじん切りに。それを見て「何かが足りないな……」と感じた渡辺は、しばらく考えた後で「そうだ、ケチャップを作ろう!」と思い立ち、ミニトマトを細かく刻み始めた。おみそはんも「確かに、何か足りないなと感じたときは、だいたい欲しいのは酸味だったりしますよね」と、そのアイデアに賛同。ミニトマトとピーマンは塩コショウで炒めて、トマトの水分が飛んだらできあがり。赤と緑が鮮やかに映え、弁当に彩りがプラスされた。
弁当箱に盛り付け
料理を入れる弁当箱は、渡辺が持参した2段式の曲げわっぱ。上の段にごはん、下の段におかずを盛り付ける。おかず用のわっぱにはまず、水分を拭き取ったサニーレタスを弁当箱の下に敷く。卵焼きは弁当箱の高さに合わせて切り、オクラの肉巻きは真ん中で斜めに包丁を入れる。ブロッコリーはほかの料理との仕切りとして活用。ナス味噌は小さくちぎったサニーレタスを皿に見立てて盛る。これらをレイアウトしたら、余ったスペースにミニトマトを詰めていく。
ごはんの量は、上にそぼろ、錦糸卵、ピーマン&トマトを乗せられるように容器の7~8分目までにしておく。ここでおみそはんが「このそぼろや錦糸卵で模様を作りたいです!」と提案。2人はごはんの上に思い思いの模様を描き、最後に小さなくぼみを作って南高梅を乗せた。
できあがった弁当を見た渡辺は「よくある弁当の独特の茶色さはないですよね」と、その仕上がりに満足気。おみそはんも「すごく鮮やかですね! 駅弁とかともまた違う、手作りだからこそのお弁当って感じ」と同意していた。
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DJみそしるとMCごはん
(ディージェーミソシルトエムシーゴハン)
女子栄養大学の卒業制作を機に誕生した、ラップ、トラックメーク、アートディレクションを1人で手がける女性アーティスト。「おいしいものは人類の奇跡だ!」をモットーに活動し、2013年7月にはインディーズから1stミニアルバム「Mother's Food」を発表した。リリース前後からそのアイデアとクオリティが話題になり、同年に開催された「Twilight Shower」をはじめさまざまなイベントに出演。11月にメジャー第1作目となる「おりおりのおりょうり~X'mas~」をリリースする。2014年3月よりNHK Eテレの料理番組「ごちそんぐDJ」に出演中。また同年7月に「FUJI ROCK FESTIVAL」への出演も果たす。2015年4月に1stフルアルバム「ジャスタジスイ」をリリースした。
渡辺俊美(ワタナベトシミ)
1966年12月6日生まれ、福島県出身のアーティスト。TOKYO No.1 SOUL SETのボーカル&ギタリストであり、ソロユニットTHE ZOOT16でも活動。2010年に、福島県出身の松田晋二(THE BACK HORN)、山口隆(サンボマスター)、箭内道彦(風とロック)とともに猪苗代湖ズを結成。2012年6月に初のソロアルバム「としみはとしみ」をリリースした。2013年12月にTOKYO No.1 SOUL SETのアルバム「try∴angle」を発表。2014年4月に刊行した初の著書「461個の弁当は、親父と息子の男の約束。」がベストセラーとなり、翌2015年にテレビドラマ化された。また、“でんぱ組.inc×ウルトラバトル列伝”名義で2015年に発表されたシングル「超絶ウルトラ☆Happy Days / ギダギダdaズバズバda!!」の表題曲「ギダギダdaズバズバda!!」に作曲で参加。シシド・カフカのミニアルバム「K5(Kの累乗)」では常磐道ズとして「くだらない世の中で」の作詞・作曲・プロデュースを担当した。
2015年9月24日更新