中島愛|あふれる愛を詰め込んだこだわりカバー集

「置いておきたくなるでしょう?」と胸を張って

中島愛

──完成した作品を前にしての、ご自身の満足度はいかがですか?

「ああ私、これなら買うなあ」って(笑)。それが一番叶えたいところだったので、すごく満足しています。自分が好きなことをやると言っても、独りよがりになってはいけないと思っていて。「これは買っていただく価値があるでしょう?」とか、「デジタルもいいけど、現物を家に置いておきたくなるでしょう?」とみんなに胸を張って言える作品にしたいと思っていたから、それは皆さんのおかげで、自分としては大満足できるものができました。自分の歌について満足するということはないですけど、作品として、製品になったものを客観的に見ると「いいなあ」と思います(笑)。

──セルフプロデュースをするうえで、音楽的なところ以外、それこそ「現物を家に置いておきたくなる」作品にするためのパッケージ、アートワークにも中島さん自身の意見が反映されているんですか?

ビジュアルイメージは私から提案しました。今回は日本の曲だけをカバーしましたけど、私は80年代の洋楽にも影響を受けているので、どこかに“和”や“歌謡曲”だけじゃないイメージを入れたいなと思ったときに……マドンナだなと(笑)。マドンナ大好きなんですよ、本当に。今の自分なら、例えば聖子ちゃんカットでおしとやかにするよりは、ゴリゴリの金ピカのほうが合うと思ったので、スタイリストさんに「マドンナのイメージで!」とお願いしました。なおかつ「顔より大きいリボンが付けたい」とか希望を伝えたら、お願いした通りのお洋服を用意していただけました。

──ジャケは洋盤。

そうなんです。カツラをかぶるのはやりすぎだから、髪型は今風になりましたけど。紙ジャケで、写真はフィルムで撮っていただきました。歌詞カードをポスター仕様にするのもこだわりで。いくつか当時のレコードとCDを参考に持ってきて、スタッフの皆さんに見てもらって……高井麻巳子さんのアルバムがこの形になってたのかな? 「裏側をポスターにしたいんですけど、顔が折れちゃうんですよねー」と言ったら「いや、顔が折れないようにしたらいいんじゃない?」って。うまくレイアウトしてもらったんですよ(現物を出して)。

──本当だ。うまく顔にかからないよう、折り目が計算されていますね。

デザイナーさんが考慮してくださいました。

「あれ? 居場所あるっぽい?」

中島愛

──発売日は一般的な水曜日合わせではなく、デビュー記念日の1月28日月曜日になるんですね。10周年のアニバーサリーイヤーでもあり、中島さんにとっては20代から30代へと大きな節目の年でもあります。

はい。たかが10年なので、諸先輩方に比べればまだまだひよっ子ですけど、それでも10年やってると「これはやったことがある」「これはもう経験した」みたいなことがどんどん頭の中に貯まっていって、新しい気持ちでいてもリアルな新鮮味はどんどんそがれていってしまう。でも、2018年、特に後半は「まだまだ新しい気持ちでチャレンジできることはいっぱい残ってるんだな」と思うことがたくさんあったんです。私はテレビに出る側の人間じゃないと思って生きてきたけど、いざ出てみたら(参照:ももクロ、坂崎、中島愛、斉藤由貴、松本隆らがお台場で“松本縛り”生演奏)「カメラに撮られるのって嫌いじゃないかも」と思ってもみなかった発見が今さらあったりして。経験してきたことの中にも新しさが見つけられるとわかったので、それこそ2018年前半まではまだ悩んでいた「次はどんな新しいことをやるんですか?」という声に対するプレッシャーはなくなってきました。2019年は無理やりはみ出そうとはせず、面白いと思ってもらえることを提案していけたらと思っています。

──実際にもう動き出している、すでに水面下で進んでいる新たなアクションもある?

それがあるんです! 大変!(笑) 今、いろんなことがいっぺんに進んでいて、実はとても大変なんです。活動を休止する前からあった「これが最後の1枚かもしれない」という気持ちは今も変わらないんですよ。お話が進んでいても「ここでクビかも」とか思っちゃう(笑)。だから絶対「この1枚が最後になっても、まったく後悔しない」と思える作品を作っていきたい。この性格はいつまで経っても変わらないです。

──そうは言っても、以前よりはずいぶん気持ちに余裕があるように見えますけど、自分ではそうは感じない?

それは気持ちの余裕を自分で作っているというよりは、単にいろんなことが楽しいからだと思います。「この人が私のことを知ってくれているんだ」とか「人生で交わることがないと思っていた人が、意外と興味を持ってくれてる」とか、人からの視線を感じて「あれ? 居場所あるっぽい?」みたいな(笑)。「居場所あるっぽい」「気にかけてもらえてるっぽい」という喜びがあるんだと思いますね。個人的な余裕は多分ずっとないです(笑)。でも、ないほうが楽しいから変わらないと思うし、悪いものじゃないです。

──10周年というタイミングだと、これまでの活動を振り返る機会が嫌でも増えますよね。

ありますねー。あります。

──過去を振り返って、今の自分とどういう違いを感じますか?

昨日、「マクロスF」のクリスマスライブの映像をちらっと観たんですよ。2010年の自分を観て「別人だ」と思いました。正直、ホントに別人ですね。「マクロスF」で一緒だったMay'nちゃんは地続きで大人になっている感じがするんですよ、私から見ると。私はしゃかりきに踊っていて、思っていた以上に別人でした。それは「この頃の自分嫌だな」というマイナスな気持ちではなくて、「いつ今の私になったんだろう?」みたいな。自信は今もないけど……本当になかったらこんなポーズ(ジャケット写真を指して)しないですよね(笑)。少し前ならテレビの出演も、セルフプロデュースも「無理です!」って断ってたと思うし。でも「無理なら無理でまあいっか」みたいな楽観的な気持ちが少しずつ生まれてきていて、そういういい変化は10年のうちにあったかなと思います。

──30歳になることについてはどう思いますか?

楽しみですね。19歳の頃は、20代後半はだいたいこんな感じだろうなと想像が付いていたんですけど、39歳の自分って今ちょっと想像できないんですよね。どんな39歳になりたいかを逆算して考えてスタートしなきゃなって考えていて。

──「想像の付かない自分」へ向けての10年をどう生きるか。

そうそう。そこに深刻さはあんまりなくて、ただ楽しみだなあって。「この私が35ぐらいから超アクティブになったらみんな笑うだろうなあ」とか(笑)。今年はその始まりの1年なので、どう出るかみんなに見ていてほしい。そして「なんか違うなあ」と思っても、そっとしておいてください(笑)。

中島愛

公演情報

中島 愛 凱旋ライブ in mito LIGHT HOUSE~しみじみ茨城~
  • 2019年2月23日(土) 茨城県 mito LIGHT HOUSE