中島愛「ラブリー・タイム・トラベル」 PR

中島愛|あふれる愛を詰め込んだこだわりカバー集

中島愛

Negiccoとの“私得”コラボで歌うCoCo

──CoCoの「無言のファルセット」は同じく90年代で、唯一のグループアイドルからのセレクトです。初顔合わせのKai Takahashi(LUCKY TAPES)さんに、仲良しのNegiccoがゲストという組み合わせですが、これはどのように考えたのでしょうか。

このアルバムの情報が出たとき、CoCoに反応してくださる人が思った以上に多かったですね。CoCoの曲はどうしても入れたいというのがあって……80年代のアイドルほど語られることはないけど、名曲ぞろいなわけですよ。歌いたいけど、5人のよさはどうしても1人では出せない。なのでグループ曲は自然と候補から外れていったんですけど、CoCoにはメンバーのソロ曲もいっぱいあって、中でも羽田惠理香さんが歌うこの「無言のファルセット」が私は大好きなんですね。それで「あれ? これは私が羽田さんの役をやって、追っかけのコーラスを? Negiccoさんにお願いしたら? とても“私得”なのでは?」とひらめきまして(笑)。

──なるほど。

「三浦理恵子さんとMeguさんは絶対親和性が高いな」とかすぐに想像が付いたので。アレンジは、私にとっては初めてだけどNegiccoさんとの架け橋になってくれる方、ベテランではなくNegiccoさんや私に近い歳の方にお願いしたいと考えたとき、Negiccoさんの「虹」(2016年発売のアルバム「ティー・フォー・スリー」収録曲)を思い出して。これは私の趣味枠です(笑)。全部趣味なんですけど、とりわけ私がうれしい。

──ではNegiccoのボーカルディレクションは中島さんが?

まずは私のメインボーカルを録って、追っかけの歌い分けも自分で事前に作ってNegiccoさんにお渡ししました。それで、お一人お一人のレコーディングを……私が「とってもいいですうー」とか言いながら見ていただけです(笑)。「こうしてください」とかじゃなくて「とても最高ですうー」と伝えるためだけに見学させてもらって。でもセレクトだけはさせてもらいました。私がグッときたテイクを。ミックスではNegiccoさんの声を私の声よりも大きくしてます(笑)。Nao☆さんはいつもレコーディングのとき、手書きの歌詞を用意するんですよね。あれの本物が見られたのもうれしかったです。

──完全にただのファンですね(笑)。でもNao☆さんはずっと中島さんに憧れていた人だから、自分が中島愛作品に加わるということに相当プレッシャーを感じていたのではないでしょうか。

ずっと「緊張するー」とおっしゃってましたね。あと「よく『もっと明るく歌って』って言われるんですけど、どうですか?」とおっしゃってましたけど、この曲ではNao☆さんの憂いのある声が欲しかったので、「自然に、出たまんまの声がいいです」とお伝えしました。

中島愛

tofubeatsとルーツの交換

──松原みきさんの「真夜中のドア」は唯一の70年代、1979年の楽曲です。作曲は1980年代にも大活躍した林哲司さんで、この曲も「雨にキッスの花束を」と同じく広く知られる大ヒット曲です。この選曲は少し意外でした。

実はこの曲だけ私のチョイスではなく、トーフさんからのご提案なんです。ルーツの交換じゃないですけど、私が「青いスタスィオン」で自分のルーツを出しているので、2000年代に同じような時代のさかのぼり方をしたトーフさんにも、思い入れのある曲があったらいくつか教えてほしいとお願いしたんです。いくつか挙げてもらった曲のうち、私も繰り返し聴いていたのが「真夜中のドア」で。好きな曲ではあるんですけど、声質的にこの曲をカバーするという発想がなかったんですね。ただ、トーフさん的には私に合うんじゃないかと。それに、自分が想像できるフィールドだけで固めるよりも、一歩チャレンジするような曲があったほうがいいと思ったので、この曲に挑戦してみようと思って選びました。

──「青いスタスィオン」のボーカルディレクションは中島さんにお任せだったとおっしゃってましたが、こちらは?

この曲はトーフさん主導でお願いしました。指示していただいたのは全体的なことではなく、「ここの伸ばし方はこのぐらい」とか細かいところでしたけど……繰り返しの「Stay with me...」の後半はもはや「ステイウィズミー」と言ってなくてもいいぐらい、というディレクションもありました(笑)。気持ちが高揚してはっきり発音できなくてもいい、みたいな。「なるほど、トーフさんはこの曲をそういうふうに捉えてるんだな」とわかるディレクションでした。

──この歌詞が持つアダルトな年齢感を今の中島さんが歌うのもいいなと思いました。

そうですね。でも、松原さんはこの曲をリリースしたとき、まだ10代なんですよね。魂が10代じゃないくらい大人っぽい。私にとってはまだ早いと思うぐらいですけど。これからクールなほうにシフトしたいというわけじゃないですが、デビュー当時には絶対に歌えなかったし、未来へのチャレンジとしてすごく学びの多い1曲でした。それをトーフさんと一緒にできたというのが心強いですよね。

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攻めてるバラード「時に愛は」

──そして最後は松本伊代さんの「時に愛は」。作詞作曲は尾崎亜美さんですね。

尾崎さんは、私の9枚目のシングル「ありがとう」(2013年発売)を書いてくださったんです。そんな尾崎さんがアイドルに提供した曲をカバーしたいというのがまず1つあって。その中でもたくさんの候補曲があったんですけど……観月ありささん、のりピー(酒井法子)さんとかいろんな方のいい曲がある中で、伊代さんの朴訥とした雰囲気を持つこのバラードが、すごく今の私に刺さったんです。それに、よく考えたら「時に愛は」って……ちょうどアルバムタイトルの「ラブリー・タイム・トラベル」を思い付いたときで、タイム=時、愛と書いてめぐみ……これは収録すべき曲なのでは?って舞い上がっちゃって。

──編曲は中島さんの楽曲アレンジのみならず、ライブでもバンマスを担当する西脇辰弥さんで、もともとシンプルなバラードがさらにシンプルなピアノ主体のアレンジで表現されています。

ここまでの6曲は初めての方と組んだり、自分の中でチャレンジの要素が多かったので、1つ自分自身に戻れるような曲、10年間の活動をしっかりと刻む要素も欲しかったんです。そう考えると、ずっとバンマスとして支えてくれる西脇さんの存在は欠かせない。なおかつバラードで聴かせてくれる西脇さんのハーモニカの音色は唯一無二だと思うので、「こんなすごい人にバンマスしてもらってるんだぞ!」という思いもあって(笑)。「せーのでピアノ1本で録りたいんです」とお伝えしたら「攻めてるねえ」と言われましたけど(笑)。

──歌とピアノは一発録りなんですね。

はい。3テイクぐらい録りましたけど、顔を見合わせながらせーので録りました。ハーモニカだけあとから録ってますけど、歌とピアノは一発録りです。今回のアルバムはどちらかと言うとデジデジした、ナチュラルと対極にあるものにしようと思ってたんですけど、1曲だけ、包み隠すものが何もない姿を収めたくて。

──この曲で穏やかに締めくくられるところも含め、7曲の流れ、構成もきれいだなと感じましたが、そこは苦労しましたか?

いえ、わりとすんなり決まりました。特に「Kimono Beat」と「時に愛は」は1曲目と7曲目の立ち位置でしたね、最初から。