音楽ナタリー Power Push - ももいろクローバーZ
豪華作家陣と生み出した3rd & 4thアルバム ももクロが表現する“常世と幻想の世界”
“もも×ヒャダ”コンビ復活
──はじめましての方がいれば、おひさしぶりの方もいます。前山田健一さんが3rdアルバムに「武陵桃源なかよし物語」、4thアルバムに「愛を継ぐもの」の2曲を提供しています。
百田 最初に(「武陵桃源なかよし物語」の)歌詞をもらったときは思わず笑っちゃったよね。あまりにもストレートで。
高城 実話ですよ。ほとんど実話。
佐々木 なんかね、こうやって曲を通じて仲直りする感じが“らしい”よね。
百田 自分が命を賭けているもので率直な気持ちを伝えてくるって、すごいよなあって思った。
──ディレクションも担当されたんですよね?
佐々木 はい。スタジオで一緒にレコーディングする感じがすごく懐かしかったな。だって、ディレクションしてもらうのって「猛烈宇宙交響曲・第七楽章『無限の愛』」(2012年3月発表の7thシングル)以来じゃない? 1、2年どころの話じゃないよね。4年も前の話だよ。
百田 さすがに「みんな、声が大人っぽくなってる」って驚いてたもんね。
玉井 うん。4年も時間が経ったことを感じさせないくらい自然にレコーディングが始まったからあんまり意識してなかったんだけど、その一言で本当にひさびさだったんだなって。
高城 そうだよね。ひさびさだけどすごく自然だった。
有安 私はちょうどその日が扁桃腺の手術日でレコーディングに参加できなかったんですよ。残念。
百田 前山田さんも残念だったんじゃないの、推しメンがいなくて。
佐々木 えっ、えっ? 何それ?
有安 そんな話、聞いたことないけど。
百田 あれっ、違ったっけ? まあ、そんなこともわからなくなるぐらい、時間が経ったってことですよ(笑)。
高城 そういえばさ、「愛を継ぐもの」の歌詞で、いろんな時代について歌う部分があって、有安さんが歌ってるのはアウストラロピテクスの時代じゃん? で、「AMARANTHUS」に収録されている「ゴリラパンチ」は有安さんがメインの曲なんですよ。新作で有安さん、終始ゴリラじゃん(笑)。
有安 はあ? アウストラロピテクスはゴリラじゃないし、類人猿だし。
高城 終始、ゴリラだよ!
有安 そんなこと考えもしなかったわ(笑)。私をフィーチャーした曲が「ゴリラパンチ」だって聞いたときには「えっ、なんで?」って疑問だったし、怒ったけどね。そのあたりは発売後すぐに始まるドームツアーを通して、解決していきますよ(笑)。
堂本剛がももクロに伝えた“アイドルとしての矜持”
──「白金の夜明け」のラストを飾るのは、KinKi Kidsの堂本剛さん提供曲「桃色空」(ピンクゾラ)です。
佐々木 堂本剛さんが女の子に曲を提供するのは、これが初めてだったみたいで本当に光栄なことだなあと思いました。これも実は直談判系で……。
百田 番組のロケの合間に、剛さんといろいろと仕事の話をしていたんです。その中で「ももクロも変な曲を歌いたかったら、いつでも言ってね。作るからさ」みたいな言葉がポロッと出たので「あっ、来た!」と。これはチャンスだと思って「いいんですか、そんなこと言って。本当に話を進めちゃいますよ」なんて言ったら、それがきっかけでどんどん話が進んでいったんですよ。
高城 ただ“変な曲”を作るつもりでOKを出したのに、実際にはマジメな歌のオファーがあって、すごく手こずったって話してました(笑)。
佐々木 「桃色空」は私たちがライブで歌うことまでイメージして作っていただいた曲なんです。ライブでは夕焼けが綺麗なときに歌ってほしいって。そこまで考えてくださるなんて思ってもみなかったので、すごくうれしかった。
百田 「新しいももクロを引き出せるようにがんばるよ」ってね。こんな先輩がいてくださるのは、本当にありがたいことです。
有安 ディレクションしていただいたとき、最初は緊張しちゃったけど、すごく曲のイメージが伝わってきて、本当に歌いやすかったなあ。英語の歌詞とか、ちょっとカッコつけて歌っていたら「もうちょっと鼻歌みたいに。お風呂で口ずさんでいる感じで」みたいにアドバイスしてくださるんですよ。で、そうやって歌ってみたら「ああ、こんな伝え方もあったのか!」って。すごく勉強になりました。
玉井 時間の関係で私とれにちゃんはディレクションを受けられなかったんですけど、レコーディングやボイトレの合間にお会いしたときは、私たちにもいろいろ説明してくれて。この曲のことだけじゃなくて、これからの私たちについても真剣に考えていてくださっていて、「ファンの人が求めることだけをやるんじゃなくて、自分たちから発信していくことも大事。そうすることで、きっと長く続けていくことができるよ」っていうお話をしていただきました。性別こそ違いますけど、同じアイドルとして活躍している先輩の言葉はとても胸に染みました。
高城 本当にタメになる話ばっかりだったね。私なんて感動しちゃってもう泣く寸前だったけど、ここはこらえなくちゃって必死に我慢してました。なのに横で聴いていた女性スタッフさんが「いい話ですねえ……」って大号泣してて、「おいっ、なんであなたが泣くの!」ってなった(笑)。
──今回すべての楽曲を掘り下げることはできませんでしたけど、ここまでの話を聞いているだけでも、いかに「AMARANTHUS」と「白金の夜明け」の振り幅が広くて、これまでのももクロにはない要素が詰まったアルバムなのかが伝わってきました。
百田 確かに今までのアルバムと比べて「作ったぜ!」感が強いかも。いつものレコーディングは大人がたくさんいて、いろいろな意見が飛び交う感じなんですけど、今回は私たちとディレクションしてくださる方ぐらいしかいなくて「こういうのはどうですか?」と私たちからも意見を出していきながら作っていったから。それとね、アイドルのアルバムなのに、こんなにいろんなタイプの楽曲が収録されているんだって思う人もいるかもしれないですけど、それ、逆ですから。「なんでもできるのが、アイドル」だと私は思っているので、アイドルだからこそこういうアルバムができたんですよ!
佐々木 そうだね。「携わった」感がすごくあるし、この気持ちがドームツアーでもプラスに働けばいいなって思います。
ももいろクローバーZ「MOMOIRO CLOVER Z DOME TREK 2016“AMARANTHUS/白金の夜明け”」
- 2016年2月20日(土)愛知県 ナゴヤドーム
- 2016年2月21日(日)愛知県 ナゴヤドーム
- 2016年2月27日(土)北海道 札幌ドーム
- 2016年3月12日(土)大阪府 京セラドーム大阪
- 2016年3月13日(日)大阪府 京セラドーム大阪
- 2016年3月26日(土)福岡県 福岡 ヤフオク!ドーム
- 2016年3月27日(日)福岡県 福岡 ヤフオク!ドーム
- 2016年4月2日(土)埼玉県 西武プリンスドーム
- 2016年4月3日(日)埼玉県 西武プリンスドーム
- ももいろクローバーZ「AMARANTHUS」「白金の夜明け」
- 第1弾 メンバーインタビュー
- 第2弾 作家陣座談会
- 3rdアルバム「AMARANTHUS」 / 2016年2月17日発売 / EVIL LINE RECORDS
- 初回限定盤 [CD+Blu-ray] / 4104円 / KICS-93308
- 通常盤 [CD] / 3024円 / KICS-3308
- 4thアルバム「白金の夜明け」 / 2016年2月17日発売 / EVIL LINE RECORDS
- 初回限定盤 [CD+Blu-ray] / 4104円 / KICS-93309
- 通常盤 [CD] / 3024円 / KICS-3309
「AMARANTHUS」CD収録曲
- embryo -prologue-[作曲・編曲:tatsuo]
- WE ARE BORN[作詞:藤林聖子 / 作・編曲:tatsuo]
- モノクロデッサン[作詞・作曲:CLIEVY(C&K)/ 編曲:小松一也]
- ゴリラパンチ[作詞:ANCHANG(SEX MACHINEGUNS)/ 作・編曲:AKIRASTAR]
- 武陵桃源なかよし物語[作詞・作曲:前山田健一 / 編曲:橋本由香利]
- 勝手に君に[作詞:ももいろクローバーZ、NAGAE / 作・編曲:大隅知宇]
- 青春賦[作詞:桑原永江 / 作曲:しほり / 編曲:冨田恵一]
- サボテンとリボン[作詞:只野菜摘 / 作詞・編曲:神前暁]
- デモンストレーション[作詞・作曲・編曲:清竜人]
- 仏桑花[作詞・作曲:さだまさし / 編曲:近藤研二]
- 泣いてもいいんだよ[作詞・作曲:中島みゆき / 編曲:瀬尾一三]
- Guns N' Diamond[作詞・作曲・編曲:zopp・小林史知・岡村夏彦]
- バイバイでさようなら[作詞:只野菜摘 / 作・編曲:エンドウ.(GEEKS)]
- HAPPY Re:BIRTHDAY[作詞・作曲:ティカ・α / 編曲:やくしまるえつこ、山口元輝]
「AMARANTHUS」初回限定盤Blu-ray収録内容
- 「WE ARE BORN」Music Video
- 「モノクロデッサン」Documentary Music Video
- Documentary of "AMARANTHUS"
「白金の夜明け」CD収録曲
- 個のA、始まりのZ -prologue-[作曲・編曲:NARASAKI]
- 桃源郷[作詞:森由里子 / 作・編曲:NARASAKI]
- 白金の夜明け[作詞:前田たかひろ / 作・編曲:横山克]
- マホロバケーション[作詞:六ツ見純代 / 作・編曲:invisible manners]
- 夢の浮世に咲いてみな[作詞:岩里祐穂、ポール・スタンレー(Kiss)/ 作曲:ポール・スタンレー、グレッグ・コリンズ / 編曲:Kiss、グレッグ・コリンズ]
- ROCK THE BOAT[作詞:岩里祐穂 / 作・編曲:グレッグ・カースティン、ニコール・モリエ]
- 希望の向こうへ[作詞:桑原永江 / 作・編曲:佐藤晃]
- カントリーローズ -時の旅人-[作詞・作曲・編曲:NAOTO(ORANGE RANGE)]
- イマジネーション[作詞・作曲・編曲:清竜人]
- MOON PRIDE[作詞・作曲・編曲:Revo]
- 「Z」の誓い[作詞:森雪之丞 作曲:NARASAKI 編曲:NARASAKI、ゆよゆっぺ]
- 愛を継ぐもの[作詞・作曲:前山田健一 / 編曲:Tom-H@ck]
- もっ黒ニナル果て[作詞:MURO、BOO / 作・編曲:MURO、SUI]
- 桃色空[作詞・作曲:堂本剛(KinKi Kids) / 編曲:堂本剛、十川ともじ]
「白金の夜明け」初回限定盤Blu-ray収録内容
- 「マホロバケーション」Music Video
- 「白金の夜明け」Documentary Music Video
- Documentary of “白金の夜明け”
ももいろクローバーZ(モモイロクローバーゼット)
百田夏菜子、佐々木彩夏、玉井詩織、有安杏果、高城れにの5人からなるアイドルグループ。2008年に「週末ヒロイン」「今会えるアイドル」というキャッチフレーズを掲げ、ももいろクローバーとして結成。2009年7月に1stシングル「ももいろパンチ」をリリースし、2010年5月にはシングル「行くぜっ!怪盗少女」でメジャーデビューを果たした。 2011年4月に行われた東京・中野サンプラザホール公演を最後に、メンバーの早見あかりがグループを脱退。このライブ終了直後、ももいろクローバーZへと改名し、5人編成での活動をスタートさせた。2011年7月にももいろクローバーZ改名後初のシングル「Z伝説 ~終わりなき革命~」「D'の純情」を発表。2012年にはグループ結成当初から目標としていた「NHK紅白歌合戦」への初出場を果たした。2013年4月に2ndアルバム「5TH DIMENSION」をリリースし、2014年3月には女性グループとして初となる東京・国立競技場での単独ライブを成功させた。2015年1月、「ももいろクローバーZ vs KISS」名義でKissとのコラボシングル「夢の浮世に咲いてみな」を発表。また女優としての活動も行い、青春群像小説「幕が上がる」の映画版および舞台版では主演を務めた。同年夏に静岡・エコパスタジアムでワンマンライブ「ももいろクローバーZ 桃神祭2015 エコパスタジアム大会 ~遠州大騒儀~」を開催。12月には群馬・軽井沢スノーパークでクリスマスライブ「ももいろクリスマス2015 ~Beautiful Survivors~」を実施し、12月31日から2016年1月1日にかけては東京・豊洲PITで初の年越しライブ「第一回ゆく桃くる桃『笑顔ある未来』」を行った。2016年2月に3rdアルバム「AMARANTHUS」、4thアルバム「白金の夜明け」を同時リリース。同月より新作を携えたドームツアーを開催する。
2016年2月19日更新